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眠れない夜のおつまみ

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2005/02/26
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テーマ:小説日記(233)
カテゴリ:LOVE
晴れたいい天気だ。
サトミは非現実的な空間に包まれていた。
アクセルを踏み込むと爆発音のような音をマフラーからばら撒きながら一直線の高速を走っている。
サトミは心地よかった。
前の車が車線変更して私達の前は果てしなく続く1本の道のように思えた。
ミケはどんどんアクセルを踏み込んだ。
サトミは引力が重くのしかかって来るのをどんどん感じた。
メーターは200以上になっていた。
ミケが笑い始めた。
サトミはミケの表情にゾクっと感じる物があった。
危険をかえりみない様なその行動。
自由とは違う、狂気的に見えた。
「アリス、怖いか?」
「危ないよ。」
ニヤリとミケは笑って
「大丈夫だよ。」
珍しい物を見せてやってる、と言う様な自慢気な顔で言った。
サトミは引力を感じるたびにギュと両足のつま先に力を込めた。
終点の出口で一気に速度を落とすと、今までの暴走が嘘のようだった。
「あ~あ・・・楽しかった。乗り納め式はこれで終了。怖かっただろ、アリス。」
頷いた。
「でも、きっと二度と乗れないよ、こんなのには。」
少し寂しそうに言った。
10分ほど走ると堤防沿いの道に出た。
海が太陽の光を反射してキラキラ光っている。
海なんて久しぶりに見た。
サトミには新鮮だった。
ミケと一緒にいる事が全て新鮮な出来事だった。
細い道を左に入っていくと看板が見えた。

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「着いた。」
ミケはドアを開けて車を降りると店から店主が出てきた。
「お久しぶりです。」
「待ってましたよ。警察に捕まりませんでした?あれ?そちらは?」
サトミを見て言った。
「こんにちは。」
サトミが挨拶すると店主は二コリと会釈し、それ以上は何も聞かなかった。
「ちょっと時間かかるよ。どうする?」
「うん・・・海近いから散歩してくる。」
サトミは海岸の方に向かって歩き出した。
歩いて10分で堤防に着いた。
階段があったので下りてみる事にした。
風も無く、暖かく、春を予感させる穏やかな海だった。
一人になるとコウジの事が頭に浮かんでくる。
でも、暖かな今日の陽気と穏やかな海の波音を聞いていると少し和らいでいくのを感じていた。
「おーい。」
ミケの呼ぶ声で引き戻される。
「終わったよ。・・・駅まで歩こうか。わりと近いんだよ。」
「うん。」
堤防沿いの歩道を歩いた。
15分ほどで無人駅が見えてきた。
切符を自動販売機で買ってホームに行くとホームから海が見えた。
「ホームから海が見えるんだね。」
サトミは純粋に感激していた。
「うん。いい場所だろ?穏やかで。気持ちが和らぐ。この駅が好きでたまに電車で来たりしてるんだ。」
2人は風や太陽の光、波の音をゆったりとした気持ちで受け止め楽しんでいた。
20分後に1時間に1本の貴重な電車がやってきた。
乗り込むと車両にはほとんど人が無くガラガラだった。
鈍行電車はカタコトと心地よい規則的な音を出しながら走り始めた。
サトミは気になっていたことをミケに聞いた。
「ねえ。なんでミケは三毛猫の肉球なんてハンドルネーム付けたの?」
ブッとミケは吹き出した。
「あれね。もうちょっと考えとけばよかったと思う。まさか会うなんて思ってなかったし。アリスならまだいいよね。本名でも行けるし。」
サトミも吹き出した。
「三毛猫、飼ってたんだ。子どもの頃。学校の帰りにまだ産まれて間もない赤ちゃんの猫が置き去りにされてたのを拾って俺の家族で育てたんだ。人間でもそうだけど、猫の赤ちゃんもプニョプニョで気持ちいいんだよね、肉球が。それが忘れなくて、思わず付けたんだ。」
「その猫はどうしたの?」
「ある日突然いなくなった。猫って死に際は他の物に見せないように消えちゃうみたいだね。」
「ちょっと寂しいね。」
「まあね。アリスはなんでアリスなの?」
「単純よ。不思議の国のアリスが小さい頃から好きだったの。」
「まあ、そんなもんだよな。」
クスクスと笑いながら喋った。
たわいも無いお喋りに時間を忘れた。
駅に着くと日が暮れていた。
駅員のアナウンスに2人は現実に引き戻された。
改札口を出るまで沈黙が続く。
人ごみの駅の中、2人にだけはそのざわめきも聞こえなかった。
ミケが急に振り向いて言った。
「もう少し一緒にいて欲しい。」
サトミはドキリとしたが、小さく頷いた。


                <つづく>



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Last updated  2005/02/26 03:54:59 PM
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