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眠れない夜のおつまみ

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2005/03/07
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カテゴリ:LOVE
月曜の朝は何故だか気だるい。
それは、学生の頃も社会人になってからも変わりない事だ。
私は会社のロッカーに着くと制服に着替えた。
受付にいるのは、私と2つ上の速水清美の2人である。
以前、私が付き合っていた男に密かに思いを寄せていたらしく、いつものように振ったと知ってか、その男と別れてから時々意地悪をしてくるので大嫌いだ。
だいたい、思いを告げれずイジイジしていて、自分が振られた訳でもないのに何故私に意地悪をするのか、と思う。
私はいつも「好きな人が出来たから。」そう言って相手を傷つけないように別れているじゃない。
それで今までトラブルも無いし、怖い目にだって会った事無いんだから私のやり方は間違っていないのよ。
ぶつぶつ頭の中でつぶやきながら、マリはにっこりと微笑んで速水に、
「先輩、おはようございます。」
と毎朝挨拶する。
速水は返事もしなかった。
マリはそんな事にいちいちめげたりしない。
昼休みは交代で1時間づつ取るのだが、その間受付は1人だけになる。
いつも先に先輩の速水が取る事になっているので、マリはその時間が大好きなのだ。
あ~、のびのびできるなぁ!
心の中では毎日そう叫んでいる。
玄関の方をぼーっと見ていると、日下部がこっちに向かっていた。
あれ?ここに来るのかしら?
そう思っているとドンドン近づいて来た。
「こんにちは。」
予想外の展開にマリはドキドキしていた。
でも、そういえば、うちに数回来たことがあるって言ってたじゃない。
私は覚えてなかったけど。
「ご用件は?」
「いや、今日は別にここには用は無いんだよ。たまたま近くを通ったものでね。君の顔が見たくなってちょっとだけ寄ったんだよ。制服姿もいいね。」
と、言って日下部はクスクスと笑った。
「マメじゃなかったんですか?」
思わずマリは口が滑った。
「ごめん。そう言えば、俺はマメだってアピールしたのにな。ここんとこ仕事が忙しくてね。掛けようにもなかなか掛けれなくてね。でも、電話よりも実際会って話をするほうのが本当は好きなんだ。」
茶化されるかと思ったら、真顔で言う日下部が意外だった。
そして腕時計を見ると、
「それじゃ、近いうちにデートにお誘いするよ。断るなよ。」
と言って足早に玄関に向かって歩いて行った。
やっぱり、掴み所が無い人だと思った。
その夜、携帯が鳴った。
日下部からだった。
「もしもし。日下部と申しますが、マリさんでいらっしゃいますか?」
何だかかしこまり過ぎて笑えてきた。
半分笑いながら電話に出た。
「はい、そうですけど。」
「何笑ってんだよ。」
「だって、そんな言い方可笑しいですよ。」
「うん・・・まあ、間違い電話かけちゃうとまずいでしょ?こんな時間だし。」
キィーと電話の向こうで音がした。
椅子の回る音だ。
「まだ、お仕事中なんですか?」
「ん・・・そうだね。いま一段落ついたら急に君の声が聞きたくなってね。昼間顔見たからかなぁ・・・。また会いたいなぁ・・・。」
独り言のように日下部は話した。
「でも、今お仕事忙しいんでしょ?」
「まっ、もう少しの辛抱なんだけど。週末には多分今の仕事が片付くからね。そしたらデートしよっか?」
「でも、曖昧な約束は私は出来ませんよ。」
「日にちを決めろって事か~・・・。今はちょっと微妙なのになぁ・・・。我がままだね、君は。」
そう言うと急に電話が切れた。
なに、それ?
数秒待っても掛かってこないのでマリは寝ようかと思って電気を消そうとした。
すると携帯がまた鳴った。
「君は俺のところには電話掛けてくれないの?」
何それ?訳わかんないよ。
マリは笑いが止まらなかった。
「おいおい、そろそろやめてくんない?じゃ、土曜。土曜までに何とかするから、土曜、遊びに行こう。」
「はい。楽しみにしています。」
マリは電気を消しても、笑いがこみ上げてきてなかなか眠りに就けなかった。


                        <つづく>



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Last updated  2005/03/16 12:04:27 PM
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