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2013.08.03
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テーマ:カルト映画(14)
「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」

 これは、日本民間放送連盟がテレビ CM で流していた覚せい剤撲滅キャンペーンでおなじみのセリフでしたね。
 一般家庭の主婦が覚せい剤に溺れてしまい、家庭をかえりみなくなるという恐ろしい映像を、三十代以上の方なら今でもはっきりと覚えているのではないでしょうか。

 日本は他の先進国に比べると、違法薬物へのアクセスが比較的困難だと思いますので、早寝早起きを心がけ、夜も早く帰宅するような生活を送っていれば、まず身の回りで違法薬物が話題に上ることすらないでしょう。

 しかしながら、学校、会社、組織など、人の集まるところには、心の隙を突いてそういった薬物が入り込んでくる可能性は十分にあります。

 あまり大々的に新聞には載りませんが、毎年必ずどこかの学校で脱法ドラッグや、麻薬問題が起こっている現状を見ても、誰でもちょっとしたきっかけで、道を踏み外してしまう危険性と隣り合わせであると考えても良いのかもしれません。



 違法薬物には常習性が強いものと、弱いものがあります。
 詳細はネットで調べていただくとすぐに見つかると思いますが、その中でも、一度手を付けたら一巻の終わりと言われているのがヘロインです。

 薬が切れてくると、全身がバラバラになるような激しい痛みに襲われるとも言われますので、それを抑えるために次の薬が必要となり……と繰り返しているうちに、確実に廃人コース、続いて死亡コースに乗せられてしまいます。


 最近の中学校や高校ではどのような教育が行われているのかは不明ですが、私が高校生だった当時は、シンナー(トルエン)の濫用で校内で死者が出たり、未成年の喫煙が問題になっていた時期でもあったため、学校で薬物撲滅フィルムを見させられたものです。

 フィルムの中では可愛いチンパンジーが薬物実験の餌食となってしまっているわけですが、一人でも多くの人たちに薬物の恐ろしさを訴え、撲滅していく必要があると思います。


 さて、前置きがものすごく長くなってしまいましたが、今回ご紹介する映画は、実話をベースに、深刻な社会問題としてドラッグを扱った 1983 年作スペイン映画 El Pico になります。
 マイナー色の強い映画ですので、当然楽天にも取り扱いがないため、残念ながら今回はジャケットのご紹介はありませんが、IMDb の方にエントリが見つかりましたのでリンクを張っておきます。

 El Pico (IMDb) [外部リンク]


 この映画は、私が学生時代にスペイン語を取っていた時期に何かの間違いで観てしまった映画です。
 細かい所はもう結構忘れてしまっていますが、いくつかのシーンは印象に残っていますので、ここで紹介したいと思います。

 私の知っているかぎりでは、スペイン映画は少々変わった題材のものが多いのですが、それらに比べると、こちらはごく普通のドキュメンタリーっぽい映画の部類に属すると思います。


 まあ、題材はザ・ドラッグなんですけどね。
 ハッピーエンドなんて夢のまた夢です。


わかりやすいあらすじ


 コカイン常習者の高校生の親友二人が、とある売春婦を通じてヘロイン中毒に。
 薬を買う金欲しさに売人をやったり、男女問わず身体を売っちゃったりしているジャンキーなこの二人だが、実は国家に仕える家柄のお坊ちゃん。
 そのうち、一人がヘロイン中毒であることが父親にばれてしまい家出。
 父親は権力を行使して麻薬ルートのあぶり出しと息子の捜索に乗り出す。
 果たしてこの二人、どうなっちゃうのか?
 

