1978225 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

灯台

灯台

舞台 2

      *






なつかしいひとたちの声がきこえると

ぼくは不安だった

そしてそこにいる者たちは

とても感じやすい姿をしている


なやんでいる時に

ぼくは熟れた実になるか

それとも腐ってゆく実になるかの瀬戸際にいて

反射と ・・・静けさが ・・・


でも果実をつかもうとする手のぬくもりと

その小粋な仕草が 忘れさせてくれる
   ひと
愛しい女の感情から抜け出して

いち枚のポストカード然とするのを


―――画鋲でつらぬかれたポストカードは

あのなつかしい香りを追いやって

しかし うっとりとやわらぐ微笑は
       この
熟れぬ秋の果


身体をゆすりながら画鋲を引き抜く時も

ひと筋の亀裂すら走らせぬよう

けだるい時の流れを 石の叫びにかえぬよう

細心の注意が払われた


だが・・・、白と黒がゆらぐ両眼に
    しる
あかい漿が

こぼれ落ちてゆき

むかしのように やさしく触れ合う


―――なぜ、運命が 触れ合う

半ばとぼけ 半ば夢見るような調子で

触れ合う・・・ この運命を・・・ 

あなた いまもかわらず―――


なつかしいひとたちの声は

太陽に昇る煙のように
       
香気を眼にも著るし

滑稽なため息をつく

   く    この
貪り喰らった果から
    たね
ちいさな核

空の消えがてにも
ちりば
鏤められた空の星の想い

が やさ し く 触れ合う


もしかしたら あなたへのよろこびで

愛にみちあふれた 
       まな
かずかずの眸ざしの

幻にゆれながら


―――なぜ、運命が 触れ合う

半ばとぼけ 半ば夢見るような調子で

触れ合う・・・ この運命を・・・ 

あなた い ま も―――






      *






 「―――さきほど機長からも説明がございましたように、当三○○七号スペースシャワー

は、流星群による視界難航のため、乗客の安否のため急遽、無人惑星マニピュレーターに緊

急着陸致しました。乗客の皆様に大変ご迷惑をお掛けしておりますことを深くお詫び申しあ

げます。 状況を詳細に確認しながら、なるべく早い時期に通常運航に戻すように努力して

いく所存です。何とぞ、ご容赦くださいませ。また乗客の皆様には万が一の事故等のため、

一旦機外へと降りていただき、マニピュレーター道の駅の二階フロアもしくは三階展望台、

搭乗待合室付近にてお待ちくださいませ。ご出発前には必ず、最新情報を発着案内でご確認

いただきますようお願いいたします。安全点検が済み次第、改めてアナウンスをさせていた

だきます。乗客の皆様に大変ご迷惑をお掛けしておりますことをお詫び申し上げます」

 ――覗き窓から見ていた。

 ・・・のまま(いずれ、)動き出すのだろう。――

 それでもまだ窓から外を眺めていると、停留場が遠くなるような、――何となく自分の眼

がだんだん小さくなっていくような・・・

 人影があるような気がしま・・・、電燈までが、ブレーカーが急に下りでもしたかのように、

スーッと薄暗く見えま――どうして、腰をかける余地さえ残っていない。乗客が話をしてい

る。(それが、)自分には肉体の亡滅を指しているかのように思えてならない。車輪の軋り

呻く響きが一寸静まった途端に、取留めのない夢想の中からふと眼を挙げて見た。

 松や樫や檜葉――そして目路のかなた・・・

 あの[天使]がやってきて、自分にこう尋ねさせる。死はやすらかな眠りであったか、それ

とも、美しい風景であったか。 ――おこる可能性がもっともおおきいものは、光のごとく

語れ!・・わずかばかりのやすらぎしか許容しない厳しさ、意味を担うようには定められてい

ない日、一方から他方へ悲鳴のごときもの、あるいは、歌。――






      *






夕暮れ

見よ すべてのもの温き終わりを告げ

あゝ、宇宙――無限の「時」と「ひろがり」


井オリンの旋律

ためいきや、あをぞらや、ダ・井ンチの

寂寥のおとづれや・・


子猫の背やはらかく
うらには
後園で、・・線香花火の爆ぜる音

あゝ、ゐかなれば汝は語らざるか

あゝ、蓮はじめてひらくころ


からすぬれば色の、物の影はあざやかに

青き月うかび・・ そよ風・・!
     いま          ま
世界は、現在、あの幹の間の陽炎

あゝ、蓮はじめてひらくころ






      *






 罰――カアッとした。なんだと!

