1978288 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

灯台

灯台

長距離バス

そろそろバスの出発時刻。
手錠でつながれたように、みんなのりこんでく長距離輸送だ。
祖母ちゃんいってたっけ、学童疎開とかなんとか、
ここは寺子屋かよって、青空教室特別授業かよって、オレはおもう。
御国万歳、戦争賛成してた奴等が、いきる希望みうしなってくのわかるよ。
アメリカの戦闘機による空襲被害や、混乱を避けるために、縁故疎開、集団疎開、
もしかすっとほたるの墓みてえに、親や家をなくしたっていう児童も、
すくなくはなかったろうな、で、食糧難、生活不安、疎開派たちの体験記!
朝五時半に起床して、ニワトリの声きいて、スズメが露をのんで、乾布摩擦、
で、東京方面にむかって、「お父さん、お母さん、おはようございます」
警戒警報発令したら早引けしたり、登校拒否児童。オレ、夜間学校で、
人生の荷物整理するみてえな、年寄り達の勉強風景おぼえてんだ!
定時制がへらされて、あたらしい時代の防空壕避難はどうすんのって、
またカメレオンみたく色をかえて、無責任な連鎖うむつもりかい?
ねぇ祖母ちゃん、オレ、M新聞の俳・歌壇に鍛えられて、
毒舌家になったんだよ。戦争利益ってなんだろう? 
悪銭身に付かずって、祖母ちゃん言ったじゃないか、
贖うってどういうことだろう、祖母ちゃん、よくわかんないよ、
でも、寝る子はよく育つ、「お父さん、お母さん、おやすみなさい」
入道雲のような煙のかたまり、きのこ雲、電燈をけして、蝋燭たてて、
そんな時代に産まれた人達が、悪いことしてでも金を儲けようっていう気持ち。
でもオレ、シベリア行きの捕虜のことばっか考えてる。
戦争が終われば軍人は犯罪者、なまぬるい抑留者なんて言葉じゃねえ、
強制労働に従事させられた、流刑者。神も仏もいねえ、天皇も祖国もねえ、
あるとすりゃ針葉樹林があてどなくひろがるのみ。生活環境は劣悪、
零下に凍≪し≫んでゆくホームレス達そのもんだよ、祖母ちゃん!
焼け野原になったのは、もしかすっと、本当にもしかすっと、こころの中。
苦しかったろうな、痛かったろうな。でも祖母ちゃん、オレ、わかんだ、
そんなのただの言い訳だろって! 現代も、ジツサイ、国家権力のそれで、
むごい仕打ちをしやがるアホ共が一杯いる。ジヤステイスって、なんだ、
ニュースみてっと、脳髄が膿んでくんだ! 苦しいぞ、まじで、すげえぞ。
どっかの馬鹿詩人みてえに、胡散臭い平和なんか書いてらんねえぞ、
ああ、祖母ちゃん、もうちょっと、ずる賢く、生きてみてえよ。
でも気紛れじゃない、だから、ずっと、ずっとまえからかんがえてたこと・・・・・・
でもみんなロンドンのダブルテッカーとかいってるけど、
大紀汚染のすくないトロリーバスの方が偉ぇとオレはおもうよ。
けど言えなかった、バリアフリーとかなんとか、
 オレ、こわかったんだよ。世の中の経営効率とかしってたし、
そうやって軽口たたいても、きいちゃもらえないし、
分不相応だって、出しゃばりだって、うさんくさい批評家もきらいだから。
頭いいフリして口ばっかの奴も嫌いだ、てめえはウンコじゃねえか、
それなのにどうして、オレは、いつもいつも、こんなとこでバスを降りて、
デコボコ・コンクリートの、車内放送の、昇降口してんだろう。
田園風景をみるんじゃなくて、足をずぼずぼすでんと転びてえよ、
そり返った坂道じゃなくて、もっとぬらぬらした道をせり上がりてえよ!
そういや、どっかのテレビで、クラクションのうるさいバス運転手が、
近隣に住む女性にハンマーでやられたのを見たよ、
こころの行き違いってやつで、理想と建前とか、個性と固執っていうのかな、
借金にあえいでいる国が、悪いことをして、朝刊に踊って、
そうかと思えば、国民に負担をのっけて、正義ですってツラをしてやがる。
どうせそれもフェイクのヅラなんだろう、どうせなら、もう、
陪審員制度とならべて、国会議事堂にもつけてもらえばいいんだ。
なんなら、お前の子供つれてきて、お父さんお母さんはこんなことしてますよって、
いつもいつも、くだらねえ揚げ足ばかりとりやがって、
マスコミもメディアも、五十歩百歩だ。それは報道の義務じゃねえだろ、
だからいつもドスンって、尻が重てえんだ、モチベーションも下がんだ、
行き手をさえぎられてんだ! そしたらもう、ダダイズム宣言ってなもんで、コジつける。
でも煙草を覚醒剤あつかいすんなよ、じゃあ、禁酒法でもやらかすのか、
ケイタイデンワはどうなんでい、IT社会はどうなるのだっく。
したら、どれもこれも元凶は一つだって気がしてくる。腐ってんだ、どこかしら、
そしてそういうものが、オレの中にもあるんだよ、祖母ちゃん、
だから核戦争がおこったって、オレはとめないよ、つうか、止められねえ。
そんないい加減な奴が、社会の為に、なんつっても、説得力がねえ。
芸能人になったら、立候補しませんかっていわれんのかも知れねえけど、
どうせピープルのパープルのアンビーリーバブルで、出鱈目な、知名度だより、
なんで英会話できなきゃ出遅れんだ、なんで株式相場しらなきゃいけねえんだ、
そんなにタイソウなもんかよ、政治動向ウ! 
けど、そんな風にいつも、擦切れそうな心の悲鳴、
