1976168 ランダム
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灯台

灯台

不安の午後



   不安の午後。

     ――水族館のアクリル板を想像する公園は永遠の蒼空!――


          人  物


        羽根を持つ鴎(26)

        雷鳴を聴く男(32)

        水の中の職種について考える男(42)

        超音波の波に溺れている女(21)

        断層は冷えていると感じる老人(79)

        十何年も前はよかったを繰返すエキストラ男(年齢不詳)

        きれいねを繰返すエキストラ女(年齢不詳)


               かくれが
 ――おまえは一秒の間に宇宙をひと繞り
 トレモロ
 顫音、ここにはものやわらかな問いかけが、


  何もしてない。
 
  してない、と思う。

    大丈夫です、眠っています――
    ・・・そう言われながら、大きな氷の破片を、
    胸に突き刺されたような気が。した・・・

  、、、、、、、  
  胎より生るる子――水滴 の音で、

  目を覚ましたのは覚えている。

  ストーブに入るべきもの・・断末魔の形相・・

  薄紗の帳白く垂れて軽く窓の板玻璃――

惹き付-けられ・・好き-になった・・

トタンの-屋根に・・向こう-見ずに、キャッキャッ・・キュツ、

きこえ・・くる-無恥蒙-昧に・・
 

  閉じ込められてゆく-せめて一時間――とまあいった次第・・

        Open up! Open up!・・悪魔の紅い目玉・・


   しかし

   ・・しかし

   それ以前は、気を失っていた、はず、だ・・・

    ――よく、覚えていない。

      「思い出せないのか――」

      「・・知らない」

    いつにない荒々しい言葉で叫んだ。ドライアイスのような部屋の床を伝う・・

    慌てて外へ出ていったかと思うと、世界は、凄味を増した。

    みずみずしいカーヴとクリームのような肌。ワンピースの襟ぐり。

    たちまち、どしゃ降りになってきた。

    絵画、家具、コインのコレクション・・

    空を裂いていた稲光がだんだん激しくなり、

    大地を割るような雷鳴が窓ガラスをびりびり震わせた。

    雷雨はますます強くなってきた。
    はやて
    疾風が裏山を鳴らしている。


    (手帳の下から、ぱらりと一枚の紙片が落ちた。

       それで――

       ・・・それで、

       もう何年も前に、会話を見失ってしまった――



 針が 零時十五分前を 指している
      いろ
 いわく 彩にひそんだ“時間”よ・・

 ゆるしてくれ・・幻よ、あの重たげな花瓣が、
 
 一切のお前として 尻っ尾と一緒にお尻まで振っていた

 おこりかけの炭火のように――おはじき・・セロファン越しに

 てのひらに降りし雨、ビー玉・・浴室の 濡れたタイル、

 青みどろ。――かの少女きたりて、忘れ物と、さし出すを見れば・・

 誰の血だ 尾行られていた ・・カメラに、路上に

 いたずら電話を かけられていた 電話ボックス に・・

 何者かによって ポストへと変な手紙が 届いていた

   
   「空耳か?・・」――ピアノの透過・・


 (ポプラスの梢の蛍のような、)

 窓の向こうから男が手を出す。隣にいる男が、カレンダアを捲ってしまう。

 (携帯電話とメールアドレス)と言うよう・・な・・・

 工場に於ける歯車の廻転――試験管を振る研究者の手・・

 グラスの触れ合う音や 陽気な声・・・

  聞こ・・え――

 
  やさしきおもかげの身に添ふ心地・・おもちゃよ、

  ぴくりと動く――心が動き・・いつまでも裏返ってくれる・・霧の夜、

  さざ波の分身よ――もっと苦く・・もっと重かったものよ・・・


 「お前は――ずっと・・・」

 ずっと・・・・・・

 (うそつきな・・・くすりゆび――)

 (学歴やキャリア――電流が走る・・)
 、、、、
 午後十時、風はいくらか凪いでいた。

 小奇麗なバアのカウンタアで、何杯もカクテルを飲み、

 そのあと、女性と夜を共にした。

 顎の筋肉が、ぴくぴくと動いていた。

 家系図と葬儀会館。

 そして小切手・・

 高いうねりをものともせず、甲斐がいしく救助に向かった、

 医者。あなたの顔は性差別者めいていないか、敵意はないか、

 理解や共感が持てるか。貞操に十万ドル、
                    制御装置(controller)
 プライドには最低でも五十万ドル・・     演算装置(calculator)
              (コンチェルトは聴こえない――)     
 幻の殺人事件には百万ドル・・・   記憶装置(memory unit)
                  入力装置(input unit)

