カテゴリ:▼ 私立中学受験
先日栄東の受験日の様子を書かせていただきましたが(2年前です^^;)今年も1月10日の受験初日がやってきますね。
受験に向かうお子さんだけでなく、見守るお母さんもドキドキが止まらないところだろうなあ、とお察しします。 受験は午前中に終わるものですが、我が家の場合、受験したなかには片道2時間近くかかる遠い学校もありました。そんな学校を受験した日は、ゆっくりお昼を食べて塾に報告してから家に帰ると夕方の四時になってしまったこともあります。 受験って、けっこう一日仕事なんですよね。 1月中に複数受験をする場合は疲れも溜まりがちです。帰ったら入浴剤入りのお風呂にゆっくり浸かって、親子ともども、体力の回復につとめてくださいね。 ところで私は1月受験の初めの頃、「あー、失敗した!」と思ったことがありました。 今日は、そのときのことを、書きます。 受験が始まった最初の頃のこと。 私は試験から帰宅後、娘とその日の試験問題の「見直し」をしていました。 するとそのなかに、これまで何度も指摘して気をつけてきたのに、同じ間違いをしてしまったところがあったのです。 私は失望とショックから、 「えー、これは何度もやってきたところじゃない。ここは難易度低いから、間違う子はいないよ~」 とつい口が滑ってしまいました。 すると娘の顔色がさっと変わりました。一瞬、「しまった」と思ってあわててフォローを入れたのですが・・ 時すでに遅し。 その日張り詰めていた緊張が一気に崩れるように、娘は泣き出し・・なんとそのまま夕食も口にせず、泣き寝入りをしてしまったのでした。 部屋にこもってベッドで布団をかぶり泣く娘にはどんな慰めの言葉もきかず、枕元に夕食を運ぶも、大好きなイチゴを1つ口に運んだだけで、とうとう次の日の朝まで眠ってしまったのです。 その日に受験した学校は、娘にとって1番か2番に順位付けされるほど気に入っている学校だったので、私のひと言は娘を打ちのめしてしまったのでした。 試験はたった1問か2問で合否が左右されるものではないのですが、あとでそのことを浴びせるように言っても、娘の心には届きません。 いくら自分も緊張が続いて疲れていたとはいえ、私は決して言ってはならない一言を言ってしまったのです。 私は自分の馬鹿さ加減を呪いました・・。 厳しい中学受験勉強の全期間を通して、娘は一度も泣いたことがありませんでした。 親に反抗的な態度を取ったことも、大声で不満を叫んだこともありません。 記憶のシステムに障害を起こしかけた6年生秋のトラブルのときでさえ、その症状は少しも兆候を現すことなく、目に見えない病が進行するように、娘は静かに壊れてしまったのです。 学校でも自分の意見を押し通すことをしない娘は、人間関係もきわめて良好でした。 静かな、おとなしい、聞き分けの良い子・・ 周囲の娘に対する評価はしかし、娘の本質を捉えたものではありませんでした。 娘はどんなに辛いことでも嫌なことでも、すべて自分の心の中に押し込んで封印していただけなのです。 日増しにきつくなる勉強のスケジュールを必死に飲み込み、淡々と運命に向かい合ってきた娘にとって、この私の発言は心に押し込む限界を超えていました。 私は娘が長いあいだ緊張によって守ってきた堤を決壊させてしまったのでした・・。 最悪なことに、翌日にも試験は控えていました。 翌日の受験は、娘が「1番か、2番。」と言って気に入っている2つの学校の受験日の、ちょうど狭間にありました。 塾の先生に「お子さんの性格では、あいだに一日お休みを入れるよりも、この日試験を受けてきたほうが、モチベーションが下がらないと思います。」と勧められ、受験することになった学校です。 ですから本命ではありませんでしたが、成績的には「ラクラク」な学校ではぜんぜん無くて、私はこの学校を受験する前日の夜には、試験の攻略について娘と最後の確認作業をするつもりでいました。 しかし、泣きながら眠ってしまった娘を起こすことはできず・・翌日は準備がないまま、試験に臨むことになってしまったのです。 もしこの動揺を翌日まで引きずってしまった場合、最悪は翌々日の「お気に入り」の学校の試験まで雪崩れ的に調子を崩すかもしれません。 完璧にスケジュールを組んだはずだったのに、私の不用意なひと言は、すべてをぶち壊しかけていました。 しかし私はこのとき、受験の成功不成功は少しも問題だと思わず、ただ、かけがえのない娘の小さな心を傷つけてしまったことを悔いていたのです。 私は娘の心痛を思い、眠れない夜を過ごしました・・。 