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どうも、お久しぶりです。 長らく放置状態で申し訳ありませんでした。 就職活動の件なのですが、 私個人の選択の結果として修士卒業後は博士課程に進むことに決めました。 就職活動しておいてそれかいッ!!とか突っ込まれそうな気もしますが。 個人的には良い経験だったかなと思ってます。 納得いく成果は出ませんでしたが、私に足りないものが多く見つかりましたし。 後は3年後にその足りないものを補い、且つ企業が求める博士課程の人物像を手に入れなければならないわけです。 なかなか自分でハードル上げたなぁと思うのですが、後3年頑張ってみることにしました。 いつまでも学生していることに対しては両親に申し訳ないと思う気持ちもあるのですが・・・ でも何故か博士課程への進学を祖父母が喜んでくれたので少し救われた気持ちですw ということで、後3年間、それなりに時間がありますのでこのブログと宮の宮は続行ということになります。 今後もよろしくお願い致します。 そしてこれからの更新予定ですが、少しリハビリしないと書けないかなと思っています。 ずっと何も書いていなかったので。 しかも現在ゴールデンウィーク中なんですが、頭痛がひどくて寝込んでいたりします。 明日学生実験のバイトがあるのになぁ・・・ なので今週中に何か書き上げられるかというと、少し微妙です。 できる限り早めに更新できるように頑張りますので、気長にお待ちください。 ではでは~
最終更新日
2011.05.05 15:10:34
どうも、宮です。 現在絶賛就職活動中です。 エントリーシートの提出に追われています。 よって更新が途絶えまくりで申し訳ありません、今月はめっちゃ忙しいので帝国の兄弟は書けそうにないのです。 一応黒い指先は混沌に触れの改訂版がストックあるので月末にでもあげておきます。 また、改訂前のも見たいという声があったため、以前のサイトに上げていたものは月末には上げるつもりです。 ちなみに就職活動はそれなりに順調です。 少し前に某社へ提出したエントリーシートは書類選考を通過しましたので今度2/11に博多に行ってきます。 何故に博多・・・ 私は大阪府在住で、説明会の会場は東京or博多。 わずか10分ほど博多の方が近いですし、会場が駅前で分かりやすいので博多を選んだのですが、遠い事には変わりなく・・・ とりあえず昼と夜のラーメンだけを楽しみに行こうかと思ってます。 もしもこの日記を見ておられる方で博多在住、あるいは博多出身の方がいらっしゃれば、JRの博多駅前で美味しいラーメン屋を教えてください。 できれば観光客向けではなく、地元の方が贔屓にしているお店だと嬉しいです。 それでは、また!
最終更新日
2011.01.28 02:18:55
あけましておめでとうございます。 昨年は就職活動等の個人的な都合により更新が停止してしまい、申し訳ありませんでした。 リニューアルしたホームページも過去作品の掲載が進んでいないなど、以前から来て下さっている方々を蔑ろにしかねない対応を取ってしまっており、非常に反省点の多い年となってしましました。 本年も本格化する就職活動に向けて色々と準備をしたり、あるいは面接に行ったりしながら、一方で研究室でも実験を進めなければならないとなかなか多忙になる事も多いと思われます。 そんな中でも出来る限り更新は行っていきたいと思いますので、どうか今後ともよろしくお願い致します。 さて、現在の二次創作の進展状況なのですが、火魅子伝の『黒い指先は混沌に触れ』の方を少しずつ改訂を進めている状況です。 改訂とはいってもできる限りは以前の文章を用いているのですが、前半はかなり手を加えています。 そのため結構時間がかかると思われますが、もう少しお待ち下さい。 しかしなんていうか、相変わらず私は厨ニ病だなぁw 九峪くんはその点書いていて楽しいのですよ。
