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宮の独り言

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2009.03.23
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カテゴリ:コードギアス
「美味かった・・・、流石はルルーシュ、良い嫁になれそうだな」
「残念ながら俺は男であり貴族だ。料理の技術は必要無い」
「また今度も私の為にピザを作らせてやろう」
「・・・おい、人の話を聞け」

ワインを飲みながら久しぶりのピザの余韻に浸るC.C.
すっかり元の傍若無人な魔女に戻ってしまった彼女を見ながら、ルルーシュは少しは可愛いところもあるかと思った己が馬鹿馬鹿しくなった。
山のように焼いたピザは主にジノとC.C.で半分以上を食べ、見事に焼いた全てを完食してみせた。
満足そうにうっとりとほほ笑むC.C.の体型は食前と何ら変わらないように見える。
一体あれほどの量のピザがどこに入ったのか、何とも不思議な事だ。

「いやあ、ルルーシュ先輩、美味かったです!」
「御馳走様でしたぁ~」

ジノとロイドも満足げに言う。
何時ぞやのジノとの約束も果たしたし、これで文句はないだろう。

「ルルーシュ」

C.C.がルルーシュの名を呼ぶ。
なんだと無愛想にルルーシュが答えるとC.C.は一言手を出せと言った。
訝しげな表情を浮かべるも、ルルーシュは右手をC.C.に差し出す。
その上に置かれる彼女の左手、その手が離れた時、ルルーシュは自分の手に何かが残っているのを見つけた。
何やら鍵の様な形のものだ。

「ピザの材料代だ。お前達なら使い道も知っているだろう」
「・・・あ、あああッ!!」

記憶の中から呼び覚まされる光景、その中にある物と今手の中にある物の形状が一致する。
突然声を上げたルルーシュに他の者達が驚いたように顔を向けた。
ルルーシュが勢いよく立ちあがる。

「これをどこで見つけた!?」
「トリステインの貴族の家だ。生憎それだけだったがな。その貴族の入手経路は不明だ」
「ルルーシュ様、どうしたんです?」

セシルが気遣わしげに尋ねると、ルルーシュは手のひらの上に乗ったそれをロイドやセシルの前に置いた。
それを見て、彼等は瞬時に顔色を変えた。

「えええッ!?」
「嘘ぉお!!」

ロロやジェレミア、ジノは何が起きているのかよく分からず、ルルーシュに説明を求めるような視線を向けた。
だがルルーシュはC.C.を厳しい眼つきで睨みつけている。

「一つ聞きたい。これはトリステイン、もしくは他国では価値のある物なのか?」
「いや、皆無だ。おそらく本体の方もな。お前達の様な知識を持つ者か、あるいは私のように召喚されたものにしか価値は分からないだろう。これは私の今の共犯者が手に入れたものだが、売れ残ってな」
「・・・ちょっと待て。共犯者だと?」
「ああ」
「契約したのか?」
「したな」

それを聞いた途端にルルーシュは杖を握り、その先端をC.C.の額に微かに触れさせた。
誰もが息をのんで二人のやり取りの行方を呆然と見つめている。
ルルーシュが苦しそうな表情を浮かべる。
C.C.はそれを見て少し寂しそうに目を細め、杖に指を当てて先端を自分から反らした。

「・・俺はゲルマニアの宰相だ。お前とその契約者がゲルマニアの害になる可能性は高い。ならば今の内に始末しなければ!」
「止めろ、ルルーシュ。私は知っているよ。お前は優しい奴だ。それ以上自分で自分の首を絞める様な真似をするな。かつての共犯者を信じろ」
「だがお前の共犯者がどのような目的で『王の力』を用いるか分からない!あれは暴走の危険もある。その危険性を俺は誰よりも知っている!」

苦しい思い出を吐き出すように言ったルルーシュからジノ以外の者は目を外した。
C.C.はほうっと軽く息を吐く。
そして言う。

「安心しろ、ルルーシュ。今度の契約者は素質は不十分だ。『王の力』は成長しないし、ましてや絶対順守や記憶改竄のような力もない」
「それを信じろと?」
「信じて欲しいものだな。それに私はゲルマニアには恩を売っておきたいんだ」
「何故だ?」
「近々主と共にゲルマニアに移住するかもしれん」
「・・・移住だと?」

ようやく納得したのか、ルルーシュは杖を下ろす。
それに従ってロロやジノ、ジェレミアも杖に伸ばしていた手を下げた。

「詳しくは言えないが、私を召喚した奴は訳あって世間の目から隠れなければならなくてな。今はアルビオンに住んでいるが、戦乱が広がるようであればその前にハルケギニアのどこかに逃げておきたいんだ」
「それでゲルマニアを選んだのか」
「ああ、見た所他の国よりもまともそうだしな」

そうかと呟いたルルーシュはしばらく考える。
アルビオンからの移民の受け入れは少しづつであるが増えている。
技術や能力を持った者から優先的に受け入れているが、少々訳ありとなると少々面倒な事になる。
色々と根回しが必要だ。

「良いだろう、その時は受け入れ態勢は整えてやる。その代わり、」
「『場違いな工芸品』の情報をお前に伝えてやる。入手した際にもゲルマニアに優先的に売る。それでいいか?」

ルルーシュが頷き、口約束の契約がなされる。
C.C.はマチルダの許可なくこのような真似をして怒られるかなとも思ったが、気にしない事にする。
どうせ彼女も同じ結論に達するだろう。
王権諸国は彼女の妹を受け入れるわけがないのだから。
ならば大国であり、比較的ブリミル信仰も薄いゲルマニアに逃れるべきだ。
ルルーシュならばティファニアの外見はそれほど気にはしないだろう。
問題は外交が絡んだ時だが、ルルーシュが存外身内に甘い。
確かな理と利益がなければ彼女をロマリアに売るような真似はしないはずだ。

「ロイド、セシル、それにロロ。今日からお前達には別の作戦を命じる。特にロロ、お前は機情を動かして大規模にゲルマニア全土を捜索してくれ」
「え、う、うん」

ルルーシュの厳しい目がロイド達の手に乗っているそれに向けられる。
それはかつてルルーシュの手にもあったもの。
人型自在装甲機ナイトメアフレームの起動キー。

「ナイトメアフレーム、他国がその価値に気づく前に全て回収しなければ!」





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最終更新日  2009.03.25 16:42:48
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