 (スチームの濁り。そこに煤煙の臭いをふくみ)

 思想のなれの涯は期限切れ  われわれ  は

                   われわれ  と
            さま
 電池が錆びていく状態を見つめながら――死んで固くなっているらしい(ものを)見つめ

る。「地に落ちた影と自分の身長とを比較して、ピラミッドの高さを測定した男=“世界の

根源は水だ”」といったターレス。そのまま通りすぎてしまってもこんな優しい心の持ち

主。[かくも親しい一ときの思ひを投げる]


    電池の付近は  魂と空気で  湿っている[たとえば坂下からのぼってくる、バス

のように]如何にも楽しげで、幸福な夢を見ているかのよう。・・

 あなたがくれたたくさんの言葉  勇気  生き方(うんうん、とうなづきながら)――

橙であはただしい夕暮れ。洗うべき肌。エピソード[母親が彼にむりやり妻を娶らせようとし

たとき、「まだその時ではない」と彼は答えた。その後、盛りを過ぎてから迫ると「もうそ

の時ではない」と答えた。]

 自我と絶対のあいだで  非我


       めぐる悲しい時計の、めぐるやはらかな髪の
                       まじわ
      暗いものいかがわしいものが交叉るところ・・・


           -アイツ、死んだのか?

           -はい。



 ・・・どこかの彼方で発せられた鋭い声――は、

 彼自身の嘘、少女の嘘、をみずからに溶け込ませ

 あなたはあなたの神の名を、主の名を、

 みだりに唱える、――


           -ぎっしり立て込んだ人達に?

           -冷え切ったわたしのためのからだ。



                 ・・・・・・欲望とは所詮、あなたと異なることを手に入れ

るための道具にすぎない。[オリーブの圧搾機械を借りたいか?]雨が降って傘をさすだけな

らば、それさえもあなたを痛みつけるものとなる[学者というものは遠い星のことはわかって

も、自分の足元のことはわからない]


           ものとなる (あなたにとって、流星群ではなく、日食


                   地球を滅亡させるものと(と、古代は言われてい

たのだ。ベイリー・ビーズ。ダイヤモンドリング

         病めるものにさしだせぬいわれがあるのな
                                          りょち
らそれはあなたにとって(=悪行を行ったせいだ、と前漢の最高権力者呂后)――必要のな

いものだと告げるだろう窓を見つつ印刷屋
         めぐみ
     ・・・・・・恩寵とは人類平等のために使われる


           -これは滑稽、顔も似顔絵もかけぬくせに秋風。・・
                   レツ・クイ・エム          しもやけ
           -はるか隔てた鎮魂歌。吹雪の中では凍瘡のあかい手



         [ご子息は]洞窟にいったと? 埋葬地にあると?

    いいえ、あなたは移住者です――降りしきる雪は胸にまで沁み入る


              桃の中に種があるように、葡萄に種があるように(=ここで

             すべての冬を感じさせるものは薄っすらと、「青」となる)


                  葬るということは、泉をみたしてゆくことですぞ

(と考える)――かがやきのなかに、つまをむかえるということですぞ[用意したぞ! ぐる

りと囲んだ円。シャボン玉だぞ。ガラス窓からの夜氣だぞ]――祝福されました!

       ・・・・・・あなたは、これに与えられるでしょう

                                    いき
                   あなたのこころが太陽を覆ったのだ。呼吸がしろ

く凍るのはそのせいだ。白鳥の剥製が[冬の雨を想起さすのも――]


              苔をはやしたのだ(=苔とは、化学工場のことである。)

       永遠の法のまえで、この恥しらずどもが!と叫び声・・。


           -いまは、きびしい色がひそんでる。・・
                                  
           -わかってる。思慕が粉を引く、石臼。奴、と。ネ



    世界ははじめから平和であった(プリント模様のように何処までも同じ調子で)そ

う、あらゆるものが数千倍にふくらむことをいうならシベリア風系でも赤道直下風系でも呼

吸する。――はばかりながら・・風ははなびら(たとえそれが空っ風だとしたっての意)

