『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第19話「名前なんかどうでもよかった」
「んっと……その……、あのね、ナルトくんのそばにいると、ほっとするような、でも胸がきゅんってするような……」
「……よく分からないし」
抑揚のない答え。けれどヒナタを見つめる夢之助……。ヒナタは、夢之助の口の中にアメをころんと入れた。
「……」
夢之助のほおが、かすかに赤くなる。
「……なにこれ。……あまい。なにこれっ……」
「こんな感じだよ。恋って」
ヒナタは、夢之助ににっこり笑う。
「……でも、ボクたちもうすぐ死ぬんだから……。誰かを好きって思っても無駄じゃない?」
「夢ちゃん……」
ヒナタはしばらく夢之助を見つめていたが、やがて夢之助の両肩に手を置き、その顔をのぞきこむようにして言った。
「あのね、人を好きになるって気持ちは、とめられないんだよ。私だって、こんなにうじうじしてて……ナルトくんに好きになってもらえないってこと、分かってるよ……。それでも……ダメ……。ナルトくんが大好き……。もうすぐ死ぬっていうのなら……もっともっと好きでたまらなく……なっちゃうよ……」
ヒナタの閉じたまぶたから、涙がにじんだ。
「……」
夢之助はそんなヒナタを、じっと見つめていた。
その日、小隊は敵に怪しまれぬよう、再び爆弾を探すフリをした後で解散した。
うちは一族跡地を、夢之助はきょろきょろしながら歩く。
「おいガキ。さっさとしろ」
前を歩いていたサスケは半分振り向き、夢之助を睨む。
「ガキじゃなくて、夢之助です」
「フン。名前などどうでもいい……」
夢之助は、何故かハッとする。
「……そうだね。どうでもよかったです」
そして再び、辺りを見回す。
「ここいったいに人は誰もいない。ガキがおもしろがるもんは何もないぞ」
「別におもしろがって見てるわけじゃないよ」
そうして夢之助は、サスケをじっと見つめる。
「なに人の顔じろじろ見てやがんだ」
「……ううん。ごめんなさい」
目をそらす夢之助。伏し目がちのその目に、自分と同じ孤独の色をたたえているのを、サスケは感じた。
ナルト『次回は……サスケ、サスケ……サスケだらけだってばよ! ずるいってば!!』
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