最終更新日
2011.01.01 00:18:21
それを聞いた時、才人はマルトーに再度聞き返した。 ぎこちない笑いを張り付けた顔が奇妙に引き攣る。 これ以上口にしたくないと、そう言っているようだった。 「だから、その・・・シエスタは別の貴族の家でメイドとして奉公する事になったんだ」 「それってここの仕事を辞めたって事ですか?」 浮き上がる嫌な予感。 先日の決闘騒ぎが原因で辞めさせられたのでは、という考えが脳裏を過る。 その考えが表情に出たのか、マルトーが慌てて手を振って否定の言葉を口にした。 「い、いやいや、違うんだ。学院に来られた貴族の方がシエスタの働きぶりを見てな!それで是非家で働いて欲しいって言ったんだ!凄い事だぞ!給料も増えるしな。良い事なんだ、なあ」 同意を求めてマルトーが厨房の者達を見た。 数名が気まずそうに笑って、残りの者達はそっとマルトーと才人から視線を外す。 皆それぞれに朝食の準備で黙々と仕事を続けていた。 だがその様子に活気はない。 マルトーは言葉に詰まって顔を顰めた。 才人は益々疑念を深める。 人の顔色を窺うのは得意だった。 故に彼らが何かを隠している事にはすぐに気がついた。 一体何だって言うんだ、才人は苛立ちを隠せずマルトーに迫った。 「やっぱり何かあったんじゃないんですか?」 「・・・ッ、何もねぇよ!」 突き放す様にマルトーの手がポンと才人の胸を押した。 放った大声の割にその仕草は思いのほか弱弱しいものだった。 「悪い、朝飯の準備で忙しいんだ。帰ってくれ」 「・・・分かりました」 これ以上居ても仕方がない、そう踏んで才人は踵を返した。 厨房の者達を見渡す。 マルトーとのやり取りに耳をそばだてていた皆が一斉に才人から目をそらした。 得体の知れない気持ち悪さが才人の胸の中でうねる。 すれ違いざまに一人のメイドが口を開こうとしたのを見た。 だが、マルトーからの睨みを受けて彼女が押し黙る。 才人は諦めて大人しくこの場を後にした。 厨房を出ていく彼の後姿を見送って、マルトーは彼の姿が消えてからしばし経った後、近くの椅子にドカンと乱暴に座り込んだ。 俯き両手で髪の毛をくしゃくしゃに掻く。 「マルトーさん、彼には本当に言わなくて・・・」 「言うなよ」 「でも彼ならきっと」 「馬鹿野郎!!」 マルトーは話しかけてきたメイドの一人を睨みつけて怒鳴った。 「才人にシエスタの事を言ってみろ!絶対に貴族の所に殴りこみをかけるに決まってんだろ!!」 そうなればこの間の決闘騒ぎどころの問題ではなくなる。 あれはオールド・オスマンの監督下にある学院内であったから、加えてギーシュの振る舞いにも不義理があったからこそ才人は注意程度の処分で済んだのだ。 これが一貴族の領地内となれば簡単には済まない。 領主たる貴族の権限が次第に強まる領内で才人が騒ぎを起こし、それが貴族の不利益にしかならないのであれば容赦なく裁かれる。 才人がどれほど強かろうと貴族社会のシステムそのものと戦う事は出来ない。 才人が起こすあろう行動を予想して、マルトーは口を噤んだ。 シエスタの事が気にならないわけではない。 彼女を引き抜いていった貴族、モット伯爵の悪い噂は常々聞いている。 平民の若く美しい少女を見つけると金と権力に物を言わせて屋敷に買い入れると言う。 買われていった少女達の末路は酷く惨めだ。 