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秀0430さんのところで、
> どのような現象が突然変異と呼べるものなのかの正確な知識がないからだ。初学者としては、出来ればここのところでは正確な具体的例が欲しいと思ったりする。 という疑問を提示されていたので、お節介ながら回答を考えてみました。 初心者向けの本に、どのような例が出ているのかどうかは分からないですが、高校生レベルの生物の知識から書いてみます。 「進化論」の中に「遺伝」と「突然変異」を導入して考えるなら、メンデルの遺伝測(染色体や遺伝子を考える遺伝学)を抜きに語るのは少し難しいかなと。 余計なお世話でしたら無視してください。ここからスタートした方が分かり易いと思うのですが・・・。 遺伝子は染色体に乗って移動しますので、遺伝・変異を考えるときには染色体(2本で1セット)を考えるのが基本です。 この場合の「同じ染色体」とは、光学顕微鏡レベルで「同じ形」をしているもの同士です。人間なら23組46本が普通です。 遺伝子には優勢と劣性があり、2個1組にして考えます。 通常優勢はアルファベットの大文字・劣性は小文字で示されます。 同種でも幾多の色のある花の中で、常に赤い花が咲くものと、白いものしか咲かない系統を選別した結果、赤の方が多かった場合、花に紅い色素を持たせる遺伝子が優勢形質・白い花が劣性形質と考え、優勢の遺伝子をA・劣性をaと規定します。遺伝子は二本一組で動きますので、赤のみをつけるものの遺伝子はAA・白のみをつけるものをaaとし、両者を掛け合わせると、次の世代に出てくる遺伝子の組み合わせはAaとなり、発現するのはAの形質・・・つまり赤い花のみが咲く。 次にAa同士を掛け合わせると、4パターンの組み合わせ(AA・Aa・aA・aa)となり、発現するのはAをもつ3つ(AA・Aa・aA)が赤・aaのみが白となります。 実際、3:1のワリで赤と白の花が咲くようです。 これがメンデルの遺伝の法則で、遺伝を考える上での基礎になります。 ちなみに、AAやaaのような同種の遺伝子を持つのが「純系(ホモ)」、Aaが「交雑系(ヘテロ)」とか「雑種」とか呼ばれます。 (もちろん、これほどシンプルかつ典型的に形質が発現するものは実に稀でして、Aaがピンクになったり、aaが致死遺伝子になって生まれる前に消えてしまうもの等もあり、その複雑さが分かりにくさだったり面白さだったりするんだけど) したがって、動物のブランド(特に犬猫)で「純血種」というのがありますが、彼らは皆、ホモということになります。毛色の違いなどは、もっと違う遺伝子の働きがあったりして、え~・・・まあ、その辺は実に難しいところで^^; ホモもヘテロも元はといえば生物学用語で、差別用語じゃないんですぜ。 ところが、自然というのは人間の机上の考えのみで動いてくれるわけではないので、ランダムに異常が発生します。 染色体もしくは遺伝子上に起こるそれを「 染色体上に起こる突然変位を「染色体突然変異」と呼び、考え易いのは、オスとメス(性染色体XYとXX)でしょうか(これだと、男性がヘテロ・女性はホモになります。性染色体は例外的な染色体で、形が違うにも関わらずXとYで「1組」と考えます) 普通2種しか発生しないようになっていますが、「間性」というのが一定の割りで存在します。性染色体がXXXだったりXXYだったりXXXXYだったりとかで、正常よりも1~2本性染色体が多いのが特徴です。普通彼らは生殖能力を持ちませんので、「突然変異」にはなり得ません。Y染色体は男性の生殖器を発現させるらしいので、Yを持てば、小さくても男性のシンボルが体につきます。 これらは精神的なものではなく、あくまでハッキリと外に出る(目に見える)「形質」です。(環境差による「獲得形質」ではない) (トリビア(?):「リング」の貞子は実はこの間性なんです。彼女(?)が殺されたのは、洋服を着た外見上が極めて美女であるのに、彼女に横恋慕した男が想いきわまって強姦しようと襲いかかり、脱がせてみたら「あり得ないモノがあった」ことにショックを受け、動顛したあまりに殺害したことになっております。また貞子が間性であることで、通常は子孫を残せないこともトリックに組み込まれているという凝った設定になっているんですけど、あまりご存知の方はいないようです・・・。実は、DNAちゅーより、その上の染色体レベルの話ですよね、あれは・・・) ところが、時に「子孫を残せる奇形」が発生します。 今のトコ、「間性」が子孫を残せるようになった例(つまり、性染色体上の突然変異)は無いようです。 今度は「色素を持たない白子(アルビノ)」が好例になりましょうか。 よく例に出されるのは「アフリカツメガエル」という、比較的原始的なカエルです。 普通彼らは黒っぽい色をしていますが、交雑を繰り返すと「突然」真っ白な個体が出現します。黒系を繁殖させているのにも関わらず、です。 その黒いのがヘテロだったのでは?とも考えられるんですが、白同士をかけても黒いのが出現したりします。 メンデルの遺伝測に従えば、黒を発現するのをB・それに対立する無色素の遺伝子をbとすると、黒がホモ系(BB)ならば黒い個体のみが、ヘテロ(Bb)ならば黒と白が3:1の割合で、白が劣性形質のみを持つ(bb)ならば、白同士をかければ白だけしか産まれないことになりますが、そううまくはいかない(笑) bbをかけ続けても、黒(B)が発現する、ないし、ホモ黒(BB)をかけ続けているのに白(bb)が発現する、という、なんとも奇妙な事態が出来したりして。 ここで、「白しか生まれないはずなのに、黒いのが生まれた」り「黒しか生まれないはずなのに、白いのが生まれた」場合、そして、これらが「遺伝した(次の世代にも同じ現象が出現した)」場合を遺伝子突然変異と呼ぶことになります。 こいつら(アフリカツメガエル)を高校の生物部時代に飼育したことがありますが、おもしろいんですよ~。 アルビノのおたまじゃくしは透明なんです(笑) ・・・・アフリカツメガエルの途中で自信がなくなってきた(メンデルでしたっけ? こいつら)ので、もっと極端な例(私の想像した例ですけど)を出しておきます。 人間の中に、頭に角を持った子供が生まれたとします。 その子供が大きくなった後に結婚し、その子・あるいは孫らの中に角を生やした子供がいれば、これは突然変異と言ってもいいことになります。 あるいはABO式血液型の関係測に副わない子供が出てきた場合。 AB型女性とO型男性の組み合わせであれば、その子供はAO(A型)かBO(B型)しかいないはずですが、O型が生まれてしまった場合。 女性側がO型であれば、O型の男性と浮気していればあり得る話だけど、AB型女性からO型が生まれるのは、原則的には絶対あり得ない(他人の受精卵を移植した場合以外) にも関わらずあり得ない事態が起こったならば、それは「突然変異」と認識しても良いことと思われます。 コトワザならば「カエルの子はカエル」は通常の遺伝、「トンビがタカを産」めば、それは突然変異かな(笑) 「遺伝子=存在そのもの」のようなウィルスならばもっと変異・進化が速いんですが、ある抗生物質に対抗できる遺伝子を持てば、それは大いに繁栄するでしょうし、突然変異そのものともいえるのでは。 おぼろげながら、私の進化論(突然変異説)の理解の大筋は、ここに乗っかってます。 「変異」は遺伝せず、「突然変異」は遺伝する。 こんなものでいかがでしょう? かえって分かりづらくなっちゃったかもしれない^^; 分かり易くて矛盾のない説明って難しい(←ちゃんと調べてから書きなさい) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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