『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第11話「けれど確かに現実だった」
シノに抱えられたキバは腹を抱え込み、そこから大量の血がしたたり落ちている。キバの顔は青白く、必死で痛みをこらえてはいるが、今にも気を失いそうだ。
「キバ!」
シカマルはキバに駆け寄る。
「この出血量では病院までもたない……。残念だが、もう……」
シノは静かにキバを地面に横たえる。
「バッ、バカッ! なに言ってんだっ! 応急処置すりゃなんとかなるっ!」
シカマルはキバの傷が刀傷であることを一瞬にして判断する。
「わっ、私、近くに医療忍者がいないか見てくる!」
いのは急いで駆けていく。
「サスケ、さらしの替え持ってんな。出してくれっ!」
「何故オレが……。そんなことをする義理はねぇ」
「なっ!?」
岩の上でキバを冷酷に見下ろすサスケ。シカマルは耳を疑う。が、いつまでも呆然としてはいられない。時は一刻を争うのだ。
「ナルトッ! オレが止血すっからお前はキバの体少し持ち上げてくれっ!」
「嫌だってばよっ! お前ってば里の危機に任務さぼってたんだろっ! そんなヤツの言うことなんか聞けねぇってばよ!」
「……」
シカマルは唖然とした。しかし妙だと気付く。いくら言うことを聞きたくないと言っても、キバが危ないというのに手を貸さないはずがない。これはなにかの罠なのだろうか。それとも自分を試しているのだろうか。しかし……。
シカマルはチョウジを見る。チョウジは困った顔で目をそらす。ナルトを見る。こぶしをぎゅっとにぎり、額から汗がにじみ出ている。ヒナタは目線が定まらず、サクラは緊張した面もちで……。ポーカーフェイスなのか不明だが平然としているのはシノとサスケ……それに遠くで待たされている夢之助だけだ。なにがなんだか分からないが、しかしキバの出血は現実なのだ。
「シノ! ヒナタ! サクラ! チョウジ! 早くキバの体を支えろっ! オレは止血でせいいっぱいだ!」
言いながらシカマルは、中忍ベストを脱ぎキバの腹に強く当てる。だが出血の勢いはそう簡単には止まらない。
「なにやってるんだ早くしやがれっ!!」
シカマルは怒鳴る。だが、誰も動こうとしない。シカマルの胸からとても強い感情がほとばしる。
「オレたちは同じ木ノ葉の仲間だろぉがぁ!!!」
シカマルの声は辺り一面に響き渡った。
リー『キ、キバくん頑張ってください! ボクが助けに行きますから!!』
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