慰み者にされ、伯爵のさらなる快楽の為に禁制の薬で壊される。 薬漬けの影響で容色が衰えれば飽きられ、奴隷以下の扱いに落とされて何処かへ売り飛ばされる。 あの屋敷で働く事は学院のメイド達にとっては死にも等しい事。 一度門をくぐればまともな姿では二度と戻ってこられない。 「だからって何が出来るんだ」 貴族の力には逆らえない。 シエスタが逃げればその害は学院のメイド達や、あるいはその家族にまで及ぶ。 仕方がない、運が悪かったのだと諦めるのが一番利口な判断なのだと皆心の中では思っていた。 「くそぅ、何でシエスタ何だ・・・」 頭の良い礼儀正しい子だった。 田舎の村の出身でありながらも少しも鄙びた所がなく、彼女を密かに慕う者も多かった。 仕事もきちんとこなして、どれだけ疲れていても笑顔が絶えない明るい少女。 ふとマルトーは思った。 既に自分の中でも彼女の事は過去になっていた。 残酷な諦めが感情を縛る。 目の前のメイドの娘を見た。 確かシエスタの同室の娘だったか、彼女の顔にも悲壮な思いが漂っている。 出来る事があるとすれば、それはモット伯爵の良心に期待する事だけだった。 彼が邪な思いでシエスタを雇ったのではないのだと、決してシエスタが悲劇に見舞われる事などないのだと。 それは万に一もない奇跡を願う様な事だと思い知っていたのだが。 シエスタの身に何が起きたのか、才人はまだ分かりかねていた。 だがそれが良くない事だと言う事だけは非常に良く理解した。 マルトーのあの思いつめた様な表情、何かをひた隠して悟らせまいとする表情だった。 何か自分に知られたくない事があるのだと、才人は感じ取った。 もしかしたらシエスタは自発的に辞めたのだろうか。 何で辞めたんだよと才人は自分の近頃の行動を棚に上げて密かに思った。 まるで拗ねた子供の様にシエスタを無視していた自分の振る舞いには今思えば腹が立つ。 けれどそれを簡単に認められるほど才人は大人ではなかった。 苛立ちを覚えたまま、才人は別の誰かにシエスタの事情を聞くため歩きだす。 だがあまりにも聞きなれてしまった声が才人の耳に届いて、彼は足を止めた。 「ちょっと!ふらふらと何歩いてるのよ!!」 しぶしぶ振り返る。 そこに立っていたのは予想通り両手を腰に手を当ててムッとこちらを睨むルイズの姿だった。 「あんたは私の使い魔なんだから、ご主人様の傍を勝手に離れないでよね」 「知らねぇよ、そんなの。俺の勝手だろ」 「勝手な事しないで!あんたのせいで私がどれだけ恥をかいたと思ってのよ!!あんたを野放しにするとすぐに騒ぎを起こすんだから」 そんなルイズの物言いにカチンとくる。 だが才人は心の中で我慢我慢と唱えた。 こいつの態度はいつもこんな感じじゃないか、今更怒った所で何の意味もないし、初日みたいに延々と不毛な言い争いをしてどうするんだ。 あの時は知らない場所に居た混乱もあってつい我慢の限度を超えて手が出てしまったが、今度はギュっと手を握る事で衝動を抑え込んだ。 こんな理不尽な事を言われるのは慣れている。 頭の中を空っぽにしてひたすらに感情を希薄にしてただ聞き流せば良い。 きっと相手は言いたい事を言い終われば満足げに立ち去るのだから。 「ちょっと、聞いてるの!?」 自分の言葉に何の反応も示さない才人に向かってルイズが噛み付くように言った。 対して才人は神妙に聞いてますと答える。 その反応にルイズは少しだけ不満そうにジトっと才人の顔を見つめ、そして再び口を開こうとして、 「あの・・・」 才人の背後から声がかけられる。 見れば先程厨房内で何かを訴えた気にこちらを見ていたメイドだった。 彼女は何かを言おうとして、そして才人の後ろにいるルイズに気づく。 