昔話は生き方のモデル
昔の物語には、子供や小男が、知恵や機転を使って、巨人を倒したり、竜をやっつけたり、敵を味方に変える話が多い。自分が小さいからだろうか、子どもたちは、こういう物語によって、「自信」をえるらしい。いや、子どもたちだけではない。人間ならだれでも、自分の道をはばむ「鬼」や「巨人」や「魔法使いが出る森」を持っている。昔話は、それらに必ず打ち勝てるのだという励ましを送ってくれているようだ。しかも理屈ではなく、心の奥底にしみとおる「お話」のかたちで!昔話は、もともと子どもだけのものではなく、大人も一緒に耳を傾け、楽しんだのである。白雪姫も、いじわるな魔女も、シンデレラも、赤ずきんちゃんも、狼も、山姥も、鬼子母神も、三年寝太郎も、自分の心の深層に生きている。昔話は鏡である。映っているのは自分自身である。自分の中に鬼も仏もあるのだから、昔話で「鬼退治」を体験すれば、それは自分の「心の中の鬼」を退治する練習をしているのである。