極寒の地「極寒の地」 バンクーバーで人に「マニトバ州に住んでいた」というと、みんな口をそろえて「そんな寒いところに???」と驚く。 冬のマニトバは本当に寒い。 冬の平均気温はたぶん-20℃くらいだと思う。 マニトバでは、マイナス20℃では、誰も文句を言わない。 普通だから。 でもさすがに、-30℃前後の日が続くと、 「最近寒すぎてウンザリ」という声も聞こえてくる。 ちなみに私が住んでる間で、一番寒かった夜は-46℃だった。 もうそこまで寒いと、-20℃も-30℃も変わんないんじゃないの? と思うだろうが、結構違うのだ。 私は-20℃だったら、歩いて仕事に行ってた。 -30℃の日は、さすがに身の危険を感じて歩きはしなかった。 -20℃の中を歩いて仕事に行くのがどんなものか、と書いてもあまりわかってもらえないと思うが、あえて書くなら・・・ 吐いた息でまつ毛が濡れ、それが凍る。 ↓ まつ毛が凍ると、まばたきをした時に上と下のまつ毛がくっつく。 ↓ 上と下のまつ毛がくっつくので、目が開けられない。 ↓ おまけにまつ毛が濡れるので、マスカラは取れまくり。 ってな感じだろうか? でも、きちんと防寒していれば、歩けない気温ではない。 確かに寒かったけど、バスもなければタクシーもない町だったので、歩くこと以外に私に選択はなかった。 さすがに-30℃の日は、旦那に仕事を抜けて車で迎えにきてもらったけど。 車は、夜中にガレージに入れてなかったら、朝にはエンジンはかからないものと思って良い。 殆どの車は前の部分に電気コンセントが付いてて、ガレージが無い人はそのコンセントを家からの電気につないで、夜中にエンジンが凍らないようにする。 暖房は、誰も居ない家でも一冬中入れておかなければならない。 なぜなら、全くの暖房なしでは水道管や下水管が凍って破裂するから。 なので、冬の暖房代(どの家にもガスで家を温める、ボイラーが付いてる)は結構バカにならなかった。 冬に州都のウィニペグや、他の町に行くときは、必ずハイウェイの状況を確認しなくてはならなかった。 道路が氷結してる時は、危なくて運転できないからだ。 ブリザードなどの嵐が来たときは、何日間も町から出られないということもあった。 ちょっと町のはずれに住んでいる人たちは、「除雪車が来るまで家から出られない」なんてこともしばしばだった。 一緒に働いてる子が「今日は除雪車がまだ来てなくて、仕事に来れません」って欠勤するのも、大雪の後は珍しくなかった。 そんなマニトバ州も、夏になると内陸なだけに、とっても暑くなる。 夏は30℃くらいまで気温が上がる事もしばしば。 なので、この地帯、まさに+30℃から-30℃と、年較差が60℃にもなるのだ。 「よくそんな所に住んでたね」と言われることも多いが、 人間って「慣れる」ようにできてるんだと思う。 ホンと、なんだかんだ言って、私もその頃は寒いのにも慣れたものだ。 この「極寒の地」を体験してみたい方、 ぜひ冬のマニトバへ遊びに行かれてください。 「忘れられない旅」になる事間違いなしです。 次の話へ |