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Neko月@ Re:野村美月 『“文学少女”と死にたがりの道化』(06/14) 深い。 面白い。 はまる。 読む。 サ…
shiba_moto@ Re[1]:土橋真二郎 『ツァラトゥストラへの階段3』(09/12) しばたさんへ コメントありがとうござい…

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2006.11.14
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カテゴリ:感想
 第13回鮎川哲也賞受賞作。いなくなった猫や消えてしまった手紙の謎を追う「第一部 上にさぶらふ御猫」、源氏物語の一帖であった『かかやく日の宮』が失われた謎を解く「第二部 かかやく日の宮」、『雲隠』に本文が存在せず題だけが残された真相と、全体のエピローグ的な色合いの濃い「第三部 雲隠」の三部で構成される歴史ミステリ。

 「いづれの御時にか~」からはじまる源氏物語。残念なことに僕は国語の授業でしか読んだことがありません。だからあまりにも一般的なことしか知らないし、故にこの物語も十分には理解できなかったかもしれません。
 でもおもしろかった。森谷さんの作品はこの歴史ミステリ『千年の黙 異本源氏物語』のあと現代物の『れんげ野原のまんなかで』、そして再び歴史物の『七姫幻想』へと続きます。僕は最初に読んだ『れんげ野原のまんなかで』がよかったので、もっと現代物を書いてほしいと思ったのですが、読んでみると正直なところ歴史物のほうがよかったです。もっと早く読めばよかった。

 中心になるのは内容的にも分量的にも明らかに第二部。小侍従の言葉から『かかやく日の宮』が損なわれた源氏物語が流布していることを知った紫式部と小少将が安楽椅子探偵とその助手として物語を旧に復そうと試みます。推理も素晴らしいのですが、中宮彰子や左大臣藤原道長、清少納言まで登場する雅な王朝物語の読み応えがあっておもしろかったです。登場人物たちもいきいきとしていて、楽しませてくれます。
 また、第三部で扱われる『雲隠』の本文がないという謎。この謎を読者にとって周知の事実として扱い、謎として提示せずに真相のみを提示するという歴史ミステリならではの手法と、その真相(もちろん歴史上の「真相」ではなく作品中の「真相」)に驚きです。

 源氏物語を知っている人はもとより、知らない人でも楽しめる歴史王朝ミステリ。やわらかくかつ繊細、そして現代風に読みやすく描かれた傑作です。オススメ。
2006年11月14日読了






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Last updated  2006.11.16 13:32:00
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