 羊水・・胎内回帰感覚、 出力装置(output unit)

 水に浸って漂っていたボートを曳いて、 

 空しく引き揚げる――まで、

 僕はそんなことを考えて――た・・

   a 壁、失墜、禁忌 b 焦燥、損壊 c 瞳孔の中で水滴の光が遠ざかる
   [何かに対する大袈裟な反応を示す]・・(はたしてそうだったろうか?――)
  イヴァン・アイヴァゾーフスキーの[第九の波濤 1850 油彩・カンヴァス]

                                        自然

で自由な――どんな歴史の見かたで、どんな階級の人として、・・侵略緩衝液

                          貴重な富とも交換したくなる

                 いまでも、ひそひそ声の会話に耳を澄ませながら、

               図書館のドアの先に向かってる・・

           音楽に対する共感覚の反応、反応する・・重力・無重力感覚


     (カッとなって、大声で)雷が落ちる・・にわか雨だ。でも、闇から引き裂かれ、茶番劇。
    デモンストレエション。波紋ある絹。節のある糸。脈づきはじめて・・る・・・



   ――つっ走る夏の雨の音


 《すぐにその足あとは波に消されてしまう。》

    (こわがらないで、ほら貝の鳴ってる)

 鉛筆やノートをあてがわれ、不自由するものは何一つなかったのに、

    ああああ 血出てるんじゃないか! 回想だ、述懐だ・・

  街路の、アスフ-ァ-ル-ト(ガチョウががあがあ鳴いた)
 
   ......キレイだ。痴呆めいた狂的なものの深い皺、

     (じゃあ、あなたは――続けろと言うんですね?



    眼の前の展望は段々狹まって、歯ぐきがむずかゆい、乳の感覚・・

    上流に溯る。わすれては、われを呼ぶ声にまどろ――んで・・いた、



 自動車の テエルランプに ナイフがざっくり
 
 青草が知らぬ顔で、あさがおみたく せいせいと伸びている

 でも薫り高い薔薇の咲く頃は、もう、訪れやしな――い・・

  (粘土でつくった窓だったのだ。鳥がやったのだ。

 カリフォルニアの ブロッコニー

   (レシートの別称。

 クリームスパゲティー

  (口もきけぬ弱い臆病な女たちが流すもの

 千切ったフランスパン

  (腕――そうだ、君は僕を見ない・・


        ほのあをい煙    やがてそれを見ない罪を感じたふり

    石の色のうるはしき! 岩のたたずまひ、水のながれ

    まろい胸、甘いにほひ、――に・・溶けてしまひたい・・・



 袋ごとのお菓子 ビスケットのように割れる

 同時刻、トラックとオートバイが疾走

 小さな虫が 「遊ぼうよ」と言う・・蛇の眼をして

 青ざめたけれど、きこえるのは  孤独な羽搏き

 傘のない彼は濡れるまま けだるく濡れて 盲いた

 傘のない彼は濡れるまま・・、水が氷に変る際の、容積の膨脹

 気がつくと、自分が今、何処にゐるのかわからない。

 気がつくと、自分が今、何処にゐるのかわからない。


   (萎みて色褪せたれど、花なほ枝・・)

        (手元が滲む 春の終わり――)


      「何も言わないね――僕の眼を見ないね・・」

        コンフィデンストリック・・コンフィデンスゲエェム!

        さるすべり・・半透明な水――腋の下の土を染める緑さ・・・


 系内に存在するいくつかの物質の濃度が周期的に変化する振動反応の代表的な例
   ベロウソフ・ジャボチンスキー反応・・条件反射――

  「肛門は暗色の胡桃かも知れない・・」(我々の目は光に反応する、)
                マントラ
 もっと“心臓”で感じてと、真言は、《連鎖反応を誘発する、》

   (異議! 批評! 拍手!――この泥が、雨の磨きで、魂の狂れで、はばたき・・

   (彫刻! 彫刻!・・赤い線が混じり、青い線が混じり、うすくかがやく裏面の木目。

   ――幻覚誘発性薬 ――精神的拒絶反応


    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・噫、汝愁える、鏡よ、

    (ボタンのとれた貧しい司祭服を見せてくれ・・)