慌てて頭を下げた。 「じ、邪魔をしてしまい、申し訳ございません!!」 「何かあったのか?」 そこには若干の期待があった。 先程聞けなかった事情を話してもらえるのではないかと言う期待。 才人に無視された形になったルイズが何かを言う前に先んじて口を開く。 だが返ってきたのは声にならない躊躇の視線。 目が才人とルイズの二人の間を行ったり来たり、おそらくは喉まで出かかっていたであろう言葉は彼女の口の中で押し留められる。 体の前で組まれた両手が彼女の躊躇いを現す様に何度も組み替えられていた。 余程言い辛いのだろうかと才人は首を傾げた。 「何よ、言う事があるなら早く言いなさいよ」 「は、はい」 ルイズが促す。 才人はメイドの娘の目を見た。 涙で滲んだ瞳に見慣れた色を見つけた。 何かに縋りたい、そんな絶望に苦しむ感情の発露。 ゲットーに住む人達と同じ目をしていた。 才人はドクンと心臓の鼓動が大きく跳ねるを感じた。 日が落ちた。 空を見上げれば満天の星空と青白い双月が目に飛び込んでくる。 しかし今宵の夜空は薄らと雲がかかっていて深い闇が光や音を吸い込んでいく様な錯覚すら覚えてしまう。 幸いにも夜目は利く方だからこの程度の夜であれば、かえって色々と都合が良い。 この闇は自分のような罪人を抱擁し覆い隠してくれる慈悲深い存在だった。 「美しき闇夜に感謝を」 自身が紡ぎ出した言葉に酔いしれる様に暗がりの中で人影が走る。 黒の外套に身を包み、立てる音は最小限。 元より人目がないこの場所で忍ぶ意味等ないがこの先に待ち受ける試練の為の練習だと思えば自然と力が入ると言うものだ。 ふと立ち止まる。 目の前に現れたのは大きな屋敷だった。 月明かりすら乏しい闇夜の中で煌々と灯された灯りによってぼうっと浮かび上がる様に見える。 幾つもの窓から零れる灯りはまるで金色に輝いているようだった。 まさに暗闇に眠る財貨。 無数の犠牲の上に成り立つ貴族の既得権益が生み出した血塗られた金。 特にこの屋敷の主の所業はかなりのものと聞いている。 己の欲望の為に無数の女性を踏みにじる行い、何時天罰が下ってもおかしくはない。 「天罰か・・・」 自分こそがその天罰だと気取ってみる。 あの男の報いの一撃を、そう訴えかけたとある女性の言葉を思い出した。 美しかったという容貌は禁忌の秘薬によって侵され、崩れ落ちた肌を包帯の下に隠した彼女の言葉は自分を動かすに十分すぎるものであった。 腰から下げたレイピアの柄をポンポンと叩く。 ジュール・ド・モット伯爵、裁きの鉄槌を下す相手の名を思い浮かべ屋敷へと向かう。 屋敷の周りに無数の灯火が幾つも掲げられている。 大勢の人の気配もあった。 自分が送った予告状の成した結果だと知る。 いつもの相手がいつもの様に待ち構えているのだろう。 ならばいつもの様にからかって煙に巻くだけだ。 ふと耳に小さな音が届いた。 草むらに身を潜め様子を窺う。 道を一台の馬車が進んでいた。 道の端にその馬車が止まり数名の人が降りてくる。 彼らの中に見知った人物を見つけて思わず息を飲んだ。 会話を聞くべく感覚を研ぎ澄ませる。 「あれがモット伯爵とやらの屋敷か」 「はい、でも、あの・・・本当に行くんですか?」 「ああ、シエスタがあそこに居るんだろ?」 「・・・ごめんなさい。自分では何もせずにあなた方に頼んでしまうなんて、私は卑怯ですよね」 「気にすんなって。俺が行きたいから行くんだし」 「ほら、喋ってないで行くわよ。さっさと片付けて帰るんだから!」 「おい、待てって」 「良い?馬車はここで待たせておくのよ。すぐにメイドの子をモット伯爵から取り戻して帰って来るわよ」 「はい。分かりました」 おや、と目を見開く。 これは面白い。 まさかあの連中もモット伯爵の屋敷に向かおうとしてるとは。 さてさて、どうするか。 しばし考えしばらく付近に身を潜める事にする。 モット伯爵家に向かって歩き出した二人には囮になってもらおう。 その方が仕事がやり易い。 モット伯爵に襲いかかる不運を思いながら身を隠すに相応しい場所へと向かう。 後はタイミングを推し量るだけ。 すぐさま暗闇の中へと身を躍らせた。
