譲れないものIIIスコールとリノアは浜辺で石を探し終えた後、流木や小枝、紙などを拾っていた。「…ね、スコール?」 「何だ?」 「…何か無理してない?」 「!…そんなことないぞ。」 「そぉ?」 「あぁ、…強いて言えば…」 「言えば?」 「少し疲れてるかもな。さっきの荷物持ちで。」 「え~?あれくらいで?たったの一つじゃ~ん。」 去年のリノアの誕生日、親からリノアに高額の小切手が来た時、それで買い物をしたら信じられない量を買ったのだ。まぁその中にリノアが着て欲しいと思い、スコールはプレゼントされたので全部を悪く言えないのだが。 「…リノアのなら構わないんだが他人のだとなんだか疲れるようだ。」 赤面し、目を反らしつつもスコールは滅多に口にしないようなことを口にした。 それを聞き、満面の笑みを浮かべたリノアは、拾い集めた物を落とし、スコールに抱きついた。 「なんか嬉しいぞ~。」 「そうか。でもさっさと集めないと皆になんか言われるぞ。」 「そだね~。」 そう言うとまた集めることを再開した。 「く~相変わらず熱いね~。」 「本当、見ていてこっちが恥ずかしくなるわね。」 実はゼル、セルフィ、キスティスの三人はとっくに戻っていた。 「なぁ、アーウ゛ァインは?」 「え?」 「あれ?あ・あそこだ~」 彼等の所から50メートルぐらい後方で、アーウ゛ァインはかなり大きい荷物を二つ、なかば引きずるような形で頑張って運んでいた。 「すごい量買ってきたな」 「だってゼルお腹空いてるでしょう?」 「まぁ私たちもペコペコなんだけどね。」 「あ・話終ったみたいだ。おーいはんちょ~」 「たくさん買ってきたわよ~」 「取ってきたぜーっ!」 「お疲れ。…アーウ゛ァインは?」 「ん?あそこよ。」 先程から5メートルしか進んでないようなところにアーウ゛ァインはいた。 「…またすごい量を買ってきたな…。」 「でしょ~?」 「皆たくさん食べると思ってたくさん買ってきたのよ。」 「成程。」 「和んでないで手伝ってよ~!」 遠くの方でアーウ゛ァインが叫んでいる。 「ったくしょうがねぇな!」 ゼルが走って手伝いに行った。 「うぉっ!お・重い…。スコール!一つ手伝ってくれ!」 「はぁ、仕方ない。」 そう言ってスコールも手伝いに行った。 そしてたかだか50メートルの距離を30秒以上かけてやっと運び終える荷物は届いた。 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、」 「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ、」 「お疲れ~。」 「それじゃ下拵えを始めましょうか。」 「うん!」 下拵えも終り、楽しいバーベキューが始まった。いつもより時間が遅いせいか、皆いつも以上に食べていた。 「ッハ~満腹満腹!」 上機嫌でゼルはそう言い、全てが空になった。 この晩、六人で消費した量は11人前。ゼルは三人分食べていた。 「少し休んで片付けをしたら帰るぞ。」 『は~い』 本当に少し休んだだけで片付けを始め、片付け終わり帰路についた。 written by eoh ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|