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2011.06.01
カテゴリ：水曜…サンキュータツオ
【サンキュータツオのそういえばですけど】 11.06.01号
～『世界一初恋』における雪名キスと、歌舞伎と宇宙人と玉置浩二の関係～  この、この手とこのスカートの質感！ たまらん！ ●そういえばですけど、 今週もいってみましょう！ 『世界一初恋』定点観測記、 題して 「世界一初恋愛」!! （せかいいちはつこい あい）と読んでください。 世界一初恋を世界一愛している、「世界一初恋愛」を展開していきます。 世界一初恋愛（はつれんあい）とも読めますね、というか、 普通はそう読みますけど、腐通は「はつこいあい」と読みましょう。 さ、今週は、木佐翔太の場合！ キターー!! 伝説の喫茶店でのキッス！ 待ってました!! もうですね、キッスが出る瞬間に、 「待ってました!!」「中村屋!!」（中村春菊先生作品ですので） と叫ぶことにしております。 そうなんです、もう「世界一初恋」は、歌舞伎です。 というか、BLが歌舞伎なんですよ。 BLは、私の読んだ著作のデータによると、 バッドエンドが少ないです。 ほぼハッピーエンドで終わり、「やったー!!」という展開を迎えます。 みんな、ここで「待ってました！」と叫ぶべきなのです。 知ってる作品でも、初めて読む作品でも、 そうなることをみんなが望んでいるんだから、 もうこれは、歌舞伎です。 BLとは、現代歌舞伎なんです！ 歌舞伎も男しかやらないしね！ 歌舞伎は、女形が女装しているけれど、 BLは、歌舞伎が進化したものなので、受け（女形）が、むしろ男装しています。 そうなんです、 受けキャラって、「男装している男の娘」だと思ってください。 それでいいのです。 ますます説明がわかりにくくなりましたね、すみません。 さ、先週は、 ◆「世界一初恋」における政宗キッスと、長門裕之・南田洋子夫妻の関係 について述べましたが、 今週は、一転して、木佐と雪名のCP（カップリング）ということで、 関係性が若干変わります。 さて、問題は雪名キッスです。 雪名は、編集者である木佐の担当書籍を、 バリバリ売りさばいている書店のバイトくんですが、 それはそれは遊び人ぽい風情というか。 女の子の扱いなんかにもとっても慣れていて、 普通の好青年。というか、むしろイケメンのタラシ系。 いっぽう木佐は、 顔面だけで相手を好きになってしまうイケメン好き。 いわゆる「ビッチ」系なのですが。 男同士で、その上好きな相手と結ばれることなんてまずない、 という絶望感から、その道の限られた相手と遊ぶ感じの男。 仕方ないっすな、さびしいんですよ。許してつかーさい。 で、木佐が雪名のいる書店をのぞきにいくと、 数々の奇跡的な偶然 （たまたまその日、店長がいない、 たまたまその日、横沢さんが書店にいた、 たまたまその日、木佐が一度寝た男に書店で絡まれた、 たまたまその日、雪名のバイトが終わる時間が早かった、 たまたまその日、木佐と雪名の行った喫茶店がおなじだった、など） が重なり、 （書いてて本当に奇跡としか思えないのだが、本編では自然に見えてしまう中村春菊マジック！） 木佐と雪名は喫茶店のテーブルで向かい合わせで座ることに。 オレは、 中村春菊先生は、もはや漫画家だとは思っていません。 マジシャンだと思っています！ 「どうせ傷つく。こんな願望、叶うわけがない」 と、傷つくのを恐れて、 自分がどんどん雪名を好きになってしまうのを避けたい木佐。 しかし、 そんな叶うわけがない願望が叶うのがBL!! 政宗と律の関係値は、 もともとおなじ高校の先輩後輩で、律の初恋の相手は政宗だった、 というフリが利いているぶん、 つねに「くるぞ、くるぞ！」感があるので、 故・長門裕之・南田洋子夫妻的な安定感がありました。 しかし、今回はどうでしょう？ 話して2回目。 →（うう、こんな願望叶うわけがない）＝ストレス →願望成就（キッス！）＝特大カタルシス 早い!! スッキリ!! もはや政宗的「忍者キス」とは一線を画すことのスピード！ 気持ちの確認もなく即キス！ むしろDTの願望に近い!! よく考えてみていただきたい。 木佐は書店にいっただけである。 その後、なんだかんだ展開にのみこまれて、 気づいたらもうキスされているのである！ 引っ越した先のアパートの隣の部屋に挨拶にいったら、 美人のお姉さんに会って、 なんだかんだ展開にのみこまれて、 気づいたらキスされている、という、 DTの願望と酷似しているではないか！ ひゃーーーっほい！ なにこの雪名の心の動きのわかんなさ!! 最高じゃん！ とにもかくにも、まずはキスからはじめよう、という具合である。 （当然のように、このあと雪名の事情説明があるわけだが、それがキスの後、というのが重要） 完全に雪名は宇宙人である。 このスピードキスは、「宇宙人キス」と呼んでおこう。 決して事故ではない。故意のキスなのだ。 そういう意味では、「世界一初故意」なのだ。 ちなみに雪名のキスは世界一最速でもある。 これは、 キス以上の絡みが許されないテレビアニメにおいては、 最初に最強のカードを切っているのとおなじことである。 マンガや雑誌では、「大富豪」でいえばジョーカー的な「からみ」が最強のカードですが、 ジョーカーが許されない今、 キスは「大富豪」でいえば「2」。つまり最強のカードなのである。 その最強のカードを、のっけから出している大胆さ！ 特大カタルシス！ 絶対に勝てる、絶対につかめるカードから最初切りしてくる、この序盤の攻め！ しかもそれでこの後も観客を魅了することができるプロット！ 自信がなければできませんよこれは！ 願望即成就!! これがBL教中村派（カトリックに近い宗派）の教義である。 このスピード婚ぶり。 かたやモテ男（ノンケ風）。 かたや卑屈メン（受け専）。 なんすかこの玉置浩二と石原真理みたいな。 いろいろ早いよ！という。 （この二人は別れるのも早かったが。人生通してみたら、男同士で付き合っているのとおなじことである。） あるいは、玉置浩二と青田典子的な。 （結局玉置浩二かよ） このCPは、 『純情ロマンチカ』でいう、 野分×ヒロさんの関係値に近いが、 展開の早さが尋常ではない。 雪名を見て、 「こんなやついねーよ！」 というツッコミは無粋である。 なぜなら、 「こんなやついないから、ファンタジーなんだよ！ だからいいんだお！」 に尽きる。 ない、ない、ない、 と思ったものが、ある！ この『カイジ』の箴言にも似た、 ギャンブルの真髄が、実は二次元恋愛にも存在するのだ！ もう、あれですわ、 最近の私は、 そもそも人類は同性と恋愛するのが腐通（普通）であって、 異性と恋愛するのはアブノーマルだくらいに思ってたポポ！ 来週も、 『世界一初恋愛』をお楽しみに！ オレはどこまでも、世界の中心で、世界一初恋愛を叫ぶ！ なにこの熱量。 我ながらひくわ。 原作でも読んでいるのに。 あ、以前『ヲタめし！』の「BL Gメン委員会」の「壁委員会」でもお話した、壁の二次利用が、今回の雪名の「スケッチブックを壁代わりにしてキッス」です。 あと、どうでもいいけど、『特大カタルシス』ってBLマンガ原作書いてみようかな。 だれか漫画化してください。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2011.06.02 02:51:24
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