                                      はやて き
       乙女よ、そして愛ある親切の名称よ(あなたの中に疾風が来、木枯らしが

来、)――誓いなさい! いらくさに、葦に

              ・・・彼女は頭巾をとる[あなたと一緒にいます]北風、南風、東

             風、西風(=これは幼馴染の叱られ文句です。)


                 わたしは“まこと”などないと知っている。それは醤

               油でなけりゃ錆びソース。味噌でなけりゃ酸っぱいスパイ

               ス。愚かな世の中に悶え苦しむ人達の偽りをただすつもり

               にはなれない。塩でなけりゃ砂糖田中が多い佐藤っす


 ――なれない。なれない。だが、正常な心をうしなった、その病


           -たとえば、後ろ髪ひかれる、という風。・・

           -後ろ指さされる、という風もあるよ!



       ・・・あなたは薬をのまなくてはというが、あなたのなかに

     きざまれた貌は別の顔[本当はあなた、別のことを言いたいんだ]
               かお
 おもいのままに妙なる相をうつしても


         ――言いつくすことはできない、これ、智慧よりもふかきこと。薄味で

もよい。無味でいい。あなたのなかにわたしのかたりを/わたしのかたりのなかにあなたを

       顔は憎む者の門のためにある[煮物をいるように・・こ、こまどを!]

              ――さて、契約です、そしてさあ・・・ごらん!

                      さとりとは永遠不滅のことではない


                 あなたがうまれかわるためのもの(うまれかわるとは

なんだろう。――風が窓ガラスを乳いろに染めることか。隣の国から砂を浴びせかける、と
                                    ヤー
いうことか。それとも。・・・それとも雀の糞のようなものか。否。諾)――応じるための化身

。(となること――蛇が龍になったと解釈するのなら、鳥がプテラノドンに、始祖鳥に、火

の鳥になる。と。なること。となえること)


              損なったことはまた刈り取らなければいけぬ

                      ――動きを越えて、常に

                         おら
           -たとえば、ささやきが叫ぶ、という風。・・

           -そして風とは、じつに話芸に長けた饒舌[恋の比喩]



       愚弄するためにあるのなら(そもそも、舌を出した=舌を出すということは

、不規則な柏子木のようなものだ)――彼にはさわれない。すっかりたべて、すっかり酔っ

て、すっかり、穀物のようになって[蟲だけが光の中を鳴いている]


           禁じられた罪は声だ![罪は故に声ではなく、電燈の笠のまはりの渦

          だ]――そしておまえにはもうわかってる、哲学者が風になびく樹木で

          あったこと(「風」あるいは「息」であり、これはヘブライ語のそれ

          に相当する・・・ようは! 哲学者自身の声ではない、ということ)


       怠ることは考えにかかわること。塵をはらうこと。心や、行為や、能力は、

ひとつのみの真実を境界の中にうかびあがらせる。(素っ頓狂なものが、夜、電燈で一斉亂

舞とおぼしき蝙蝠を流れ星に譬えるような)――善とはそのための姿


         しかし彼はつづけて言った「父上!」


          あなたが(と夜風か寒さにかける毛布のように)ふさぎ、妨げられる

ことあらば、あなたの善い友は死ぬだろう。日夜をもたぬ営みとはかくも[その人自身の熱誠

を! たとえば蒸し暑かった夜の蚕室のような気分を何気ないものにかえる]――それが禁句

であること、・・・合間々々にあなた自身のおかれた社会や、あなた自身の認識、規範、または

それを呟く(=自分はそれを知っている。アンビヴァレンツ)――恋のため、新しい家を建

てるため、何か善い行いのたびにあなたの両親・親戚は死ぬ。もしあなたが月を欠けるこ

と、生物の死を費やすなら言いなさい「それは、日食です!」と・・。


           ーそれは星河にあるのではなく、星風のなかにある。・・

           -聡明である。跫音である。彼等はその身をもって暗示とする



     どうして言葉は聞く前からその権利を捨てているのだろう、どうして

       ――どうして頭の支えをうしなったように、ふらついて、命じている

              こわいからだ」)