    そこは、

    ・・・そこは、

    
    [しろい花の縁飾りのついたような、道です]
    コンピュータールーム
    電子計算機室 へ ようこそ

      ・・・・・・・・・・・・底深き氷の下に沈みたる落葉――――――でも・・

 トレモロ
 顫音、ここにはものやわらかな問いかけが、

   a 推進を企図する図式 b 勝手放題な気象 c 芳醇な果物に蟻がたかる
   [きらりと光った目の色をかくして、]・・(直腸での糞便の存在、)
  ジョーゼフ・マラード・ウィリアム・ターナー
    [雪崩、アルプスを超えるハンニバルとその軍勢 1811頃 油彩・カンヴァス]
  
                                        核心

に隠れた欠陥――物柔らかな声で、・・この機械は人間の声に反応する。

                     摩擦にたえるだけの幸福な定型としてある、

           おとりに反応する・・刺激・命令における幼稚な反応

  青い湖水の底に――また花々の間に・・
  偉大な石工たちを眠らせよう・・


  「Om Mani Padme Hum」(オム・マニ・ペメ・フム)

  私は考える・・それは奇岩と中世のベログラトチク要塞の感じだと――

     窓の鍵の金具がだんだんに動いてきたような気がする・・
       首から胸、腰、と隠されている秘密をあばき出そうとするように、
         うしろを――透かし・・見る・・・


ネクロマンシイ! 見せて-く・・れ・・音楽や合唱をひっきりなしに、

見せて――くれ・・ 僕がとろけてしまう-前に・・


 なんともいえぬ悲哀な感銘が眼を打ってくる。(おどおどして)《でも演技がかった涙声
で》シガレットケースを・・開く――開く、オルゴオルのメロディは止まない・・



  「あの足音までがすばらしい!・・」

    (軽く言った場合には「それは良いよ」といった意味合いになる)


   ――つっ走る夏の雨の音


  (なんとなく薄気味わるくて妙に真に迫るような返事)・・《前の急な坂、》

  雲からしんかんとした鋼鉄を感じる・・更迭でなくて?・・なく――鋼鐵・・

  逃亡衝動の倒さまな希薄・・惰眠、めちゃくちゃなだらしない暗緑色の澱み・・

    [ねじる動作・ひねる動作・よじる動作。]

    タクシイを下りて賃金を払うと、電話で教えられた通り、

    灰を被ったような街並み。ルーヴル美術館を思い出す、

    コレクションの家の波。荒れきって、なお且つ蜿々と長く続く。

    甃石は、やわらかい娘の唇が果実であることを知らない!
                ささやき
    太陽が過去った冬の日を、低語は謳わない・・

    入口の左側にある昇降機。純白のリンネルの上衣を着た給仕と擦れ違う。

    (梯子――階段・・地下室へ向かう!)

    演奏と言えば――そうだ・・し、レンズ-透視と言えば・・昨日の午後の繁栄!

  無意識的な反応・・“反応”とは可能性を飛躍的に高める――

    コントラベンション
    反     駁・・・

   《死のように匂う――時の止まったきりの時計・・》


       空気は水分に飽和して・・蒸し風呂のようなけだるさ・・ともすると泡立つ海、波濤の轟き、
      風の喊声。完全に一オクターブ低いやつで・・アイス-ベトベトになった・・



 雲はその平地の向こうの果て

  雑木林、公園の上に横たわってる


  
            「さあ皆さん、始まります。静粛にねがいます。」

           [やあ](なあ、)・・鳥の啼く音も絶えた

        うつろだ、うつろだ、うつろだ。     


    《驚きの発声》[傷あと]

 

  生きている細胞に起こる反応-精神電気反応という,自律神経系の反射・・

 トレモロ
 顫音、ここにはものやわらかな問いかけが、

   a 水の流れた後の光 b エキスとヒャシンス c 可視性と抽象性の一致
   [あなたは宗教についてどう考えますか?]・・(速度と感度と共に理解して、度量が狭くなる)
  ロヴィス・コリント[赤いキリスト 1922 油彩・カンヴァス]

                                        呼応

への不届きへの――孤独な不服で・・(バルブ、フラスコ、反応槽)

