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桜上水 Sakurajosui Confidential 桜上水
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2006.12.03 楽天プロフィール Add to Google XML

第六章 団地・集合住宅
[ 桜上水小史 北沢用水上流域の地史 ]    

東経堂団地、経堂赤堤通団地

昭和30年代、それまでの水田に、突然、大型工作機械が入り込み、近隣の道路にトラックが溢れる。東経堂団地(住所は上北沢1丁目なのだが、東経堂団地と名づけられた。船橋の西経堂団地も同時期の建設)の建設は、当時、桜上水最大のプロジェクト。
日本住宅公団(当時)は、高度成長時代とともに急速に高まる都市圏住宅需要に対応するべく、次々と巨大集合住宅プロジェクトを推進する。中でも、東経堂は、新宿まで小田急線で15分、準急停車の始発駅。渋谷駅、東京駅まで直通バスが走る経堂に、13棟の鉄筋コンクリート4階建ての賃貸住宅と垂涎の好立地。ようやく2階建てが住宅の標準になりつつある時期には目を剥くアイボリーホワイトの高層建築。ベランダがついて雨でも洗濯物が干せ、玄関ドアは鉄扉、トイレが水洗、風呂と台所は東京ガスが建物へ配管してくれている。敷地内にブランコ、砂場、ジャングルジムなどを持つ小公園をいくつか配し、棟間距離も十分。新しい生活様式の到来を告げる住宅公団最新式の団地である。人々はこぞって入居者募集に応募し、当たる確率は10にひとつもなかったとか。
顧みれば、窓は小さく和洋折衷の部屋は暗く狭い。天井も低かった。よく見れば床にたわみもある。だが、戦後社会は若く、新しく、力があった。何よりも未来は無限の可能性を秘め、人々は自分たちが先駆者として、そこに住むことを誇りに思った。
今、その建物は建て替えられ、より、広く、明るく、便利な「経堂赤堤通り団地」に進化した。
そして、今、建て替えられ、名前が変わっても、東経堂団地完成以来、その環境を愛し、半世紀を住み続ける方がいらっしゃる。

三井牧場、桜上水団地
image060.jpg
半世紀前でも、あたりに牧場などなかったその時期まで、京王線急行停車駅徒歩5分(いったん北口を回らないと当時は南側へはこられなかった)のところに、牧場が存在していた。それが、大正3(1914)年に出来た三井牧場。
かの三井グループのオーナー「三井」一族へ供給する牛乳の生産が始まりとあるが、戦後は、高温殺菌処理をしない「三井牛乳」が、そこで手に入った。三井牛乳ブランドは、三井牧場閉鎖後、三井農林、最後は森永乳業へと受け継がれたと、何年か前にどこかで読んだが、遠い昔の話。
牧場が閉鎖され、しばらくの間、子供達は、広大な敷地を縦横無人に駆け回り、遊び暮らした。
昭和30年代後期、この三井牧場跡地も、日本住宅公団の団地となった。敷地面積4万平米。4階建て(一部5階建て)17棟404戸、駐車場完備(さすがに一戸一台ではない)の分譲住宅。
オリンピックを控え、住宅需要が量の確保から質的充実へ移行する先鞭となったこの桜上水団地は、規模、立地、環境整備どの点をとっても、当時最高水準を行く。
年を経て、建物設備こそ古くなったが、鬱蒼たる樹木の緑の広さは、勝利八幡神社、密蔵院をしのぎ、桜上水町内にこれだけのものをもはや見ることはない。人間住むならば周りにはこれほどの緑を、と訪れる者を圧倒する。早春の梅に始まり、桜もソメイヨシノからしだれ桜、そして八重へ、さらに、つつじと移り、夏の木陰は涼しく、秋の落葉も風情がある。
容積率200%に対し、一戸あたりの敷地面積35坪は、他プロジェクトの追随を許さない(最大許容容積率の消化が可能ならば、404戸に対し一戸あたり200平米を越える床面積が確保される)。
どのように建て替えるのか、桜上水の将来に大きく影響するプロジェクトだが、分譲ということもあり、多数の権利者間の意見統一がままならない。
景観の確保、権利者利益の追求、駅前至便立地の有効活用、果ては、行政からも都市計画(桜上水三・四丁目中部地区計画、補助133号線計画)など、盛りだくさんの要望。あれもこれも、では、つまらぬものにならねば良いが….
桜上水が目下直面する地域内最大の計画課題である。

