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Shinobuta's Story [全4件]
高い高い空でした。 見上げても見上げても どこまでも 空でした。 彼女の目に映るのは 果てしなく伸びる蒼でした。 なのになぜか それはとても近く感じました。 手を伸ばすと 確かに彼女は手のひらに 蒼の空気を感じました。 「手を伸ばせば届きそう」 そう言いながら手を伸ばそうとしない人と 何度もすれ違いました。
夕日が差し込む中 おじいさんとおばあさんは 木陰で立ち止まり 少しの間休憩をしていました。 おばあさんは ハンカチを取り出し そっとおじいさんの額の汗を拭いてあげました。 おじいさんは 「いらんいらん」と その手を払いのけました。 おばあさんは 「またそんなこと言うやろ~あんたは」と言いながら そのハンカチで 自分の額の汗を拭いました。 もう何度の夏を 二人でこうして過ごしてきたのでしょう。 二人は またゆっくりと歩き始めました。 夏の眩しい夕日の中を。
道の真中で カラスがキョトンと佇んでいました。 少年が通り過ぎようと近づいていくと カラスはテクテク歩いて 近づいてくる少年から離れようとしました。 その方向は 少年が進んでいく方向だったので カラスはまたテクテク歩いて行きました。 少年から逃げるように。 少年は 飛ばないカラスを横目で見ながら 通り過ぎました。 バサバサッという音がして 少年が振り返ると そのカラスが 1メートルの塀にやっとの思いで飛び乗ったところでした。 1メートルの塀に飛び乗ることが 今のカラスの精一杯でした。 少年は 何度も何度も振り返りました。 カラスは じっと空を見つめていました。 1メートルの高さから。 その翼は 折れていました。
少女は 自分の身体よりも大きいバッグを 両手で抱えて歩いていました。 そこに何が入っているのか なぜそれを運ばなければいけないのか 少女は何も知りませんでした。 ただ一つ知っていることは バッグを届ける目的地など ないということでした。 大きなバッグを抱えて 歩きつづける少女の前から 子供達が走ってきて あっという間に通り過ぎていきました。 少女は バッグを道に置きました。 道端に座ったバッグを憎しみの目で見つめ 少女はそのまま走り出しました。 行く先に待っているのは さらに大きな荷物だということを 少女は知っていました。 ひと時の魔法が いつまでも続くように願い 走りつづけました。 |一覧| |
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