光の帝国
恩田作品を読んだ中で(まだ数冊しか読んでいませんが)、今のところ一番のお気に入りです!!!始めにタイトルをみて、こりゃぁSFのスター○ォーズみたいな話ではなかろうか?と、少々とっつきにくさを感じておりました。しかし、サブタイトルに『常野物語』とあり、ん?『遠野物語』パクリか?(ーー;)と、なにやらよく分からなくなっておりました。(遠野物語は私、読んだ事がございませんが・・・)しかし、いざ読み終えてみると、その素晴らしさに感動です!!!!中身としては、常野(『とこの』と読みます)一族のお話です。彼らは、一族といっても血族ではないようです。それぞれ、特殊な能力をもっており、かといってその力を誇示するわけでもなく、ごく自然に私たちの生活の中に溶け込んでいるようです。短編が編集されていますが、これは、一冊全てを通して素晴らしい作品になっていると思います。もちろん、短編それぞれも、話としてきちんと出来上がっています。が、全てを読み終えたときに、その短編にある出来事のエッセンスが開放されて読み終わりの余韻を素適なものに変えてくれています。私は、本のタイトルにもなっている『光の帝国』を読んでいるとき、どうしようもなくやりきれない気持ちになりました。(理由は、読んでいただけるとわかると思います。)それまでのお話からして、どうしてこれがタイトル作品なのか?なぜ、こんな話をいれたのか?と、不思議でした。しかし、ラストの短編にて、それが見事に昇華されているのです!!見事に、恩田ワールドにどっぷり浸かってしまいました読みながら、ツル先生をはじめ、常野の人たちにとても逢いたくなりました。きっと、いろんな話が出来ることでしょう。言葉にしなくても、感じるものがきっと沢山あるだろうと思います。それくらい、彼らは魅力的で、何より優しさを知っている人々です。そんな風に人物を描ける恩田陸。彼女はすごいです!