最終更新日
2011.01.01 00:07:18
覚えている光景がある。 それはどうしようもなく鮮明に平賀才人の脳に刻み込まれた記憶。 その日、才人は働いている先から家に帰ろうとしていた。 いつもならば東京租界の端を目立たないように小走りに帰っていたはずなのに、その日は珍しく新宿ゲットーに足を踏み入れてしまった。 ただ単純に近道であると言う理由もあったが、それ以上に好奇心が彼をそこへと近づけていた。 そして才人は後悔した。 荒れ果てた瓦礫の街。 かつての栄華の痕跡はもはや微塵も感じられず、ブリタニア軍に無残にも破壊された残骸がひたすら続いていた。 風雨を凌ぐ住まいと呼べるのかどうかは分からないが、大勢の人がまだそこにいた。 こんな場所に進んで居たいと思うはずがない。 おそらくは他に行く当てのない者達なのだろう、希望を捨て濁り切った目にこけた頬。 ずっと着続けの襤褸の服を纏って垢と泥と埃にまみれた人達がそこに居た。 モノレールを隔ててすぐ先にある租界の様子とは違う現実。 これが征服された者達の、敗北した者達の行きつく有様だった。 才人にとって始めてみる現実の世界。 自分がまだ恵まれている事を思い知らされ、そしてブリタニア人との歴然たる格差を思い知る。 道なき道を歩き、コンクリートの塊を踏み越え、彷徨う人々の姿が才人の瞳に焼き付く。 何処からか悲鳴が上がった。 才人はハッと息を飲んで首を振る。 強面の黒服の男が数人、年若い日本人の少女を捕まえ大きな鳥籠の様な檻に放り込んでいた。 檻を積んだ車に男達が乗り込み走り出す。 少女が親を呼ぶ声が数度響き渡り、ビルの残骸の向こうへと消えていく。 才人は呆然と辺りを見渡した。 ヒソヒソと連れて行かれた少女の辿るであろう末路を噂する声が聞こえる。 少女の親と思わしき二人が抱き合って身を小さくして肩を震わせる。 あるいは無視、完全なる無関心。 ちらりと視線を向けて目の前の光景からすぐに無関係を決め込む者達。 何故誰も声を上げない、目の前で起こった出来事に何故怒りの声を上げないのだろうか。 才人は変な世界に迷い込んでしまった様な気がした。 自分が居てはいけない場所。 ここの住人は皆虐げられる事に慣れてしまった。 悲劇から目を背け自分には関係の無い事と洞穴の中に逃げ込むだけ。 でもそれはもしかしたら自分達も同じなのかもしれない。 侵略者達に媚を売り、捨扶持を貰って細々と生きていくしかない日本人。 長年生きて来た土地を、人としての尊厳を、未来を語る希望を奪われ地面に這いつくばって生きていくしかない民族。 才人は二度と振り返る事無く一目散にその場から立ち去った。 何かを感じてもそれを言葉に、行動に出来ない自分が嫌で仕方なかった。 翌日、才人はあの少女のような者達がバベルタワーに連れて行かれたのだと知る。 多くの人が人狩りによってまるで奴隷の様に扱われ、用済みになれば捨てられる。 本来ならば取り締まるべきブリタニアの警察もゲットーの治安維持には興味を示さない。 加えて負傷したコーネリアに代わって総督となったカラレスはそうしたブリタニア人による裏社会の活動に目もくれなかった。 