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大明风华 Ming Dynasty 第44話「9歳の皇帝」 朱瞻基(シュセンキ)の死後、帝位後継者を決める六部九卿(リクブキュウケイ)の協議が始まった。 しかし大臣たちは皇太子・朱祁鎮(シュキチン)が未だ口も利けず、ただ大殿の床を這いつくばっている様子を見て頭を抱えてしまう。 皇太后・孫若微(ソンジャクビ)は苛立ちを隠せず、息子は正統な後継者だと訴えた。 「最後の瞬間までこの子の継承者の地位は奪わせないわ!」 ただの馬鹿を?>( ´ д)ヒソ(´ д`)ヒソ(д` )<そうですな… 「何ですって?」 若微は朝臣たちの心無い言葉に激怒、すると楊士奇(ヨウシキ)が今は冷静になり、何かあれば後日、話し合おうとなだめた。 しかし若微は話し合いなど必要ないという。 「この子が本当に馬鹿であったら先帝に申し訳が立たない、そうなれば私を殉葬してもらう… もし私が前世で罪を犯したせいでお前が嘲笑されるのなら、喜んで死ぬわ」 若微は悔しさのあまり床に寝転んでいる祁鎮へ涙ながらに懇願した。 「立ちなさい!立つのよ!…自分の脚で立って!お願いだから…」 大殿に若微の悲痛な叫び声が響いた。 しかし朱祁鎮はただ床を這うばかり、失望した若微は思わず床に顔を埋めて泣き出してしまう。 その時だった。 母の泣き声を聞いた祁鎮が立ち上がり、ゆっくりと歩き始める。 胡善祥(コゼンショウ)は驚いて身を乗り出し、朝臣たちは自然と道を開けた。 すると祁鎮は大殿を出て小さな足で長い石段を1つずつ降りて行く。 その後ろを若微と朝臣たちが続いた。 やがて広場に出た祁鎮は嬉しそうに走り周り、驚いたことに皇帝だけが通れる″龍陛(リュウヘイ)″を登り始めると、中段にある龍の背にまたがって大きく叫ぶ。 「しゃーっ(殺)!」 こうして祁陳は自ら皇位継承者であると示し、朝臣たちは一斉に拝跪した。 正統(セイトウ)帝・朱祁鎮の世となった。 若微は朱瞻基(シュセンキ)との約束通り幼い息子を補佐し、政務に追われる忙しい日々を送ることになる。 そんなある夜、皇太后の寝支度を手伝っていた側仕えの太監・金英(キンエイ)は自分の姪・双喜(ソウキ)を紹介した。 双喜は宮仕えして2年、尚儀(ショウギ)局で儀仗(ギジョウ)と礼儀を学び、ひと月ほどまえに御前に上がったという。 「2年ねえ~ふん」 若微は金英を意味ありげに一瞥し、何も言わず寝所へ行ってしまう。 そこで双喜は慌てて寝台の上を片付けようとしたが、皇太后から触るなと叱られた。 「これらは今日中に目を通す奏状よ」 双喜は皇太后の側で大人しく控えていた。 やがて皇太后が奏状を読みながら目をしばしばさせるのをみると、思わず自分が代筆すると声をかけてしまう。 双喜は差し出がましいこと言ったと気づいて慌ててひざまずいたが、若微は代筆を頼むと言った。 若微は双喜と交代し、別の椅子に腰掛けた。 「表題を読んで」 「″山東(サントウ)の災害救済金涜職(トクショク)の件″…涜職?(あ…)」 「汚職のことよ…はあ~…記して」 若微は淀みなく裁定し、双喜は付いて行くのに必死だった。 「次の奏上を」 「″太后の垂簾(スイレン)に対する尊号の件″…」 「バン!」 ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ 双喜はなぜ皇太后が憤慨して卓を叩いたのか分からなかったが、慌てて筆を走らせた。 