     (「なぜ畏怖するのだ、平安のうちに






      *






わたくしはかみさまにうらまれました

というのも、わたくしのびぼうは

このせかいずいいち、

かみさまは、じぶんでつくっておきながら、

てごめにしたくなり、

さんざんくどいて、とうとう

べっどるーむへつれこんで、

あいのことばかとおもいきや、

こかんにはえている、ある、きたならしいものを、

そうきゅうに、しゃぶれというのです。

なんて、むーどのないかみさま、

そりゃあ、こどもをうえじにさせるわ、

と、じつに、にんげんあいに、

たちかえったわたくしは、

くさい、おならのように、もひとつおまけに、

うざい、といって! がぶり、

いやせいかくにいうと、はむり、

というおとがしたかな、あはは、それで

とうとうわたくし、かみさまに

ははのごときいたわりのかけたおなごよ、

とだめだしされ、けがれた、じごくのおんなよといわれ、

かみさまにいとわれてしまうというとき、

とっさにでてきた、わたくし、ははなしでして、

いわゆる、なしのたねなし、ぶどうのたねなし、

あなたはいわば、たねのないたねみたいなもので

という、いいわけのかいあってか

では、つかわそう、としゅし、

といっても、たねじゃない! 

きがつくと、にんしんさせられて、

これから、きゅうせいしゅ、をうみます

かったりーなー、といいつつ、あいむそーりー

でもわたくし、かみさまを

おこらせたくはないので、

だいじにそだてようとおもいます、

まる、まる、まる






      *






 やっとのことで ぬくもったのに

 ――コンピューターを手動から自動制御に切り替え、

  通信パネルをOFFにする。

 「発進五秒前、四、三、二、一、・・・発進!」

 また  ぬるむ

 珈琲の湯気が  時間についての網膜――


   ランプが点っていた

   それは花の散りかかるおもひに埋もれていた
   スワン
   白鳥よ
             デッド
   どうしてあらゆる死におまへはいるのだ


 設備点検、さらには観測、ならびに非常事態にそなえ

たレーザー砲の確保。また流星の正体確認・・・いずれは

観測基地に保管される。いわば資料収集だ。シャープペ

ンシル型のカメラで写真撮影。通信カプセルと思われる

金属筒から、さまざまな情報を本部へ。


  言ってはいけないの、――

  千年のあわいに閉じ込められた!と・・。

  石の影――それが割れる時の かちいーいん
  いん
  韻、ひゞきのすがた

      何かある興味をいだき、ひいては、

       情念や印象がえがき出されるとき(の)発射。


 ・・・ゴールデンバットが吸いたい、

 ここは聖画ではない、行路者の階段の

 ――聞かれたから話した

 聞かれなければ話さなかった

 太陽の秘密とは何だろう、月の真実とは。

 つみぶかいCO2  きみは知らない

 ――牢獄の格子

 星々の生命と死。宇宙で最も危険な場所。

 数千億の銀河地球外生命体。宇宙の穴――

 暗黒物質、暗黒エネルギー


   その浄らかなしあはせに

   狭いオリのプラット・ホーム
   スワン
   白鳥よ
            デッド
   どうしておまへ秋虫の鳴く草叢にもいるのだ


 ――この言語は何にむけられているのか?

 約束されている(拒絶されている)

 やせ細った折れそうな茎が
              さしひき
 いまも生命のゆるやかな潮汐をはじめる

 (さなぎの中身)碑文もなく罪もなく砒素もなく

 ――人を愛することのむずかしさ(を)知る


  目は見開いたままなの、――

  周囲のざわめきとはまるで無関係!に・・。

  石の影――その位置はかはらぬ、筆舌に
                     いん
  つくしがたいのに地団駄(を)踏む韻

      ・・・でも、朔太郎の竹かも知れないだろ

       情念や印象がえがき出されるとき(の)発射。

           つわり     きた
 はげしい恐怖が悪阻のように来る

 (それも)ささいな理由  風呂場で出くわす  

 トイレで出くわす

 住所不明年齢不詳コケの類

 運動をさせず  はじめから魂とやらを謳ひ
                 フェイス
 そいつ  炭坑跡みたいな顔

 服を着ない  親面をする

 色褪せていく  流れていく電車の景色
 
 かたん、・・・かたん、と、・・・・・・

 「天国」たちまち「天国行き」――


   わたしは旅! 旅を(している)――旅 を

   海をたずねるように、双生児の山をたずねるように
   スワン
   白鳥よ
             デッド
   どうしてあらゆる岐路におまへは――


 授業料のないロッカーに善と悪を教えるとしても

 万物の尺度よりも  宇宙の無限のひろがり

 彼は語ることで  再建する

 対話という真理のみに従う 

 ――言葉(を)えらびながら話す
               いん
 [すなわち、話す、という印を結ぶ]

