049217 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

漆黒の狼

漆黒の狼

【傷だらけの小鳥】第2章第4話

【傷だらけの小鳥】第2章第4話【過去と白い部屋】














このままずっとここにいるのかな?

だったら

いっそ自分の舌を噛み切って死のうかな?








それが僕が思っていた思い。

でも、あの窓を見ると。

あの窓の外を見ると。

僕は小鳥になったように思える。

麻薬のように、この窓は僕を誘い、そして幻想を見せる。

僕はここにいるのに。

少し下から見える青い青い空。

雲がふわふわと流れ、風が窓の外に見える木々を揺らす。

雨が降ると雲が黒くなり、そしてたまに雷はゴロゴロと音を立てる。

そんなことは小さい頃は普通だった。

ただ、雨が降ったり止んだり、晴れてたまに虹が見えた丘から下校する。

小学校の頃はよくいじめられた。

この目のせいで。

僕は眼が好きで嫌い。

紅い目。

ありえない、不思議だ、変だ、気持ち悪い。

そんな言葉はよく聞いていた。

でもお父さんもお母さんもそんなこと言わなかった。

なのに、二人は死んだ。

事故だった、車の。


そして孤児院に引き取られた。

そこでもいっぱいいじめられた。

いつものセリフ。

聞きなれたセリフ。

でも、それはいつもと違ってた。

お父さんたちが死んだとちゃんと思えた頃にようやくその言葉は重みを増した。

いつもはお父さん達が慰めてくれた。

「その瞳は綺麗だよ、血の色を否定するのは怖いからだ、でも血は人に大切な物なんだ、だから怖くない」

そう言ってくれた。

でも、いないからもう言い聞かせてくれる人はいない。

唯一、その記憶だけが僕を慰める。

「綺麗な色だよ」と瞳を誉めてくれたのはその時までいなかった。

でも。

孤児院で1年を過ぎた時。

ある人が来た。

僕の瞳の噂を聞きつけて来たらしい。

そしてその人は僕を引き取ると言ってくれた。

そして「君の瞳は綺麗だ」と言ってくれた。

嬉しかった。

お父さん達と違う人が言ってくれたその言葉。


「面白いね、さっそく実験してみたいよ」

そう言った。

怖かったその瞬間。


そして来たこの部屋。

一生いるんだと言われた部屋。

一生いるんだと思った部屋。

怖いのはこの白さ。

純白すぎて怖い。

この部屋で一番目立つ僕の黒髪と紅い瞳。

より目立つ。

目立たせたくないのに・・・・。

そして白さの中に潜む闇のような色。



早く僕をここから出して。

誰でもいい。

どんな人でもいい。










そこにいたのは一生じゃなかった

僕は小鳥となるのは少し未来かな?

小鳥にしてくれるのは君かな?

小鳥になって大空を

君と飛びたいよ






~漆黒の独り言~
いやぁ~~!
相変わらずのヒロイン、紅蓮の一人喋り。
まぁ、紅蓮の過去などを書きました。


© Rakuten Group, Inc.