寧ろ日本人を虐げるのは当然の権利と言わんばかりに連日の様に多くの人々が罪を着せられて処刑されていった。 そして『彼』が再び現れる。 その名は『ゼロ』。 ブリタニアに対する反逆者、力無き者達の味方であり、日本人にとっての希望。 間違っている事と間違っていると言い、悪を悪と断ずる事の出来る存在。 決して強者に阿らず堂々と正義を行うと主張出来る彼を人々は英雄と称えた。 一度は敗北し死亡説も流れたにもかかわらず、人々は彼の復活を願いそれは現実となった。 黒いマントとスーツ、フルフェイスの仮面。 何故素顔を隠すのかは分からない、しかしその日からゼロは才人にとって正義の象徴となった。 卑怯で汚くて悪そのものであるブリタニアを破壊する者。 民衆を率いて封建制度に挑む革命家。 『権力者=悪、権力に抵抗する者=正義』、この構図が絶対のものではないと知ってはいるがかつての才人にとってはそれが真理である。 一度刻み込まれた認識はなかなか消えない。 鮮烈な記憶が彼に『貴族』に対する嫌悪感を呼び起こさせる。 だから才人は抗う。 それが正しい事だと、人としての当然の権利を要求するその行為が正しいものであると示した『正義』が自分自身の中にある限り。 「嫌な夢見たな・・・」 才人は顔を顰めた。 まだ瞼の裏に夢の光景が焼き付いている様な気がする。 いつもの様に剣を握る感触を確かめ、その後に朝食をとりに厨房へと向かう。 脱いだ上着を羽織り、片手をポケットに突っ込んで剣を下げながら歩く。 欠伸は出なかった。 近頃どうも自然に朝に目が覚める様になってしまった。 電気の灯りがないと日が暮れれば部屋の中は暗くなってしまう。 自然と寝る時間は早くなり辺りが明るくなるのに合わせて目が覚める、何とも健康的な生活スタイルだ。 そういえばと、才人はふと部屋主の事を思い出した。 ルイズ、朝はなかなか起きられない彼女の事だからきっと自分が起こしに行くまではぐっすりと眠っているだろう。 食堂に行く前に部屋に戻って起こさなければルイズはまた朝食を抜く羽目になってしまう。 この件に関しては今まで幾度となくもめてきた為、才人は仕方なしに足を寮へと向けた。 起こして着替えを手伝う、ルイズはそれが貴族としての当然の扱われ方だと言うがそれなら他の生徒達はどうなるんだと言いたい。 聞く話によれば他国の王族連中もいるらしいが、彼らも一々起こしてもらったり着替えさせてもらったりしているのだろうか。 そんなわけがない。 と言うかそもそも男の自分に肌をさらす行為があり得ない。 何と言うか、正直自分の好みは純日本人なので間違いなどあるわけがないが、どうも調子が狂う。 あれは貴族なのだ。 憎むべき、理不尽な要求を押しつけ平民を苦しめる悪。 勿論それが全ての貴族に当てはまるとは思わない。 中には尊敬に値する様な立派な貴族もいるのだろうが、しかしあの決闘の様子から見てそんな者はそういない事は分かっている。 抵抗しきれずに一方的に殴られている自分を見て笑う者がどれほどいたか、弱者を踏みにじる貴族の少年に賛辞の声を送った者がどれほどいたのか。 だが、ルイズはどちらにも当て嵌まらなかった。 心配そうにこちらを見ていたあの目に嘘はなかった。 態度や口にした言葉こそ傍若無人で自分を所有物扱いする酷いものであったが、心の奥にあったのは決して侮蔑ではないはずだ。 故に才人はルイズに対する態度を決めかねていた。 純粋に悪の象徴たる貴族そのものであれば刃向かう限りだが、ただの意地っ張りな少女にも見える。 我儘でプライドが高くて不器用な。 出会ってからまだ短期間とは言え、その人柄は分かりやすかった。 「悪い奴じゃないと思うんだけどなぁ」 分かっている。 