                     現象をしてこの問に答えさせること、乃ち思想

           おとりに反応する・・刺激・命令における幼稚な反応

  等高線・・コンタアライン――
  老人の海の底のような、紫色の瞳・・・月・・


 月がほつれる、透明なる錯乱のうちに、瑠璃の鳥(が、)飛翔ぶ、
        あのと                なめいし みお  コンデンセエェト
 黒猫(の、)跫音する――黒き眼、大理石の水脈、 凝 縮 物

   「僕もあの絵を観てきた・・傑作だね、異質な拡がりに、あをく玲瓏とし、紺丹緑紫、

   やるせない愛着の遺跡になるというか、――晶面にうつる、稚拙のあらわれ、

   というか・・・古代の謎や意味を予言する、ロマンや、神秘の為せるわざというか・・」

     ――でも、ごめ・・んよ・・・ 僕は今、無欲に解体され――な・・がら・・・

     フレデリック・ショパンの『別れの曲』を思い出して――いた・・い・・・た、



 最初の刺激の休止後-危機や失敗、欲求不満に対する過剰反応を生み・・

 騒がしいジャズと煙草の煙・・薄明かりの中の黒い人影。

 エネルギーの化学反応を引き起こす――何もかもありそうなことに思えて・・・

 「この光栄ある明晰」・・絶えゆけよ、暮れゆけよ、正午近く急峻な角度で
                   、、、、、、
 春・・イメージの重層性、春雷、虹のはなひら、

   ――指の腹から・・するど・・・い、笛の、花のかをり・・・・・・


 燃える けものたちの叫び――

 でも・・歌うことを許されはしない・・

 それでも 行きたい 遠くへと もどかしい泳ぎ・・

 ひろいひろいプール 表情をつかまえないで すぐに変化する

 キャッシュ・レジスター ブロンズのビーナス 白い顔 軽い足取り

 遠のいてゆく 香水の薫り――医者が脈を看てゐる。

 ・・重態でせうか。


   とほい いくつもの死 黒い死んでゆく夜の 詩

   朱色の黄昏さえ 手帳に ありありと憶ひだす



 ――きみが滑りだす、匂いは踏板を抜く、剥げ落ちた昔を・・

 寂しく閉じている 目を 心持ち 上へ押し上げて

 履く・・・この星のあかりは――のぞみぶかい愛すらも、長い睫毛と 鉄棒

 「ひそかな胸のうちに、」(とンとろ、とンとろ、)

 机の上に、家族一同の写真が飾つてある。

 ・・雪を握ったまま溶けない・・陽が射してゐるのに、手はかじかむ

 紫色になる――心臓はより、白い切り口の音をさせて散らばる・・

 ささやいてきた・・・中断せらるる色・・・・・・


      花のつゆをしぼって    磯の香りを嗅ぎたい


    風 吹いていた・・なめくじと石鹸の泡――蛙のお腹が
     川の水面に流れていた・・神の啓示のように――



     「少しうつむきたるが、女の顏は白し」


 青い空を跨いで・・・散らばっていた、

 ひとつひとつの欠片をまとめあげた、

 コンピューター 硝子をやぶって 藻が 魚が

 ああ 吹き剥がされた空の鱗なら

 雲烟その間に搖曳す。・・涸れてゆく想いなら

 透きとおった血を滲ませて わたしは 唖になりたい

 青い悲しみよ・・これは一体どんな上の空の仕業なんだ

 怠け者よ 心地よく酔わせるそよ風に――対話が消える、

 先頭も後尾も分らず、際限もなく引続いて、

   『レイ・れう・レイ・れう――』

 かすかに息づけよ――そして意識的に囚われてゆけ・・

 弱く澄む、・・・この柔くしんみりとした、

 淋し気な通り(に、)

 
      ――何を信じていたんだろう

          ――何を想っていたんだろう?



 「身につけているものが邪魔みたいに、早口で喋り出す犬。

 ワンワンワン・・ONE――」(生理がある、酸味がある・・呼吸――で・・)


    さだかな色とてなく、なにものをも映そうとはしない昼の無表情。


   不気味だ、不気味だ、不気味だ。
  午後は・・眠りに-落ちな・・がら、


出掛け-る・・「今日は-あいにく!

乗-客・・が多いから、(ねあせ-光沢が・・あ――る・・あるんだ・・)

扉の-傍に・・立つよ」――こんなに早くから?


