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空想俳人日記手塚治虫作品限定版

空想俳人日記手塚治虫作品限定版

手塚治虫作品再読の効用

もっともっと私に届け半分以上 

 手塚治虫作品を再読するのに意味なんてありませんでした。しいて言えば、再読した作品の感想をメモること(メルモじゃないよ)。とにかく、健忘症の自分としては、人生が終わるまで、作品の記憶を留めたいから。忘れても、自らの感想から思い出したいから。だから、殆ど再読、中には再々読、再々々読、そんな作品たち。
 でも、そうまでして記憶に留める? いや、記録にする? そうまでして、何故に再読するのでしょう。その時々に感動し館銘すれば、あとは記憶に残るか否かは自分の脳味噌に任せればいい、そう思いもします。
 実は、ちょうど今、「ブッダ」を再読している最中ですが、文庫版の巻末の解説というかレビューというか、その中で、あのTBSの23時からテレビに登場されている「ニュース23」の筑紫哲也さんの文章に出くわしたのです。以前読んだ時、彼の文章に何も思わなかったのでしょうか。というよりも、彼が巻末の解説を書いているなど、記憶にもございません。でも、今、ここで彼をとりあげるのは、その文章に、えっ、と思ったからです。ちょっと、そのまま引用させてください。
「自分が作品に託したメッセージが『半分以上届いていない』と見ていた手塚氏の自己評価のことである。それは若き日の“通過儀礼”としてのインパクトが大きければ大きいほど、その作家が背負うことになる宿命ともいえる。単に通り過ぎるのではなく、そこに再び立ち帰ってみれば、そこには以前には見落としていたさまざまな発見があるはずである」
 これだ、そう思いました。私にとっての再読はこれだ、と。もし、私が手塚作品を始めて読んだ「鉄腕アトム」を一度読んでそのままにしていたら、おそらく「半分以上届いていない」作品だったのではないでしょうか。ただ、いかんせん、例えば、初期作品からのファンからすれば、私は、彼を途中からしか知りません。故に「ロストワールド」や「メトロポリス」などを、ある意味で“通過儀礼”的に読んだと言っても過言ではありません。なんせ、鉄腕アトム以降のお上手な絵からすれば、その当時はあったかみはあるものの、今ひとつデッサン力がどうなんだろう、とか、昔のディズニーのタッチに似ているとか、文句ばかりでいまいち馴染めなかったのも事実です。しかし、それらの作品は作風とかタッチなどを問題にするよりも、構想というか、物語に託されたテーマやロマンとでも言うべきでしょうか、“通過儀礼”ではすまないのです。
 さらに筑紫さんはこう述べて締めくくっています。
「この作品の読者はとくに、それを見いだすことが多いに違いない」
 この作品とは「ブッダ」にほかなりません。「ブッダ」そのものに関しては、再読が完了してから改めて書きたいと思いますが、かつて読んだときに充分に理解して読んだつもりであるはずの自分なのに、そこに新しい発見をしている自分がいるのです。ということは、手塚氏が「半分以上届いていない」という言葉からすれば「半分以上理解して読んでいない」自分がいるのかもしれない、そうも思えるのです。だからなんです。再読しなければならないのは。いや、ねばならない、ではなく、再読したくなるのです。もちろん「火の鳥」のようにマニア向けのCOMで連載された作品はもちろん、例え、それが少年向けであり、あるいは幼児向けの作品であったとしても。
 そして、もうひとつ思うこと。彼の作品を、ただただ感動し、涙した作品に対し、改めて再読した時、「半分以上理解して読んでいない」のではなく、あの感動や涙を「半分以上忘れ去っている」だらしなくも仕方なしに居直って生きている大人がここにいる、そんな情けなさを味わうことができるのです。月刊誌や週刊誌を読み捨てるように、いつまでも取っておかずにゴミの日に出すように、大切な感動や涙の源までゴミの日に出してしまっている自分。
 手塚治虫作品の再読は、私にとって新たな発見と失われた心の再生とで、重要な行為なのだ、そう再認識しています。何度読んでも決して捨てられない、人生の糧と言えましょう。
 私は何のために生きているのか、いつまでたっても分からない自分のガイドブック、いやバイブル、それが手塚作品なんです。
2011年04月24日
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《十万百秒物語》を出版した理由

 拙者文芸サイト《空想戯画読本》が、インフォシークさんの無料HPサービス《iswebライト》のサービス提供終了(2010年10月31日)に伴い、閲覧できなくなりました。この《十万百秒物語》シリーズも、それまで、そのサイトでバックナンバーを読むことができたのですが、それも叶わなくなった記念に、《あとがき》を書いていただいたまるみんさんからの助言も受け、このたび《十万百秒物語》を出版することを決意いたしました。
 書き始めたのは、初めてHPを開設した頃だから、1998年ではなかったでしょうか。そして、サイトを放りっぱなしにしたのは、2006年。つまり、1998年から2005年までの約7年間ほど掛けて書いた短編シリーズということになります。その間の作品数は83編。ただ、出版にあたり、最後の《其の八十四》は新たに書き下ろしました。
 短い作品ばかりと思っていたので一冊にまとまるかな、そう思っていたのですが、結局は2冊になってしまいました。しかも改ページもせずにぎゅうぎゅうに詰め込んだのですが、それでも一冊あたり300ページを越えてしまいました。普通なら200ページまでなのでしょうが。
 なにはともあれ、こうして出版に漕ぎつけてしまったわけなのですから、出来る限り多くの方に読んでいただけると嬉しいな、なあんて思っております。
 また、十万百秒物語は其の八十四で終わっていますが、読まれた方の筆が、各々の十万百秒物語を書いていただけるようになれば、もっと面白いのじゃないのかな、ブログなどで、《私の十万百秒物語》なんてサイトができても面白いのじゃないかな、そう勝手に思い込んでおります。
 では、十万百秒物語が十万百編になることを願って。

志?





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最終更新日  2011年04月25日 07時19分35秒
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