この拭い難い嫌悪感は決して彼女のせいではない。 忘れられない悪夢のせいなのだ。 才人は浮かんだ考えを頭の中から必死で追いだし息を吐く。 そうこうしている内に寮の玄関まで辿りついていた。 さっさとルイズを起こして朝食にしよう、そう考えて部屋に向かおうとした時、才人の耳に一人の少年の声が届いた。 何処かで聞き覚えのある声、しかし特別に意識する事無くただちらりと自然に目が追って、そして固まる。 相手も目を見開いて立ち止まっていた。 「お、おい、ギーシュ!」 隣の友人に話しかけられた彼がぎこちない返事を返す。 視線は才人に定まったままだ。 才人はぎゅっと剣の柄を握った。 「何だよ。何か用か」 才人の口から飛び出てくるのは無礼とも言える様な無愛想な言葉だった。 目の前の彼が何かを言いたげに気障ったらしく金色の髪をかき上げ、フッと短く息を吐く。 才人は彼の眼が落ち着きなくキョロキョロと動いている事に気付いた。 どこか戸惑いにも似た雰囲気を感じる。 「あー、マリコルヌ。先に行っててくれたまえ」 「え・・・いいのか?」 「さあ、早く!」 「ああ、うん、その・・・分かったよ」 足早に小太りの少年マリコルヌが去っていく。 残されたのは才人と金髪の少年。 才人は警戒を露わに身構えた。 忘れもしない相手だ。 先の決闘の相手、シエスタに無理難題を押し付け当たった張本人。 「その、だね・・・」 彼が重々しく口を開く。 「この前のあれに文句でも付ける気か?それともなんだ、たかが平民が貴族様に傷を負わせたのが許せないってか?」 悪態が止まらない。 自分でも不思議なくらい、それほどまでに彼に怒っていたのかと思うくらいに舌が回る。 「いや、そういうわけじゃない!」 「じゃあ何だよ!貴族様が一平民に何の用だと言うのでしょうかッ?」 そんな才人の剣幕を受けて逆に冷静になったのか、彼は少し溜息を付いてみせた。 「君を害する気はないよ。あれは確かに・・・あー、その、僕の負けだと言っても良いだろう」 視線が才人を超えてあちらこちらに飛ぶ。 「今日は君に伝えていない事があったかと思った次第で・・・その、だね」 口ごもってあれこれとはっきりしない彼がやがて意を決して真っ直ぐに才人を見た。 「すまなかった!」 「・・・は?」 思わず聞き返す。 聞こえてきた言葉は到底信じ難くって、才人は聞き間違えたのじゃなかろうかと思ってしまう。 「君を一方的に殴ってしまった事を詫びよう。魔法の力は決して罪なき君に振るわれるべき力ではなかった。その愚を犯したのは僕の不徳の致す所で・・・えっと、と、とにかく君に謝罪しようと言うのだ!」 頭こそ下げなかった。 言葉も何処か偉そうに高圧的に聞こえた様な気がした。 しかし中身だけは確かに謝罪かもしれない。 何だこれ、才人は呆れて聞き返す。 「それが用事か?」 「そ、そうだとも!良いかい、一度しか言わない!しっかりと聞いただろうね!?」 彼が少しだけ照れくさそうに言うその様子が、可笑しくて仕方がない。 才人は呆れて口を開いた。 「なあ、あんた名前何だっけ?」 「なッ!?君は決闘の相手の名前も覚えていなかったのか!?」 「なんつうか、たくさんいる『貴族』の一人って感じだったし」 「君ねぇ・・・、よろしい、改めて名乗らせてもらおう。僕の名はギーシュ、ギーシュ・ド・グラモン。名門グラモン伯爵家の四男だ。覚えておきたまえ」 正直才人には名門とかグラモン伯爵家だとかはどうでも良い事だった。 「ギーシュね、覚えとく」 大勢の貴族の括りの中からギーシュ・ド・グラモンを別の枠に入れる。 まさか謝られるとは思ってもいなかった。 じりっと心臓が熱くなる。 