 未解明の謎、不思議な天体や現象。宇宙での災害。

 あなたの父と母の名

 万物に遍照する陽はないにもかかはらず

 (日)は天と地の境をうしなふ幻術者

 まんだらをかんずる

 ――人工灯がまだらをかんずる

 まぐだらのまりあをかんずる
 ファンタジー
 性的






      *





 オメガ
 白晝である
          
 而してそは何ぴとにも夜ーAを

 “アルパ”といへぬためいきの幽霊なのだ

 そして疾患的発光でその間の文字群が梢に

 なんとふさはしくジメジメとした極光

 ああ、なんといふなつかしい微笑――

 その咒文のように気忙しく鳴いていたことか

 一個であるということのラジウム性放射

 大宇宙がドストエフスキーをして――『神』と呼んだ

 寒い時刻に寝て気付いた
 
 吊された刹那の宙宇――

 我は「はや、」

 ・・・いくとせ、と言わずして

 わずらはしいランブダ、と――

 




      *




                                         スタンド
                葉のしずくがおちるように(間遠になり、)卓上電燈を

消したのです。裸の魚になりたい(生々流転とは、つねにこのようなものなのです。)あな

たは甕の中で死んだ虫のようでいる。人はそれをしらぬ、[つまみ出して棄てる。]が、因縁

とはかくもそのようにして生まれ、あらゆることからあなたを遠ざける。隠匿れる 

                   ウイザード
        もし夢を見始めたら天の使いがやって来る。さあ、報酬をあたえよう、
              きざし
       鐘を鳴らせ! 微兆のために晴れ渡れ、大雨のあとにはやれやれ

                                /しかし

                        何処に/年輪(=時間の経過)

                            /それなりには


        あなたは教えを請おうというのか。教条主義のように。

            あるいは、善悪正邪についての学術的な徒のように。

    清らかな心のよろこびを否定しておいて、安らかな揺らぎ(=揺らぎ、とは本来、

見忘れたものをあらわす。)たとえば渦巻きであり、暈しであり、まったくそのどれでもな
 カーテン
く窓帷!であり絨毯!であるものよ、が正しい


        ( 一滴の水の流れを、歴史と捉えるか、だ!


            ・・・お前にわかるか、トロンと落ちくぼんだ眼が。何物も見ておら

           ず、しかしそこに侵入してくるもの“外界”ではなくそれ自が“内

           界のいざなひ”であると咽喉元に引っ掛かった魚の骨が・・


        ( この時、水は“肉体を棄てた姿”なのである!


    これが成熟という者は永遠に案山子であろう。これぞ、“老熟”である。わずかな

ものから[曲がり角で電柱にあたる、たとえば切り株に座るということを=予知・予見]とい

う。それは足場が崩れた時でさえ(起こったものであるため、)ひとつの現実的な業なのだ

。足を踏み入れ、野原で、すなどりをみつけよう[資産を]


        ( 脱皮をくりかえす、水の皺ッ面を剥がすしかない


            ・・・お前にわかるか、澄みきっているが、すでに死んでいるという

           ことが。ミルククラウンと蝉の脱皮は(同一!)であり、それはつ

           まり、何の濁りもないものと血の色をたたえた秋の夕焼けは(まっ

           たくのソリクツ!無二の親友! クリソツ! われらがフレンド)


        夢の中で目を。・・・けろりとさせよ、子供たち、

            ばかな大人に付き合わず、ひとり早寝しましょう


        ( 亀や魚、馬や象たちもくしゃみするのです!


