『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第13話「いつも何も出来ない」
任務開始。それぞれ散った班の皆をチョウジはあわてて追いかけひきとめた。演習場から少し離れた森に、皆は降り立つ。
「みんなに……シカマルのこと助けてもらいたくて……」
チョウジは、困った顔でつぶやく。
「そんなことのためにわざわざ皆を集めたのか!? やる気のないシカマルのことなどどうでもいい! 時間が惜しい……いくぞテンテン、……リーも!」
「待ってよネジ!」
いらいらするネジを止めたのは、テンテンだった。
「ネジ……ちょっと言い過ぎじゃない? ネジの言うことも分かる。ネジは天才でなんでも出来るわ。けど……あなたには欠けているものがあると思うの……」
ネジは驚き、テンテンを見つめる。
「シカマルどうしたんだってばよ!」
「シカマルくんになにかあったんですかっ!?」
皆がシカマルを心配し、チョウジを囲む。それをネジは呆然と見つめる。しかしそれはネジだけではなかった。輪に入らなかったものが後二人。
「……」
サスケは無言で皆を見つめる。夢之助もその横で、相変わらず冷めた目をしている。
「アイツ、初めて小隊長任されて……。だけど全然その役目果たそうとしなくて……昨日も今日も任務さぼって……」
チョウジは、ぽつりぽつりと語り始める。
「アイツ、ホントにめんどくさがりなのね!」
サクラは呆れる。
「うん。アイツは確かにめんどくさがりだよ。でもねサクラ、シカマルは面倒くさいからって任務をさぼったりするヤツじゃないんだ……。小隊長だって……」
「……シカマルは、この任務の成功率がゼロに近いということを知っている」
輪の外から、ネジはつぶやく。皆がざわめく。
「だから任務がバカらしくなったのだろう……」
ネジは腕を組み言う。
「……違うよ、ネジ」
「ではなんだと言うのだ……」
ネジはチョウジに問う。
「シカマルは……この中で誰よりも早く中忍になって、小隊長にもなったけど……でもシカマルはそんなこと望んでなんかなかったんだ。きっと今だって、自分じゃなくてネジかサスケがなれば良かったって……そう思ってるんだ、シカマルは……」
「なんでオレじゃないんだってばよ」
「ナルト!」
サクラはナルトを睨む。
「任務の小隊長としての役目に自信がないわけじゃないんだ。だけどシカマルは今、すごくとまどってる……。だってアイツは、基本的にごく親しい人以外に関心をもたないし……そんな自分がみんなの命預かっていいのかなとか……、自分に…仲間を大切に思う気持ちがちゃんとあるのかなとか……、自信がないんだ、シカマルは……」
チョウジは、自分のことのように辛い表情をする。
「チョウジ。シカマルは仲間のことちゃんと思ってる。オレは分かってるってばよ」
「そうね。木ノ葉崩しの時に班を組んでサスケくんを追いかけたときも、シカマルは命懸けで私たちを追っ手から逃がしてくれたもの」
ナルトの言葉に、サクラもうなずいた。
「ナルト……サクラ……。ありがとう。でも、どうすればいいのかなあ……。シカマルはそれでも、自分が間違ってるって、甘えてるって、心のどっかで気付いてて……。他のみんなに悪いとも思ってるから、余計イライラしてるんだ……」
チョウジは、悲しそうな顔をする。
「ボク分かってるのに……シカマルのことちゃんと分かってるのに……いつも何も出来ないんだ……」
うなだれたチョウジの肩をポンと叩いたのは、キバだった。
チョウジ『ボクだって本当はもっと、みんなみたいにちゃんとしたいんだ』
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