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カテゴリ:テキトーな映画レビュー
子供の頃に怖い映画を観てしまい、ずっとそれが忘れられないという方は多いと思います。 私が子供の頃はまだホラー映画、グロ映画の規制が今ほど厳しくはなかったため、例えばかの有名なイタリア映画「食人族」の宣伝として、串刺しになった全裸の女が新聞の紙面一杯を飾っていたこともありました(「食人族」はホラーと言うより似非ドキュメンタリー映画として良く纏まっていると思いますが)。 ちなみに、食人族はサントラが美しいですし、先住民の平和と秩序を乱すとどういう目に遭うのかというメッセージ性もあり、全体としては悪くない映画だと思います。 グロさばかりがフォーカスされてしまったのはとても残念です。 1970年代、80年代はイタリア、アメリカ、フランス、スペインのホラー・スプラッター合戦が繰り広げられていましたので、過激な描写が含まれる映画が次々と輩出されていましたね。 ゾンビ物や死霊物が色々なパターンで映画化されたのもこの頃ですから、怖い物見たさでこの手の映画を家族連れで観に行った方もいらっしゃるのではないでしょうか。 それでは今回は、私が子供の頃にビデオを借りて強烈なインパクトのあった映画を一つご紹介することにします。 ルチオ・フルチのザ・サイキック ルチオ・フルチと言ったら、グロ系映画を想像する方も多いかと思いますが、こちらの映画はグロ度はかなり低めで、最後まで息の抜けないミステリー作品です。 ちなみにイタリア語原題は Sette Note in Nero(黒い七音符)、英語版タイトルも同様に The Psychic で、副題に Murder to the Tune of the Seven Black Notes (殺しの黒い七音符の調べ)とこれまた余計な情報が追加されています。 これでは、観る前から七音符のメロディーが鍵となる殺人事件を超能力者が解いて行くストーリーであることが丸バレというものです。 もう粗筋を述べてしまいましたので、ストーリーそのものについてはこれ以上触れませんが、この映画は今となっては見どころ盛りだくさんのお得映画となっております。 見どころ 1:チープすぎるプチグロ 母親が崖から飛び降り自殺を図るシーンは、ばっちりマネキンが使われています。 コマ送りで止めて見ると、腕の所なんかは空気で膨らませる人形のように縫い目みたいな物まで見える始末です。 これだけでも十分にチープなのですが、顔の皮が崖に擦れて剥けるところの気持ち悪さがプラスされていますので、一見の価値はあります。 特撮は確かに進化したでしょうが、CG なんかを使わなくてもできることは沢山あったのだと改めて教えてくれるシーンですね。 見どころ 2:主人公 Jinnifer O'Neil の妖艶な美しさ 主人公ヴァージニアを演じる Jennifer O'Neil も妖しさ漂う美しさで、話し方から仕草の一つ一つが何だかやたらとエロっぽいです。 さすがに Cover Girl 化粧品の専属モデルを 30 年間勤め上げた揺るぎのない美貌と、 8 回の結婚歴を持つ魔性の女というだけのことはありますね。 見どころ 3: ファッション 奇抜なファッションセンスもこの映画の特徴です。特に、シャツと同じ柄のスカーフを巻くのは組み合わせ的にはアウトなのですが、何故か彼女は見事に着こなしています。 これこそ、モデルと一般人の差を見せ付けられたような気がする瞬間です。 あとは婆さんの服のセンスもすごいです。 真紫のカツラに真緑色のトレンチコートで登場です。 現代なら、監督がゴーサインを出してもスタイリストが慌てて止めに入るレベルの組み合わせですね。 他にもなんちゃってポイントはいろいろとありますが、その中からいくつかをご紹介します。 【目を皿のようにして見てみよう!】 1. 冒頭の母親がイギリスで自殺を図った時刻が 11時45分で、イタリアにいる娘が母の自殺を目撃するのも 11時45分。だが、イギリスとイタリアでは 1 時間の時差がある。本編では、主人公は過去を透視できると思い込んでいるが、幼少期のこの一時間の差の体験が、一時間後、つまり未来を透視する能力が自身に備わっていたことを暗示している。 2. 殺された雑誌モデルの少女がパンツを履いてなかったので、ミニスカートの中が丸見えだったと、いかにもゲスっぽい理由づけで彼女を目撃したことを思い出すタクシー運転手。 3. JITAN という象も死ぬ程の強さの黄色い紙巻煙草を美味そうに吸っている義姉。56人の男と付き合った経験があるという時点で胡散臭さ倍増。しかもそのずっと後にはヴァージニアも義姉から貰った JITAN を吸っている。 4. 当時の歯科技術。登場する女優の歯を見てみると、現代のハリウッド女優と比べると透明感が無い。恐らく当時の被せ物はレジン中心で、現代のものより大きめだったと思われる。 個人的な印象ですが、イタリア人監督は赤の使い方がとても上手だと思います。 先日 Voyager さんのところで紹介されていたサスペリアもイタリア映画で、寄宿舎の内装には赤がふんだんに使われていましたし、ホラーシーンもまっ赤っ赤。 こちらはホラーというよりはサスペンス要素が強い作品ですが、顔の皮が剥けるシーンや、死体が出てくるシーンはやはり真っ赤っ赤です。 当時は血を連想させる赤色を作品の至る所に散りばめることによって伏線を張りつつ、緊張感と恐怖感を募らせていたのでしょう。 今のようなホラーの定番色である錆色、ヘドロ色、ウン○色などは当時では NG だったのかもしれません(あくまでも個人的な憶測です)。 おまけ: 米国版のカバージャケットは H. R. Giger の作品ではないかとかなり確信を持っているのですが、ネットで調べてみたところ、私と同意見の人が何人かいるだけで、真相は定かではありません。 タラコ唇な感じが、EL&P の Brain Salad Surgery(恐怖の頭脳改革)のジャケット画像の唇とウリ二つなのがお分かりいただけるでしょう。 このアルバムを持っていますが、全体の出来栄えとしては安っぽいゲーム音楽のようで個人的には残念な感じです。
H.R. Giger 公式サイト(英語) [外部リンク] おまけ 2: この映画が公開されてから四半世紀後に Kill Bill で黒い七音符を聴く事になるとは夢にも思っていませんでした。ウィークエンダーテーマソング(笑)と同じく、こちらでも鳥肌が立ちました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.02.13 18:04:38
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