    ――そして大人になれば、それらを灰燼に帰し、無用とあらば本能寺し、小山をつ

くるムエンボトケ。[きょうそれは塔となるとしても、きょうは夢の中の時間ではない]


        ( 水の夢を見なさい=みずからの夢を見なさい


    ・・・あらゆるものがインダス河、セーヌ川、黄河をながれるとは思わないこと。一瞬

のうちにすべてをおしながし、昔の呼び名はうしなはれる

        ノアの洪水」)

        (「バベルの塔


                 ――わたしは水の中に(それも一滴の水の中に)魚が

棲息していることを知っている。涙の中にも[それは、すべての偏った答えが裁かれるという

瞬間でもあるわけです。無私とは何か? ・・・無私とは五年、十年かからずに達すること。


        なぜ娼婦が卑しいのか、なぜ、賭博者が

                放火魔が? そして   そして


        ( 青い光のレールを見つけなさい


            ・・・お前にわかるか、解けぬ距離がクラインの壷であるということ

           が。兎が亀であるということが。蚊に噛まれることで笛の音が鳴り

           やむという事実が、――笛の音とは距離感覚をあらわすものであり

           、つまりその音自身に魂の色があったという真理に。


    ――ひらめくことは、常のこと。年号が象徴にすぎないと読み解けねば、天皇が敗

戦そのものであった、とは訂正できない。地図の距離がわからぬものに、いのちが引き裂く

遠さははかれない。裏をかいても、とらえられる(として)わからぬ言葉ほど年月を隔て、

人の心を離してしまうものはない。――たとえば金剛山の山のてっぺん近くに自動販売機が

あり・・・それがずっしりと蔵われていく山自身の重みでなければ、ゴミとなるということ


        ( 亀や魚、馬や象たちもくしゃみするのです!


    ――そして大人になれば、それらを灰燼に帰し、無用とあらば本能寺し、小山をつ

くるムエンボトケ。[きょうそれは塔となるとしても、きょうは夢の中の時間ではない]


        ( 一度だけ言う。水になりなさい


            ・・・水は霊なる水であり、それは見えぬ水のことです。しかしそれ

           ゆえに、涸れるということがない、尽きるということがない。そし

           てそこにあなたのイメージは永久に滔々と流れ続けるということな

           のです。ざんぶ(と)音も立てずにまぎれていく泳ぐ者よ


    親切に迎えてくれるものは何か」)

    (「奔流の谷


        何故なら、あなたの水はもう既に汚れている。砂煙で。重油で。工場の廃

液で。行く先果てが、教会――大聖堂ならおめでたい! あなたの声が嗄れても、それをあ

らわすのは(あなたが喋りすぎだ)という単純な事実のみである


            [優勢でないのを見て]・・・正義

                ――林の間をぬけながら、平和

          つきだまり、つきだまり、


      それは[竪琴のように鳴る水よ!]


  そでのうちがわ


            (( 風






      *





          マリア
部屋にはピアノと聖母像と
          ローズ
花瓶にいけられた薔薇

と すこしまぶしいくらいの 夕暮 れ

水撒きした庭のベンチにかかりました

窓際のカーテン が

いだいな神様の水玉模様してくれたら

・・・してくれたら、僕は満足です


  白い手に消えてゆくまどろ み

  はるかかなた(な)永遠までしゃべ り


とうもろこしみたいな狭い町です

きいろい粒に市役所があって

ひげのところに警察署があります

みどり色のところに消防署や病院。――

くだらない町です

流しの水道の蛇口をひねっているような、町

一生好きになりません

ケーキやアイスクリームがこの町には

とりたてていりません


  (と)いうわけで、たえていたわけではないけれど、

  永遠に大人にならないで!と・・。


衣装なんか、ステロタイプで登録できるほど

臆病な神経にみちてます

ワンパターンのステロです

ゆうべもみんな恐れていました

枕のうえでみんな愚痴をいいます

頭の中が腐っているので

うじ虫だらけです

はやく、死ねよ


  なげくたびに夢み るたびに

  (に)しわは


でも僕は階段をのぼりながら

ベッドルームへはいる時

・・・はげしい疲労の中と同じくらい、

はげしい倦怠の中にも答えがあるのさ。

グッド・モーニング! エブリワンという

(あるのさ、)ナイスなボーイ

天使や妖精 は

「みんな生きてる甲斐がないのだ。

――ほんとうに貝みたいな人生だ、


  反対側を知らない人間は、夜しか知らないのに等しい。

  つまり盲目ってことさ。――目つぶり、ってことさ・・」


みると法螺貝 ミルがい あんたかい

というような具合 で・・・・・・

いまこの時(と)

永訣の時

海にはおもい(と)波


  はみ出した枝を避けるように

  低く差し込んでくる(と)

  ちち[と、乳白色、クリーム色のかべが啼く]


僕はめざまし時計では起きません

おかあさんにも起こしてもらいません

マゾコンじゃないからです

僕は飼い犬(じゃない、)