   自然に色っぽい目付をして人間の意識が、動物の本能と溶け合ってはなはだコケティッシ
  ュ。色の褪せた、なんともいえぬ不思議な色合いの床。電車。いつか澄んだ青みを加えて、
  黄ばみながら、光量の変わってゆく床――



 うっとうしいバックの前で

  気取ったポーズを次々に見せてくれ



  ......恐しい魔物の声のように
         あわれ ほろぼ
    沈滞――憐憫な滅亡

      ジェットコースターが停まっている・・草叢の中でのめり出す蛇のように
      くねった線路のように――回転木馬が、軋むベッドのように思えてくる・・



    『閑かさや岩にしみ入る蝉の聲』

       レイ・れう・レイ・れう――


   よ  くるしみ
 私は世界の苦悩、歓喜、――小麦と葡萄の収穫、

 抜けた毛が、ふたたび戻る、呼び声に!・・忘れた声に!

 生活感情(は、)無駄な骨折り・・何を求道するのだ、

 「何を痛感したくて、黄昏のうすら明りに憂鬱の椅子に、
 
 椅りかかるのだ。・・俤よ――ブロンズの像のごとく憶う。

 君は、ちょうど、アークトゥルス、うしかい座で最も明るく、

 全天で四番目に明るい星・・」


 マネキンの裸像が語り出す・・
     世界を統べる皆目了解できない言語・・・

           バック
  木立を背景に・・
           ベッドルウム
  僕等の寝室がある

    大丈夫です、眠っています――
    ・・・夕陽の残光を背に、危険な甘い舌触りを思い出す・・
    上流階級、芸能人相手のセクシャルハラスメント・・・

  、、、、、、、  
  胎より生るる子――水滴 の音で、

  たった一つの意思を伝えるかのように封印を解き放とうとしている。

  ストーブに入るべきもの・・断末魔の形相・・

  薄紗の帳白く垂れて軽く窓の板玻璃――

        「バベルの塔か? 外国か?」(ありえますね。)

        (ショボォンとし・・ピクピクとする)「あぁーはい。」

 《すぐにその足あとは波に消されてしまう。》

    (こわがらないで、ほらカスタ-ア-ネ-ッ-ト)

   ――あいつは貯蓄心無き国民! ああ、わたくしもあの中の一人

       ――いかす服!・・切る噴く!キルミイ!拭く・・

  (でも、ある人はこうだと言い、またある人はああだと言う。)

 「あまり熱いンでバーッと飛び上がって!

  天井を蹴破ってそのまま!」

  コンボリューション
  渦 巻 状――自分が思い描くヴィジョンの実現・・
     コンポリマー
  ・・・・・・共重合体――後ろ姿は――――――ああ、影絵のように・・・

  閉じ込められてゆく-せめて一時間――とまあいった次第・・

        Open up! Open up!・・悪魔の紅い目玉・・


 でたらめなメロディが車内から聴こえる。まるで天才のピアノの練習曲だ・・孔があく、あ
あまるで四枚の葉――だ・・あたり一辺・・そぼくな過ちだ――若いなあ・・甘いな・・・あ――



      ――突っ走る、矢の音。(催促する気配、)


    ネクロマンシイ! 見せて-く・・れ・・影のような・・・・微笑――

    見せて――くれ・・レプ-リ-カ・・・


       こ・・れ――からだ・・! 物語・・り――は・・・・


   硝子張りの箱の中に――なつかしい夏の夜の光・・

   風に隨ひ、水となり、意識クレオンとなりてわれを撲つ。

   周波数変換器・周波数変換装置。予感は、草の上へ俯せになって仆れていた。

   そのあたり。には。まだ。火薬の臭いがしていた――



     揺れながら泳ぐとき    透きとおったものが欲しい

     The Mirror of the Sea・・・ The Mirror of the Sea・・・・・・



 ――迸る手れん手くだのために、生理的・体験対照的な、

 地球照の混淆するため息に、惹かれる、奴隷となる、文化戦争、文学の将来、

 日本の歴史、伝統・・古典文学、文芸復興、戦争と作家、エンターテイメント、

 伸びたものの影は魚の核心に触れるし、歌は女心の音楽だし、
                     たたずまい
 迅速なる過去の日は、扉絵となる姿態、
                                スティックス
 その空は拡大され、“畏怖”を擦りあげ、黝ぐろき焔の冥府の河、

 ひたむきに船を進める歌が谺し、猛禽の、孤独な純粋無垢な接吻すら、
                    ディステンス
 壺。静脈のごとき蒼き網目のうちに・・距離・・・




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