翌日。 娘は特に動揺も見せず、淡々と起きてくると、受験へ向かうため黙々と出発の準備をしました。 受験会場へ向かう娘からは感情がうかがえず、その表情はまるで戦争と向かい合うことから心を逃がすために、感受性をどこかに置き去りにしてきた兵士のようだと思いました。 私はこの日、学校の近くのファーストフード店に立ち寄るため、少し早めに家を出ました。 店内に席を取ると、私は娘にはスープ、自分にはコーヒーとホットケーキを注文しました。 私は紙のカップに入ったコーヒーをちょっとかかげて娘に見せ、 「長かったね。だけどこれでやっと終わるよ。まだ2月まで続くからちょっと気が早いけど、受験終了の乾杯をしようか。」 と言いました。そして、 「お疲れさま。」 と言いながら、二人で紙のカップをそっとうち合わせました。 このときの娘のほっとした笑顔を、私は一生忘れることができないでしょう。 私は今でも、あのときの小さな娘に向かって「こんなことに巻き込んで、ごめんね」と謝り続けているような気がします。 私は受験が始まった1月から終了する2月までずっと、 「ここまで無事に来れて良かった」という思いと、「私は間違っていた」という思いの狭間で揺れていました。 そして、受験した各学校の保護者控え室で娘が筆記試験を終えるまでの長い長い4時間のあいだ、毎回、赤ん坊の頃の娘の幻をみていました。 這い這いができるようになったとき、歌にあわせて小さな体を左右に振って楽しそうにニコニコしていたとき・・ 私はこの子は神様が預けてくださったのだと思い、どんな苦しみからも守ってあげようと決意していたのに。 私はあのあどけない、私しか頼りの無い小さな娘を地獄に突き落としたんだと思うと、後悔で胸が焼かれるような思いがしていました。 もう結果なんてどうだっていい、これだけの苦しみを乗り越えてここまできた娘は、私たち夫婦には出来すぎるくらいの子だ、と思いました。 娘の頑張りに比べたら、偏差値なんか、そよ風に飛んで消えてしまうくらい、価値の無いものだと思いました。 あの日から2年。受験を巡るあの1ヶ月の日々は、良くも悪くも、一生のあいだで一番忘れられない1ヶ月間だったと思います。 これから受験会場にお子さんを送り出していく保護者の方が読んでいらっしゃったら・・ お子さんのこれまでの頑張りと保護者の方の力添えに、大きな拍手を贈りたいと思います。 戦い抜いた数年間、お疲れ様でした。どんな結果になっても、お子さんには最高の賛辞が贈られるべきだと思います。 春にはきっと、お子さんの一生の友だちになる誰かも、同じ受験会場で試験問題と戦っています。 あと少しで冬は終わります。頑張ってくださいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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Comments
須賀惣太郎@
Re:◆アオサギ~不気味に増える、大型の鳥。(06/12)
やっぱり増えている感じしますよね。 私が…
ポールワトソン顔面粉砕太郎@
Re:◆ LUSH と シー・シェパード について(01/02)
LUSH日本支部の意思に拘わらず売り上げは…
みやの@
Re:●ハムスターの死(舌の腫大という奇病)●(01/16)
はじめまして 私は今約1歳半になるプティ…
ムッティ@
Re:●ハムスターの死(舌の腫大という奇病)●(01/16)
こんにちは。 我が家のハムスターが今週末…
にふら@
Re:●ハムスター&砂ネズミの床材、試行錯誤。●(02/13)
スナネズミを飼い始めた者です。 ハムスタ…
クロエ@
Re:●ハムスターの死(舌の腫大という奇病)●(01/16)
昨年9月に生まれた、初めてのハムスターを…
ぷり県@
Re:◆梅が咲く、早春の靖国神社へ。(02/05)
古い記事にメッセージを失礼します。靖國…
しおん★☆@
Re[1]:◆オープン前のメッツァビレッジへ。訪問レポ(11/09)
ふぁみり〜キャンパーさんへ 私が見た現…
しおん★☆@
Re[1]:◆オープン前のメッツァビレッジへ。訪問レポ(11/09)
HANG ZEROさんへ そうそう、このカップの…
ふぁみり〜キャンパー@
Re:◆オープン前のメッツァビレッジへ。訪問レポ(11/09)
キャンプ場もあるんですか・・・ 確かにキ…
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