朝になると僕の布団のうえにのっかって

顔をぺろぺろ舐めてくれる

ふぇらちおにすぐ目覚めます


  絶え間なく行き交う車両の音

  何が決めるか  “光度”と――


これから気まぐれ学校へ行ってきます

ヴァイオリンの道を通って

海の魔女に会って

とーへんぼく爺さんから小言を喰らって

殺害されたライラックとお話しして

牛に時刻をきいてから行きます

いやな町です

あとの人はみんな仮面です


  なんとなつかしい、雪

  (と)ぼくをお願いだから連れ去ってよ


でも僕はちっとも動揺しません

それどころかみんなを蹴りながら

ぶん殴りながら

宇宙のはてしなさを味わっています

世界はそんな風 に

きょうもあしたも

晴れわたっていくので。・・

晴れわたったあとでは! ・・いくので

(あるのさ!)いくしかないので

・・・・・・と。






      *






 「さあ、服を脱いでごらん!」

 いつもなら賢そうな富士額に線路をはしらせて、

 気を遣い過ぎなのだ、この人は

 なかば診療室と化したリラックス・ルーム

 デスクの位置、

 [キャラメルの空き箱、ガムの包み紙、、]

 名前をもつ場所、もたぬ場所 が

 ――メッセージを届けに。


        ・・・わざとバラバラに光って

       /マンホールが出入り口になった。

     /総ての都市は地底に建造され、


        エレベーターによって昇り降りする。

         /放射能除去装置を交換条件に、

           /宇宙人が地上を管理した(という社会)


  いままで“死の恐怖”をこらえていた、わたし(に)

  彼等は「与えない」と言った「悪用するから」と
                               はさ
  でも彼等は(与えてくれた)わたしの詩集にそっと挿んでくれた


      ドウナツ型のクッションを載せたスチールの椅子に、

      痔になるなよ、亀になるなよ、と洒落っぽくいいなが

      らすわらせ、――これでも、レディーですわ!・・・万

      年筆をさらさらとカルテに滑らせ、窓から風吹けば、

      わが愛しのブラック・ジャック先生。


        快適な生活《おめでとう、勝利者たち!》

       /もう、ビルの下方で銃声が鳴り出すことはない。
                      モルヒネ
     /お前は何のために生きる? 無痛覚は長く続いた


        羽根はちぎれ、尾は途中で切れて、わたしは悟った

         /もう、反戦運動もしなくていい、政治を批判しなくてもいい、

           /はるかに高度な文明――宇宙の使者たち(のように)


  愛と平等を! アネモネの花が咲き乱れ

  鰓も背びれもすでに動かない「永遠」の雪が

  まことの平和を! 真実への道を!

  ・・(と)言った 小枝を手に持った
  
  青く拡がる平原のかた

  [それは、あの格子にある]

  自分自身の中に見いだされてくる。――


 看護師に逐一指示を出し、

 ・・・解読すべき何ものか

 本当にその横文字、――意味があるのかなあ

 と。先生は心臓と肺の音を聴診器できき、胸の頂部

 に。はたまた、先端といえそうなところで、親指と人差し指

 で。Xの字。つながるわたしのなかのあなた

 あなたのなかのわたし、に・・・


   はだけた胸「思い出しているよ。

   ――そして、ティーンエンジャーみたいに感じそうになる
                    かせ
    こぼれ落ちそうになる、鎖。枷。鉄球


       ・・・あっちの国では、もしかしたら恋人だったかも、

       骨を噛む、臍を噛む、――イッツ・シマウマこうしんきょく」

     わたしは眼をつむりながらアンモナイトのようにひっそりと、


 病名という名の駅

 で、・・・があると期待させる

 に、ついて考えている

 「おいおい、動くなよ」

 ――触ったでしょ? 

 ア・ン ――答えのない海の中で

 願いだろうか、訴えだろうか?

 宇宙連邦さま、

 異次元機構さま、人間というのはスキモノ

 いや、ただもぐるべきだよ・・・

 世界を譲るということが、本当の人間愛

 (わたしはあげたかった、あげたかった、、)

 あなたの狭き門の夢[あたらしい医学への道、

 ・・・人間ではない、道]

 たとえ、女ではなくなっても
       あなた
 (を)入れる女の胸でありたかった






© Rakuten Group, Inc.