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テーマ:ミステリはお好き?(1446)
カテゴリ:感想
第3回本格ミステリ大賞を受賞した『GOTH リストカット事件』。文庫化にあたって『GOTH 夜の章』『GOTH 僕の章』の2冊に分冊されました。しかしこの薄さ、分冊する必要があったのでしょうか。
「僕」のクラスメイト森野夜は人を寄せ付けない何かを持った浮いた存在。「僕」とは話をするが似たようでちょっと興味を持つものが違う。森野が興味を持つのは猟奇的な殺人犯、「僕」が興味を持つのは人が死んだ場所・・・ある日、森野が手帳を拾ってきた。そこに書かれていたのは、連続殺人犯の日記だった(「暗黒系」)。 アンソロジーに収録されていた短編(「この子の絵は未完成」(『七つの黒い夢』所収)、「SEVEN ROOMS」(『殺人鬼の放課後』所収))以外では、これが初乙一。これがいわゆる黒乙一なのですね。 作者がミステリ的なしかけにこだわったと言うだけに、以前読んだ短編とは異なるミステリとしての楽しさがあります。ただ、「SEVEN ROOMS」のときにも思ったのですが、こういった猟奇的な描写は苦手なんです。だから、読み進めていくのに少々苦痛を伴ったのが正直なところです。 主人公である僕と森野の二人は、事件を察知すると興味本位でその真犯人に接触して、少しの間引っ掻き回して、さっと手を引く感じ。事件を解決しようと犯人を追及する名探偵たちとは明らかに異なります。推理をせずに小市民でありたいと願う小鳩くんや小佐内さんとは正反対のスタンスです。これはこれで今まで読んだことがないのでおもしろいのですが。 気に入ったのは「犬」「記憶」といったあたり。ただ、ミステリ的にはトリックのバリエーションに幅が感じられなかったのが残念。 今度は白乙一を読んでみたいと思います。 収録作:『GOTH 夜の章』・・・「暗黒系」「犬」「記憶」、『GOTH 僕の章』・・・「リストカット事件」「土」「声」 2006年9月22日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.25 14:46:35
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