「″君主が若いゆえ国は不穏である、先帝の遺命に従い、私が社稷(シャショク)を監理し、政を行うが、 皇上の婚儀の日に政権を返還する、天地の神に誓って… もし邪心ある者が私に尊号を与えれば事実上、女帝となってしまう そうなれば私は先帝に合わせる顔がない、自分自身にも申し訳が立たぬ 今後、再び尊号を与えようと進言する者は反逆者と見なす″」 双喜が脇目も振らず記していると、急に皇太后が奏状を取り上げた。 「いい字を書くわ、書の名手の字をしっかり学んだのね?」 「(^ꇴ^)恐れ入ります、太后」 「私の返信は?」 「完璧です!」 若微は満足げに椅子に戻ろうとしたが、双喜が聞きたいことがあると言った。 本来、御前で問うことは禁忌だが、若微は特別に許すという。 「ありがとうございます、太后…″尊号の進言″とはどういうことですか?」 「…名前の頭に肩書きを加えよということ、つまり女帝になれということよ 私には息子がいるのにっ、ふざけてる!」 すると若微は急に何かを蹴る振りをした。 「今、私は何をしたと?」 「太后にお答えします、太后は上奏した者のお尻を蹴ったのでは?」 「あははは~ええ、その通り」 若微は椅子に座ると、残りの奏状を片付けることにした。 しかしさすがに双喜も疲れたのか、やがて筆を走らせているうち、うっかり居眠りしてしまう。 そこで若微は双喜の手から筆を取り上げ、顔にいたずら書きをしてから起こした。 「お化けが出た~っ!」 「キャアーーーッ!」 母が奮闘する一方、肝心の朱祁鎮と言えば、わがまま放題で横暴な皇帝となっていた。 ある時、若微は花園で大騒ぎしている祁鎮を見つけ、激怒する。 祁鎮は小宦官たちを従え、太監に水をかけて笑い者にしていた。 「なぜ水をかけたの?」 「遊びです」 「これが″遊び″だと?…立派な″いじめ″よ?太監もお前と同じ人間なの 懸命に宮仕えをして銭を稼いでためて、故郷の両親や家族を養っている…でもお前は違う」 すると若微は太監たちを解散させ、罰として祁鎮に面壁(メンペキ)を命じた。 双喜は皇帝がまだ子供だとかばったが、若微は礼儀をわきまえさせるという。 面白くない祁鎮は寝殿に戻る母の後ろ姿を見ながら、思わず何様だと減らず口を叩いた。 しかし朱祁鎮には慈寧宮という逃げ場がある。 母に叱られた時は決まって祖母を訪ね、ひとしきり母の愚痴をこぼした。 ある日、宮中の林で妃や子供たちが一堂に会し、茶会が開かれた。(←知らんけどw 若微は錦衣衛を相手に弓術を競って楽しんでいたが、その時、騒ぎが起こる。 自慢の凧を持って走り回っていた朱祁鎮、やがて疲れて芝生に倒れ込んだ。 一緒に走っていた朱祁鈺(シュキギョク)や小宦官たちもそこで小休止したが、その時、祁鈺がうっかり凧の上に座ってしまう。 わざとではなかったが祁鎮は激怒、祁鈺に手を出そうとするも、自分より小さい祁鈺にあっさり逆襲されてしまう。 そこで腹いせに小宦官たちに祁鈺を殴れと命じた。 すばしこい祁鈺はさっさと逃げ出したが、やがて疲れて転倒、その上に次々と小宦官たちが飛び乗る。 祁鎮は大喜びで一番上に乗ると、祁鈺は耐え切れず泣き出した。 若微が祁鈺の泣き叫ぶ声に気づいた。 すると祁鎮が大笑いで宦官たちをあおり、祁玉をいじめている。 驚いた若微は駆けつけるなり祁鎮の首根っ子をつかむと、いきなり張り手を食らわせた。 「太妃は?!」 胡善祥(コゼンショウ)は悠々と歩いて現れたが、若微に反発するかのように祁鈺の顔を引っ叩いてしまう。 若微は胡善祥の寝宮を訪ねた。 「不愉快なら私を罵るか叩いてちょうだい…ただの喧嘩よ?なぜ祁鈺を叩いたの?」 「息子へのしつけです、今は喧嘩で済まされても、大人になり皇上への礼を欠けば首が飛びます しつけなかったことをその時、後悔しても遅いのです」 胡善祥の態度はよそよそしかった。 「はお、私も兄弟は大切にしろと祁鎮に言い聞かせる 2人は皇帝と大将軍として共に国を守り、妻を娶り、天下を治めるのだとね、これでいい?」 