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日本にたまたま帰って来た友人が「久しぶりに会いませんか」と連絡をくれた。私よりもスケジュールが立て込んでいる人なのに、短い滞在期間で複数の候補日を言ってきたので、何か彼にとって重たい相談事があるのではないかと思った。
約束した後で私の体調が悪化し、会う予定の時間の1時間前、私は病院にいたが、治療はまだはじまっていなかった。約束があるから治療はキャンセルして欲しい、友人に会った後で改めて後日に予約を入れますから、と先生に言うと、「(約束を)キャンセルしてこっちの治療に専念しなさい!」と一喝されてしまった。 でも、自分がどうなってもいいから、友人の役に立ちたかった。だから「今日会う時間、可能だったらかなり遅くにできないかしら。あなたの家の傍の駅前まで行くから」と告げて、時間をやりくりしてもらった。先生には「(約束は)キャンセルできました」と噓をついた。 診療と治療と検査に何時間かかるかわからないけれど、治らなかったときや、思惑よりももっと時間がかかって、向こうがおかしいなと思う時間になってしまったら、連絡をとろうと思った。 結局、「たぶんこれくらいの時間になる」と友人に言った時間から1時間以上後になって、約束を果たすことができた。 遅い時間に入っていたので、バーしかない。正直、酒を呑む体調には程遠かったので、お酒1杯をゆっくり呑んで、時間を過ごそうと思った。 バーに入る。友人は珍しく元気がなかった。いつもだったらもっとにじみ出る自信というか、前向きさや賢さみたいなものがあるのに。 本題に入る前にマーケットについて、私たちはそこそこ長い時間をかけて話していた。 11月9日は大統領選でトランプが勝利確定となった日だが、この日は日経平均が1000円近く下げた。それでも翌日はもっと下げることを見越して、友人のヘッジファンドもさらに売りを仕掛けたのだが、翌日の日経平均はすぐ値を戻す「行ってこい」だった。そのため、結構やられたそうだ。 トランプで円高になると予想していたのに円安となり、三菱東京UFJがなぜ30%近く上がったのか、理解できない、と彼は言った。私は三菱東京UFJのポジションをそこそこ持っていたのだが、それには触れなかった。たぶん友人はショートして踏まれたのではないかと思ったからだ。 傷ついている友人に正論を言っても仕方ない。自分がこれだと思った株を悪く言われても、気にしなければいい。気になるときには自分の心にしまっておけばいい。 身体がふらつく。左手が改善しても、まだ全体的には整っていない。でも、まだ友人の本題には入っていない。だから、頑張らなきゃ。 そう思った。 「12月のFRBの利上げ後、日本株はバブルになると思うんだよね」 「私もその方向性だと思う。ただ、相場の最初と最後は金融株が騰がるけれど、今回はベタな株しか騰がっておらず、セクターで見るとまだらになっている。これを入り口と定義づけていいかどうかはまだもう少し時間がかかる気がする」と、答える。 そしてトランプの政策はレーガノミクスに似ていると報道されているが、レーガン時代と原油の高安が真反対なことを指摘したうえで、大統領補佐官のマイケル・フリンその他、ホワイトハウスの主要メンバーの動きについての懸念事項など、思うところを話した。円安にもかかわらず、トヨタ自動車の株価が軟調なこと、日経平均構成銘柄のファーストリテイリングが(三菱東京UFJに比べて)思ったように騰がっていないことがなぜなのか。そこから考えうることについても、ざっくばらんに意見交換した。 店内にはキース・ジャレットのピアノのBGMが優しく流れている。慢性疲労症候群にかかった後、最初に行われたキースのコンサートの録音だ。 静謐という言葉がぴったりのメロディ。今夜はいつもより心に染みわたるのは、私の体調も影響しているのだろう。 そしてようやく、友人の相談事がはじまった。 長くてしんどい1日だと思ったけれど、友人の役に立てることが本当に嬉しかった。 <お酒メモ> 12月1日木曜日 神泉 純米大吟醸原酒 1合半 寒梅 純米大吟醸 半合 黒龍 しずく ひとくち 赤ワイン 赤 グラスで3つ アルゼンチンワイン 白 グラスで1つ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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