『未熟なボクら ―もう一つのNARUTO-ナルト物語― 』
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第64話「第七班の写真」
同じ夜、夢之助がサスケのベッドで目を覚ますと、下の布団に背を向けて座るサスケは一枚の写真を見ていた。それがなんの写真かを、夢之助は知っていた。前に、その額縁を、見たことがあったからだ。夢之助は、黙って目をつむった。それでもサスケに意識を向けていたが、今日の呪印の解放でよほど疲れたのだろう。そのまますぅと、再び眠りに落ちた。
サスケが見ていたのは、第七班の写真だった。いつも、部屋に飾ってある写真だ。大きなカカシの前に、ナルト、サクラ、サスケの三人が立つ。ナルトが思い切りサスケを敵対視して睨む。サスケも不機嫌そうな表情をしている。そんな二人の間で、サクラは一生懸命に笑う。カカシは、ナルトとサスケの頭に手を置き、苦笑している。そんな、チームワークがバラバラな……それでもとても第七班らしい写真。ともに過ごした、もう戻らない日々。そして、これからはもう……。
何が間違っていたのだろう。あの時、五年ぶりに会った兄イタチに、手が届くことはなかった。仲間の存在が自分の成長を妨げるのだと、距離を置いてみたりもした。ナルトの螺旋丸は、千鳥を越えていた。それでもナルトは、一番の友達だ。
ずっとみんなで一緒にいられたらいいね、と、つぶやいたサクラ。
サスケは、静かに写真立てを元の位置に置く。けれど写真立ては、伏せられていた。
眠る夢之助の額を、サスケはそっと掻き上げる。呪印は、綺麗に消えている。うちは生き残りのこの子と死ぬことを覚悟した。けれど今、こうして生きている。
あの時、発動された呪印は確かに止まらぬまま爆破した。けれど同時に、解放された。それで、相殺されたのだ。だから、サスケも夢之助も、威力の弱い爆発で多少の傷を負っただけで助かった。あきらめていた夢之助が、何故呪印を解放することが出来たのかは分からない。呪印解放が成功したことに気付いた夢之助は、ホッとした顔で笑い、そのままサスケの腕の中で意識を失ってしまったからだ。あの後、皆は喜び合ったが、ナルトとサクラの目はなんだか不安げに揺れていた。二人は、気付いたのだろうか。
サスケは、部屋の隅に静かに目をやった。昨日の午後、病院を後にして家に戻ったときに用意した、旅道具を詰めたリュックがそこには置いてあった。
「オレは、大蛇丸のところへ行く」
サスケは、眠る夢之助にそっとささやいた。
「オレはやはり、復讐者だ」
低く、つぶやき。
「お前は……うちは一族として……立派な木ノ葉の忍になれ」
夢之助の頭を、そっとなでる。
「木ノ葉の仲間と……幸せな未来をつかめ」
悲しさと、愛おしさと、さみしさと、思い出と、絶望と……全てをにじませた瞳で。
「ナルトや……サクラや……木ノ葉の仲間と……。平和で……楽しくて……血みどろの一族という過去や復讐なんて、何も背負わなくてもいい……。そんな……幸せな……未来。オレの夢……全部お前に……くれてやる……」
サスケはリュックを背負い、家を出た。
ナルト『次回は……サスケ……本当に行っちまうのか?』
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