都営上北沢アパート
上北沢と名前がつくが、これは、完成時の所在地住居表示が上北沢1丁目であったため。
桜上水町内が第一、上北沢町内が第二で、ともに、北沢川の河床に開発された。
桜上水まで徒歩10分以内の至便な都営アパートで、人気が高い。都営団地という性格と、住宅の量的供給が優先された最後の時期のプロジェクトであるため、長らく居住区画に風呂が無い状態が続いたが、それも、既存建物を人の住んだまま増築するという荒業で、住環境を抜本的に改善した。
桜上水団地、東経堂団地(経堂赤堤通り団地)が、お高く止まった雰囲気を感じさせるのに対し、こちらは、下町の風情がある。隣接の桜上水公園は、ご老人が男女ご一緒にゲートボールを楽しんでいる光景が町内で唯一見られる場所だ。富士見湯がなくなり、地域交流の場が一つ失われたが、本来街というものは、こういうざっくばらんな雰囲気があるべきものと、筆者などは思う。友人にも、この団地の出身者は、口はうるさくとも、他人思いで、しっかり者の努力家が多い。
街は人間関係により成立する。だから、街の雰囲気、あり方は人間性の形成に大いに影響する。その意味でも、桜上水には、外ばかり見ていないで、地元をしっかり支える人を育てる、若い人も交えての地域交流の場が欲しい(それも区営のおしきせではなく、計画的に自然発生させるような)。要は人間関係、いきなりは出来上がらない。
桜上水町内には、もう一つ、都営桜上水団地が三丁目、経堂赤堤通り団地に隣接してある。(一棟が離れた日大の裏にあって、建物についた10の番号は何だろうと長らく思っていた)
こちらは、2階建ての庭付きで、こぶりな庭にそれぞれ個性があって、なかなか良い雰囲気だったのが、(お住まいの方々にはこんなことを言って申し訳ない)建て替えられ、かつての雰囲気が失われてしまった。
都営上北沢(第二)アパートは、最近取り壊され全面改築に入った。古いままでは何かと不便で、かつ、時節柄、地震、防災面でも危険な部分があるのだろう。建物が新しくなることは、決して悪いことではないけれど、風情とか人間関係とかは、そのままというわけにもいかない。都営上北沢(第一)アパートも、建て替えが課題になる時期に入っているのかもしれない。
良いところばかりでは、当然に無いはずだし、よそから見るのと、中で住むのは違うだろう。だが、自分の住む場所は、社会との関わりの第一歩であり、そこのコミュニケーションの良い部分は、是非、残して欲しいのだ。

今は、桜上水町内で、ある程度大きな土地区画(300-500坪)が売りに出されると、まず殆どはマンションが建設される。
7-80平米で数千万円。重い負担である。
終の棲家とお考えの方も多かろう。
お仕事で忙しい今はともかく、将来、多少のゆとりをお持ちになられたら、そして、引き続き、桜上水にお住みに、或いは、ここに生活の糧をお求めになろうとお考えならば、この街がご自分にとって、もっと魅力のあるものになっていくために、何が必要か、ご自分はそのために何かおやりになることが出来るか、是非考えていただきたい。

もともとが、雑木林と川筋から始まった桜上水。住む人の情熱と努力が欠けると、それこそ何も役に立たないものだけしか残らない。
区役所だけに任せず、われわれ自身の頭と身体で動き、考えていかずばなるまい。





Last updated  2006.12.03 13:49:00
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