みどころ


  1. ストーリー進行が速く、しかも淡々としている

     全体を通じてしっかりと問題を提起したドラマになっているとは思いますが、目立った抑揚感はありません。
     それだけにリアリティを追求したドキュメンタリータッチになっているともいえます。
     ただ、一つのシーンから次のシーンへの移行が速く、本来はもっと感情を表現すべきところを省略しているところは残念ポイントと言えるでしょう。

  2. Guardia Civil (グアルディア・シビル)なら買い放題

     主人公の母親が重病(多分末期がん)の痛み止めのためにどうしてもモルヒネが必要なわけですが、薬局で買おうとすると、薬剤師にそんなの無理、と突っぱねられます。当然ですね。

     そこで父親が言い放ちます。

    「オレはグアルディア・シビル(市民警備隊)だ。モルヒネを出せ。」

     この一言で買えてしまうところからして、何か間違っています。
     こういう環境の家庭にいると、どうしても薬物へのアクセスが容易にならざるを得ないでしょう。

  3. 救いの天使はゲイの兄ちゃん

     主人公が金欲しさに身体を売っていた、お相手のゲイの塑像芸術家は、主人公の禁断症状に懸命に立ち向かいながら何とか彼を薬物の魔の手から遠ざけようとします。

     本作の中で唯一心が温まるシーンですので、必見です。

  4. やっぱり疫病神な売春婦

     ゲイの兄ちゃんによってやっと立ち直りかけた主人公ですが、彼を深みに引きずり込んだ売春婦と再び繋がりを持ったことで元のドラッグ・ジャンキーに逆戻り。

     更正したように見えても、きっかけさえあればいとも簡単に以前の悪習慣に逆戻りしてしまう人間の弱さと、絶対に逃れられない麻薬の恐ろしさ。

     売春婦の存在さえなかったら、彼らはまだまともな人生を送っていただろうと思えてくるのですが、彼女のような存在を常に警戒して、遠ざけなければならないのが私たちですね。

どうでもいいトリビア


  1. 本当に吸ってる、打ってるとしか思えない

     ハリウッド映画ならそれらしい描写でまとめるので安心して観られますが、エフェクト的に考えても、こちらはどう見ても本物っぽいです。

     撮影現場のモラルとしてどうなのかは、当時はそれほどうるさくなかったのかもしれません。
     実際、主人公を演じた俳優は 28歳という若さでお亡くなりになっています(IMDb調べ)。

     このシーンには、リオのカーニバルで流れるような、楽しさ一杯の軽快な音楽が流れます(実際にリオ・デ・ジャネイロとと聞こえたりする)。

     どうもこの映画には音楽的なセンスは期待しないほうが良いでしょう。

     しかも、どういうわけかマリリンモンロー、フレディ・マーキュリー、泣きピエロのポスターのショットが順繰りに現れるのですが、ドラッグと彼らの関連性でも訴えたかったのでしょうか。

     あとたまに若かりし頃のデヴィッド・ボウイのポスターも登場したります。
     謎です。

  2. 妙に明るいドンパチシーン

     市民警備隊の父はテロリストの標的にもなっており、途中で命を狙われます。

     このときにちょっとした銃撃戦になるのですが、バックグランドで流れる曲が、子供の教育番組で掛かっていそうな妙に能天気なメロディなのです。

     この映画に音楽的なセンスは期待しないほうが良いでしょう(二回目)。



 最後に、この映画のタイトル El Pico について考えてみたいと思います。

 El Pico は英語でいうところの The Peak で、日本語にすると一気に訳が増えてしまうのですが、頂点、絶頂といった意味合いになります。
 また、peak は尖った部分のことも言いますので、注射針を彷彿させますし、薬物によって得られる高揚感から一気に禁断症状のスパイラルに落ちていくギリギリの境界点も想像させます。

 しかし、私個人としては、薬物の恐ろしさに触れずに済む健全な状態が最高(ピーク)なのではないかと思います。

 本作品は、本来は知らなくて良い世界の出来事ではありますが、情報として知っておかなければ予防も対策もできない問題ですので、教育目的でこのような作品が他の形でも映像化されることを期待します。



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最終更新日  2019.02.14 21:04:37


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