オレ、かくしてたんだ。嘘つきだから、傷ついてないふりして、
だから高校の時の保健の先生に、オレ、あんなことが言えたんだと思う。
全校生徒が死のうが、オレの知ったこっちゃない。
見も知らぬ奴に、なんで涙がこぼせる! そんなの同情だろって。
中学校の時の同級生もそうだった、腹が立ったからぶん殴った、
こいつを、どつきまわしとかなきゃ、ああオレ、一生後悔すんなって思ったから。
でも祖母ちゃん、なんかちがうんだ、オレの心には鬼がすんでて、
夢ン中で、そいつは曠野をはしってた。まるっきり、むかしのオレだ。
けど祖母ちゃん、オレ、子供のころから、ずっと愛に餓えてたんだ。
だからやさしい家をさがしたよ、すごいきれいなペッピンさんにもあった。
こいつのどこがいいんだか、オレにいつも太陽をみせてくれて、
振向くと、目をくりくりさせんだ。一発で、オレはイカレちまったよ。
で、ある日、決めたんだ、オレはあの太陽を追いかけていこうって。
みんなはオレのこと、嘲罵の的にして、童貞なのってそればっかりだけど、
決まり文句は、あなたって純粋ね、で、しめくくられる。
覚悟したって温度差に気付くし、コンドームしてんだろって、
ただ耳をおさえて、押し合いへしあいをさけようとして。
負けつづけた人生だから、どっかで、あいつらにやり返してやりたかった。
その時のオレは、もう革命家そのものだったし、我に正義あり、だったよ。
けど頭がモウモウもうもうとしている時に限って、ポーツポツと、
つめたい雨が降りやがる。で、フザけたことを、ヌカしやがるすっとこどっこいに、
一理はあるなと見回してみたり、こういう見方もあるなって、
そもそもツタえることと、ワカるってこととはちがうんじゃないかって、
妙に締まりの悪い気持ちになる。で、便秘になって、胃腸炎になって、
ガン・ファイヤー。食うか食われるかでも、今の所は歩るける、
そしたら入門書も参考書も、片っ端から読むのもありかって、おもえた。
わかんなくてもいいんだ、オレはこう思うんだ、で、笑ってくれよ!
でもあいつらは、殴る痛みも、殴られる痛みも、まったく知らねえんだよな、
だからアメとムチもねえ、この葬送はつづくよ! やがて蝙蝠傘や、レインコートや、
乳母車に、水泳ゴーグル、そして剥がれていくペンキがみえるだろう・・・・・・
ビールをガブガブごきゅごきゅのんでいる、オレの姿、
膝元には毛布がかかって、もはやくっきりとわけられた、オレではない、
それはもう一部だ。窓硝子も、カーテンも、乗客も、オレの一部になる。
祖母ちゃん、それはつまり、曖昧こそ共同体の本質ってことなんだ、
心理学の情けとか、甘えとかいうものなのかもしれないけど、
ガタガタがたがたゆすってみると、気付くんだ、ほこりがおちるなって。
そのほこりこそ、差別もしない、渋滞もしない、障害もない普遍なんじゃないかって。
でももう、バスがやって来るから、オレ、もう行くよ。
鞄もったかって、もうアダルト、どうせそこには、
明日の着替えしかはいってないよ。って、財布わすれた! 
どうしようこのバカ! オレって奴はほんとに生活能力ゼロだ。
もういいや、知らんぷり。明日のオレには、もう見送りだってないし。
けど、祖母ちゃん、いまではものすごく後悔しているよ。
いまは口にしないから、もしかしたら忘れてしまうかもしれないけど、
おぼえてたら、その時は、オレに目覚めた慈悲に免じてゆるしてくれよな、
自分の内部にいた、赤ン坊を食べることで、少年をたべることで、
過ちを繰り返さない! 肥え太ることはねえんだ、痩せ細ることもねえんだ、
なにをどうこうヌカしたって、人生の終わりと始まりは、まったく同じ、
だから変わり続けるしかない、本質を変えるため、
そう、本質を変えるため! だから、覚悟はもうきめたよ、祖母ちゃん、
もうオレは死ぬのなんか怖くないし、地獄に堕ちんのも、こわくないよ。
どうせ補助席だし、もしかすっと、床で寝ろかもしんないし、
どうせ夢も希望もない、青い鳥にきづかない人生ですよってね、へへっ、
明日は明日の風が吹く、なんちってね、
そういや夢ン中で、ぐちゃぐちゃにされた人間の頭みたな、
断頭台みたいに、首をがつんと固定されて、まるで呪縛みたいで、
かき氷の機械みたいに、グルグルぐるぐるまわされて、しゅわわ、
外傷はないんだけど、死んでんのはわかるんだよね、人形みたいだから、
けどオレさ、そういうやり方に頭きちゃってさ、執行人のふりして、
そいつらみんな穴ン中に逃がしてやったよ、暖炉みたいなとこに、
いつかオレ、その責任とらされて、血祭りにあげられてころされんな、
車ではねられるよりずっとひどい仕打ちをされんな、拷問だな、きっと。
何すんだよ、この人殺し! 交番の奴も、道路にむらがる野次馬も、ピースサインも、
ヘリコプターの撮影も、きっといたずらっぽい目つきで、オレを、みるだろうな!
でももうUFOだってみちゃったし、火星人とまじわったし、
いわば人生哲学は、意外性をたのしめってこと!
ころされたっていいんだ、お前を生かしたいんだって、
気付けよ、だから苦情受付なんかしてらんねえ、
おまえのことマジで好きだわ、
みえないものこそ出発点! 
おまえのいきてく出発点!


© Rakuten Group, Inc.