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2021.04.02
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梦回 dreaming back to the qing dynasty
第32話「密通の醜聞」

茗薇(メイビ)の献身的な介抱のおかげで、十三皇子は後遺症が残るものの、すっかり元気になった。
そんなある日、皇帝が自分の見舞いに行きたくても皇宮を離れられないと聞いた十三皇子は、父を安心させるため参内すると決める。
こうして2人だけの穏やかな生活が終わり、十三皇子と茗薇は再び陰謀渦巻く紫禁城へ舞い戻ることになった。

十三皇子と茗薇が参内すると、早速、皇子たちが揃って出迎えた。
杖をついているとは言え1人で歩いてくる十三皇子、八皇子たちは目を丸くし、その回復ぶりに言葉を失う。
すると茗蕙(メイケイ)が無神経にも足は元通りになったのかと聞いた。
茗薇は今は羽を伸ばしているが、悪巧みに巻き込まれないので気楽だとチクリ。
「どうぞご心配なく」
十三皇子と茗薇は微笑み合い、皆に2人の絆が強いところを見せつけた。

康熙(コウキ)帝は十三皇子と城楼を歩いた。
十三皇子の元気な様子に安堵した皇帝は、いずれ全快すれば再び活躍できると喜ぶ。
皇帝は実は老いを実感していると吐露し、紫禁城を眺めながら永遠に大清の安泰が続くことを願った。
「この天下を朕の子や孫に受け継いでもらいたい…」
十三皇子は父の治世がまだまだ続くと励ましたが、皇帝はそれが叶わないと分かっていた。

十四皇子の出征の日が近づいていた。
徳(トク)妃は十四皇子に戦果を上げるよう励まし、皇子同士の争いに巻き込まれないよう釘を刺す。
今回の遠征は皇帝からの下命、手柄を立てて凱旋しさえすれば、おのずと天子の位は十四皇子のものになるだろう。
十四皇子はこの遠征が父から課された試練だと気づき、必ず期待に応えてみせると誓った。

十四皇子は茗薇の留守を狙って十三皇子を見舞った。
そこで間もなくジュンガルを討つため出征すると報告する。
「早く治して共に戦場に赴き、敵を殲滅しよう」←よく言うわ( ̄▽ ̄;)
十三皇子は恨み言も言わず、天下を担う重職に就いた十四弟を励まし、戦場に出たらひるむなと助言した。
「安心して待っていろ、敵を一掃して戻ると約束する」
2人はがっちり手を組み、権力争いを離れて共に大清の勝利を願った。

一方、朝廷では戦の長期化で国庫がひっ迫していた。
戸部尚書は各地から税を徴収しても官吏が多く、俸禄だけで使い果たしてしまうと上奏する。
実は名ばかりの官職が増え過ぎたことで国庫を圧迫していたのだ。
そこで皇帝は問題が表面化したこの機会に膿を出し切ると決める。
しかし八皇子たちは何かと理由をつけて辞退、結局、四皇子が再び名乗りをあげた。

早速、官吏の粛正に着手した四皇子、するとある官吏を連行しようとした時、まだ幼い娘が涙ながらに嘆願した。
「王爺(ワンイェ)!爹(ディエ)は毎月、数両の俸禄で家族を養っています
 汚職官吏は互いに罪を隠し合っているのに、爹のような清廉な官吏が免職されるなんて!」
そこで潔白なら公正な処断を下すと英断、四皇子は群衆から称賛されたが、屋敷に戻ると頭を抱えた。

官吏の削減が始まると、汚職役人たちは結託して私欲のない官吏を陥れ始めた。
とは言え古(イニシエ)より忠臣と奸臣を見分けるのは難しいもの、すると行き詰まった四皇子のもとに十三皇子が訪ねてくる。
十三皇子は四兄がひとりで汚職官吏を見つけ出して免職し、わずか数日で官界を改革するなど無理だと言った。
「官吏の善悪は当地の民が知っています、そこで民に役人を推挙させるのです」
汚職が横行する地域で民に支持された官吏には俸禄を減らさず褒賞を与え、逆に汚職官吏には厳罰を与えて戒めとすればいいという。
「なるほど、民意を使うのか」←え?なるほどなのか?( ̄▽ ̄;)

乾納蘭(ノーラン)貴妃が乾清(ケンセイ)宮を訪ねると、皇帝が上機嫌だった。
恐らく官界の改革が成功し、国庫が潤ったからだろう。
すると皇帝は四皇子が悩みを解決してくれたと喜んだ。
「軍師を得て幸運だったとも言えるな〜」
「軍師?」
「朕が遣わしてやった、皇位に就かずとも大局を左右する男だ
 あやつが背後で策を巡らしさえすれば、どんな困難も乗り越えられよう」

四皇子は改革成功を祝って十三弟夫婦を食事に招いた。
十三皇子と茗薇は四福晋の手料理に舌鼓を打ち、相変わらず痴話げんかしながらも仲睦まじい。
四福晋はそんな弟夫婦に目を細めたが、四皇子のやるせない気持ちを思うと胸が痛んだ。

茗蕙は出征する十四皇子を見送りに出た。
すると十四皇子は茗蕙の額に口づけし、馬にまたがる。
「戻りを待て」
茗蕙は無事を祈りながら、愛しい十四皇子の背中をいつまでも見ていた。

茗蕙は納蘭貴妃のご機嫌伺いに立ち寄った。
すると貴妃は四皇子と十三皇子が官界の改革で見事な成果を上げた今、出征した十四皇子はむしろ不利になると警告する。
茗蕙は所詮一時の栄光だと問題にしなかったが、貴妃は長く仕えて来たからこそ皇帝の心が分かると言った。
「2人が力を合わせれば十四阿哥に勝る、どうやら皇上のお気持ちが固まる日も近そうよ?」
しかし茗蕙は皇位に着くのは十四皇子だと断言した。
「邪魔をする者はどんな手を使ってでも排除します」