今までの自分の思いつめ方が馬鹿らしくなった。 謝ろう、シエスタに謝ろう、才人は思った。 自分勝手な感情に振り回して嫌な思いをさせてしまった。 あの傲慢な貴族に出来て自分に出来ないはずがない。 まずはルイズを起こし、そして食堂に向かう。 今の時間ならシエスタも給仕に駆り出されているだろうから、顔を合わせる事は出来るだろう。 緊張したとばかりに胸を押さえて大きく息を吐くギーシュを置いて才人はルイズの部屋へと駆け出した。 そしてその数十分後、才人はマルトーから一つの事実を告げられる。 『シエスタが学院の仕事を辞め、さる貴族の家に奉公する事になった』
最終更新日
2010.10.31 22:30:23
だるい。 その一言に尽きますね。 大した実験もなく、いろいろと雑務があるのはさらに堪えます。 実験でばたばた動き回ってるの方がまだ楽なんですけれどねー 昨日はぽつりぽつりと次の更新の為にいろいろ書いていたんですけれど完成せず。 ん、もうちょっと気合い入れましょうか。
最終更新日
2010.10.25 11:40:53
【入荷予約】 進撃の巨人(1) あらすじ 巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。 何やらネット上で評判との事。 さっそく買ってみたのですが・・・ うん、こう言うの大好きですw まあ正直読み手を選ぶタイプの漫画だとは思うのですが、独特の絶望感がたまりませんね。 ストーリー的には・・・ うーん、絶望的なガンパレードマーチとか? なんか雰囲気が違う気もしますが。 もしくはファンタジーなGANTZ。 世界観の完成度も高く(まあ人類の活動領域自体が狭いんですが)、多くの謎がこれから解き明かされるようで非常に楽しみです。 まだ読んだことのない方は・・・、是非にとは言えないですが興味のある方は一度パラっとページをめくってみては如何でしょうか。 もしかしたら顔を強張らせながらもドキドキが止まらず次の巻に手が伸びてしまうかも知れませんよ?
最終更新日
2010.10.12 19:51:12
うう・・・ 就職活動したくない・・・ けれどこれ以上現実逃避を続けるわけにもいかず、頑張らないと。 今年は私の研究室では就活するのは私だけ。 推薦来たら全部もらえるのが唯一の救いでしょうね・・・ そんなわけでサイトの改装中ですが今以上に更新が遅れる可能性が大です。 やはり優先すべきは私自身の未来ですので。 ではでは・・・
最終更新日
2010.10.04 21:45:49
ちょっと待て。 帯に完結とか書いてなかったか? 完結するんじゃないのかよ!! ・ ・ ・ ・ ・ ・ なんかもう一冊に分割らしいです。 冬かぁ・・・ まあストーリー知ってるけど、ハッピーエンドになると良いなぁって思いながら待ちますかね。 トゥルーエンドだとちょっと悲しい。
最終更新日
2010.09.28 22:23:51
忍者使い辛い・・・ お気に入りのサイトをあちこち回って忍者とFC2のどちらが多いのかなと見た結果、忍者の方が人気があったので忍者ツールを選んだのですが、これ使い勝手が悪いなぁ・・・ 特にファイルアップローダーが私のインタネットエクスプローラーでは一部エラーが出る所が特に不満。 というわけでもう一度きちんとレイアウトを作った後にFC2で公開しなおそうと思います。 FC2だとweb拍手使えないのかなぁなどと思って敬遠したんですがこちらの方が使いやすかったので。
最終更新日
2010.09.21 02:06:06
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