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カテゴリ:感想
糺ノ森に住む下鴨家は狸である。狸の頭領・偽右衛門だった父の死後、その威光が薄れゆく中で偽右衛門の座を争う長兄矢一郎と叔父夷川早雲。「阿呆であることがすべて」な矢三郎は、往年の力を失った師匠・天狗の赤玉先生や半天狗の弁天に翻弄される日々。おまけに狸鍋を食さんとする金曜倶楽部の魔の手が迫る。果たして、金曜倶楽部から逃げ切れるのか。そして、夷川一族との対決の行方や如何に・・・
モリミーワールド全開のファンタジックタヌキストーリー。 読み出した当初はこの物語の設定にひどく違和感を覚え、なかなか読み進めにくく感じました。それは、今まで読んできた森見作品があくまで人間を主人公にした阿呆な物語であったのに比べ、『有頂天家族』が狸を擬人化にしたようなファンタジーであったことを受け入れがたかったのでしょう。もともとあまりファンタジー寄りの物語は読まないので。 まあ、読み慣れてくれば作者の思うツボ。狸に化かされたようなおもしろさでした。 毎度毎度の「クタバレ!」「おまえらひとり残らず身の程を知れ!」 なんてセリフもさることながら、狸に天狗そして人間が入り混じった乱痴気騒ぎのおもしろさが最高。達磨のような小さいものだけでなく、偽蕎麦屋や偽叡山電車なんてものにまで化けてハチャメチャな展開なのです。『夜は短し歩けよ乙女』の時にも思ったのですが、やはり『うる星やつら』のような物語が好きな方なら十分に楽しめることでしょう。 また、かわいらしい毛玉たちが何匹も出てきますが、中でも矢三郎の元許婚・海星のツンデレ(?)ぶりは随一のかわいらしさ。 人間が主人公でない分、今までの作品よりも一般受けするかもしれませんね。早くも第二部が楽しみ。 とにかく「面白きことは良きことなり!」という言葉で、この阿呆な文章も終わりにします。 2007年11月22日読了
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Last updated
2007.11.24 21:14:34
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