四皇子の書斎に側福晋の年(ネン)氏が差し入れを持って来た。
「置いておけ」
「…顔も見てくださらないなんて、毎日、何をそんなに…」
年氏は手持ち無沙汰で軸物を手に取って広げたが、驚いたことにそれは茗薇の肖像画だった。
「触るな!」
激怒した四皇子は年氏に2度と書斎に入るなと命じ、追い出してしまう。

年氏は気晴らしに宮中へ出かけた。
すると偶然、庭園で十四福晋と出くわす。
年氏は茗蕙が茗薇の姉だと思い出し、恥知らずな妹を持つと大変だろうと嫌みを言った。

そこで茗蕙は四皇子と茗薇の間に何かあったのかと揺さぶりをかける。
年氏は2人の関係を知っていたのかと驚き、四皇子はまるで茗薇に取り憑かれたようだと嘆いた。
「姐姐、そんなことでずっとお悩みに?…ふっ、なぜお分かりにならないのですか?
 邪魔者がいたら除けばいいのです(ニヤリ」

十三皇子の診察を終えた陳(チン)太医は、実は右足を完治させる方法がひとつあると言った。
″接骨草(セッコツソウ)″というとても珍しい薬草があり、今のような冷え込む時期にだけ山林の奥深くで採れるという。
茗薇は絶対に見つけて十三皇子の足を治すと奮起、順児(ジュンジ)と山へ入った。

茗薇と順児は薬草を探しているうちにはぐれた。
無我夢中で探していた茗薇は林の奥へ迷い込んだが、ふと誰かにつけられていると気づく。
恐る恐る後退りする茗薇、その時、曲者が仕掛けた罠にかかり、木から吊り下げられてしまう。

順児は急いで屋敷に戻り、福晋が山で行方不明になったと知らせた。
ちょうど見舞いに来ていた四皇子は十三皇子の代わりに捜索に向かったが、なかなか見つからない。
その時、林の中を走って行く茗薇に似た娘を見つけ、後を追いかけた。
するとその娘が川に身を投げてしまう。
四皇子は慌てて飛び込み茗薇を探したが、結局、見つからなかった。

実はその頃、茗薇に成りすました娘は川を泳いで岸に上がっていた。
するとそこで茗蕙が待ち構えている。
「行って、このことは秘密よ?もし漏れたら…」
「分かっています」



日が暮れた頃、曲者は縄を切って茗薇を解放した。
茗薇は足をひきずりながら歩いていると、やがて山小屋で暖をとっている四皇子を見つける。
「四哥…」「小薇…」
( ゚д゚)<どうしてここに?>(・Д・)
川に潜った四皇子はびしょ濡れになった外衣を脱いで乾かしていた。
茗薇の話では突然、誰かに吊り上げられ、夜になったら縄が切れたという。
すると四皇子は大きなため息を漏らした。
「私は林の中でそなたに似た女子を見かけた…どうやら誰かが我々をここに誘き寄せたようだ…」
そこへちょうど茗薇を探していた順児と七香たちがやって来る。
「四爺、どうして…」
順児は思わず口を滑らせたが、確かに誰が見ても誤解を受けるような姿だった。

四皇子と茗薇の醜聞が宮中を賑わせた。
報告を聞いた徳妃はかんこう令を敷いていたが、人の口には戸が立てられない。
茗薇はなぜ自分と十三皇子の仲を引き裂こうとするのか、何が狙いなのか分からず悶々とした。
「気にするな、2人の絆で乗り越えれば良い」
十三皇子ははなから噂など信じていなかったが、茗薇はふと不安になった。
「…これはまだ始まりに過ぎないのかも」

年氏は四皇子と茗薇の噂に怒り心頭だった。
しかし福晋も妾室も冷静に振る舞い、本分を守っている。
これが余計に年氏を苛立たせた。
「情の薄い方だとは思っていたけど、まさか他の女子に思いを寄せていたなんて…」
年氏は四皇子の魚寧への態度が自分たちとは大違いだと不満を募らせ、思わず茶碗を投げつけた。
ガッシャーン!
その時、ちょうど運悪く四皇子がやって来る。
「何事だっ!」
年氏は噂を耳にして腹に据えかねたと訴え、真相を知りたいと頼んだ。
すると四皇子は福晋を睨みつけ、そのまま書斎へ行ってしまう。
茗薇への切ない思いを封印したはずの四皇子、しかしどうしても未練を捨てられずにいた。

茗薇は徳妃に呼ばれて長春(チョウシュン)宮を訪ねた。
すると先に来ていた茗蕙と顔を合わせる。
茗蕙はなぜ関わりのない自分まで呼ばれたのかと嫌みを言ったが、茗薇はいずれ誰が噂を広めたのか表沙汰になると牽制した。
「私は姐姐だから妹妹の潔白を信じているわ~でも誰もが分かってくれるとは限らないのよ~
 人の評判は瑠璃のようなもの、一度、壊れたら戻らないの」
「潔白な者は語らなくても潔白よ?」
「何が潔白よ!」
その声は年氏だった。
四福晋は長春宮で騒がないよう間に入ると、茗薇は必ず黒幕を見つけて潔白を証明すると訴える。
そこへ徳妃が現れた。

徳妃は噂の張本人である茗薇だけでなく、息子の福晋たちを呼んでいた。
すでに噂を広めた者に厳罰を与えたが、福晋たちにも言葉や行いには気をつけて欲しいという。
「私の言いたいことが分かるわね」

つづく


( ๑≧ꇴ≦)とばっちりを受ける四福晋が切ない





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最終更新日  2021.04.02 21:53:56
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