「皇上のことも太后のことも祁鈺は決して恨みません」 すると胡善祥の大きな瞳から涙がこぼれ落ちた。 「それは私への当てつけの言葉なの?」 「我が子のことです…」 「祁鈺は何も知らないわ、口実にしないで!…手土産を持って来た 長白山の蜂蜜と遼寧の燕の巣よ、他にもいくつか品がある、皇上からよ」 若微は妹と心を通わせることができないまま、仕方なく帰ることにした。 「祁鈺に伝えて、″皇帝は龍ではない、過ちを犯せば仕置きを受ける″と…」 胡善祥は姉が帰ると、外で遊んでいた祁鈺を叱った。 「お前は悔しくないの?!」 「えへへ~♪」 朱祁鎮は反省するどころか、祖母の元で甘やかされていた。 おやつを食べて子犬と遊び、すっかり機嫌が直った祁鎮、しかしそこへ母がやって来る。 若微は祁鎮に手を洗って来るよう命じて追い出すと、太皇太后に挨拶した。 「皇上は今夜、ここで寝るわ…叩かれて心を痛めてる」 「事情があるのです、甘やかさぬよう」 若微は先帝の代わりにしつけていると訴え、夜は皇帝の寝殿で休ませると言った。 すると張妍(チョウケン)は皮肉で返し、出て行ってしまう。 「先帝は私が育てた、問題があった?」 若微は慈寧宮からの帰り道、息子の手を引いて宮道を歩いた。 「あまりお祖母様の宮殿に行かないで、いい子にしていてね 自分がされて嫌なことはしないで、相手の身になって考えなさい 政権を得たら両親や兄弟に対する愛をもって天下に接するのよ?そうすれば民の支持を得られる 皇帝は自分勝手に振る舞っては駄目、弟だけでなく相手が一介の民でも絶対に駄目よ?」 すると若微は祁鎮の顔を心配そうに確認した。 「痛かった?」 2人は顔を見合わせると一緒に吹き出し、すぐに仲直りした。 英宗朱祁鎮は9歳で即位した。 朝議では太皇太后と皇太后が補佐したが、相変わらず朱祁鎮は落ち着きがなく、お気に入りの小宦官・王振(オウシン)をからかってばかりで身が入らない。 若微は皇帝らしくするよう何度も叱ったが、張妍はまだ子供だとなだめた。 すると楊士奇(ヨウシキ)から靖辺(セイヘン)に関する奏状に目を通してくれたかと上奏がある。 実は先帝の崩御後、アルクタイの残党が不穏な動きを見せていた。 急を要するため大同の守備軍の将軍・陳文栄(チンブンエイ)が謁見、ここ数十年の戦でアルクタイは大敗、ウリヤンハイ三衛も再起不能となったが、オイラトではマハムードの孫が英雄視されているという。 「マハムードの死後、息子も戦死し、孫のエセンが台頭しています アルクタイとウリヤンハイの将兵を取り込み、別の部族とも通じて勢力が増大しています」 若微は太皇太后にオイラトのエセンが先帝の崩御から略奪を繰り返しており、大明は駆逐したいが命令がないのできないと説明した。 張妍はなぜ命令を出せないのか聞き返すと、若微は太宗皇帝が交易について″戦をしてはならない″という規則を作ったと教える。 その時、大殿にぷう~っと音が鳴り響いた。 「屁をこいた!」 すっかり朝議に飽きていた祁鎮だったが腹を抱えて大笑い、張妍は憤慨して放屁した陳文栄に奏状を投げつける。 しかし若微だけは寒い中、馬を駆けて来た将軍をねぎらい、暖かい食事を用意するよう命じた。 すると張妍は将軍の無礼を咎めない若微に反発し、呆れて帰ってしまう。 (⌒-⌒; )<太皇太后は体調がすぐれないの…陳将軍、続けなさい つづく ( ゚д゚)おおお?!何だか杞憂に終わったか?面白かった!w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.10.18 19:38:24
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