|
カテゴリ:夢華録 全40話
梦华录 A Dream of Splendor 第28話「すれ違い」 趙盼児(チョウパンアール)を困らせるため半遮面(ハンシャメン)に氷を売らないよう命じた池蟠(チハン)。 いずれパンRが頭を下げに来ると期待していたが、思いがけず顧千帆(コチェンファン)が皇城司司使に昇格したと知った。 実は内廷専用の氷室を司るのが皇城司、半遮面は氷に困っていないという。 「何ということだ!」 池蟠は激怒したが、その時、屋敷で見慣れぬ女を見つけた。 葛招娣(カツショウテイ)の母親は孫三娘(ソンサンニャン)に言われた通り、池蟠にパンRからの文を渡した。 「それをお読みになったら私に5貫くださると…」 しかし紙には何も書いていない。 池蟠はパンRにからかわれ激怒、女を打ち据えて外へ放り出した。 その夜、顧千帆が六部から戻ると、陳廉(チンレン)が割れた人形を片手に泣いていた。 「どうかしたのか?」 「いいえ…銭はパンR姐に渡して来ました あ、確か大理寺から地方での調べを任されていましたね? 私が行きます、今すぐに…離京できるなら何でも良い」 陳廉の気持ちが痛いほど分かる顧千帆は何も聞かず、肩を叩いて書斎へ向かった。 顧千帆は配下からパンRが門前で何かを探していたようだと聞いた。 恐らく黄色の花を探していたのだろう。 …君に合わせる顔がない、だが一目だけでも、後ろ姿だけでも良い、君に会いたい… 顧千帆はパンRへの想いが募り、深夜にこっそり桂花巷(ケイカコウ)を訪ねた。 そっと母屋の窓を開けると、稲光でパンRの寝顔が見える。 顧千帆は窓際の棚の上に3千貫の″大相国寺長生庫(ダイショウコクジチョウセイコ)券″を置いて帰ったが、折からの強風にあおられて手形が吹き飛んだ。 翌朝、パンRは顧千帆の手形に気づかず店に向かった。 三娘は招娣に母屋の片付けと換気をするよう頼み、結局、手形は床に散らばった書類の間に挟まれて棚の上に戻されてしまう。 そうとは知らず、顧千帆から3日間、何の音沙汰もないまま、パンRは5日以内に手付金を準備することができなかった。 パンRは先に手付金の完済を1日だけ延ばしてもらった。 そこで自ら皇城司に顧千帆を訪ねたが、孔午(コウゴ)から顧千帆は遼の使者のお供で狩りに出かけたと知る。 陳廉も調査で地方へ出かけて留守、パンRは仕方なく諦めることにした。 すると孔午は早馬を飛ばせば一両日中にパンRが来たことが顧千帆に伝わるという。 しかし手付金の期限までに到底、間に合わなかった。 追い詰められたパンRは茶坊の証文と書画を質入れすることにした。 三娘は唯一の財産を手放すことに反対したが、パンRは琵琶もない茶坊では先細るだけだという。 「身代をなげうって東京(トウケイ)に残ると決めた時も逃げ道はなかった 質入れは賭けだけど、商いに危機は付き物よ それに私は顧千帆を信じたいの…今回は何かあったに違いないわ 三娘、望月(ボウゲツ)楼の女将になりたくないの?」 「なりたい!30貫しかないけど仲間に入れる?!」 招娣は若女将になりたいと訴え、三娘を尻目にパンRと一緒に質屋へ出かけてしまう。 その頃、狩りに出かけた顧千帆は深手を負い、昏睡して雍丘(ヨウキュウ)城に運び込まれた。 …チェンファン!… 顧千帆はパンRの声でふと目を覚ましたが、なぜか父・蕭欽言(ショウキンゲン)がいる。 「耶律宗盛(ヤリツソウセイ)の身を案じた陛下が私を遣わしたのだ、安心せよ、手配は全て済んでいる 大手柄だったな!」 顧千帆は崖から落ちた耶律宗盛を助ける際、岩石が肺腑に直撃していた。 2日間も気を失っていたと聞いた顧千帆は慌てて東京へ帰ろうとしたが、蕭欽言に止められてしまう。 池蟠は質屋にも手を回した。 しかしパンRは権力には権力で対抗、半遮面には柯政(カセイ)から揮毫(キゴウ)を授かった宋引章(ソウインショウ)がいると脅す。 「引章がお偉方と会った時、この店の話題を出したら…」 一方、顧千帆は寝たふりをして父が部屋を出るのを待ってから、耶律宗盛を訪ねた。 「私を兄弟と思うなら頼みを聞いてくれ、私の愛する女が苦境にあると文が届いた 任務を完遂する予定だったが、一刻も早く会いに行きたい 大事でなければ明日の午後には戻れる、蕭宰相を足止めしてくれないか?」 耶律宗盛は顧千帆の情の厚さに感銘を受け、もしもの時は自分の妾に息災を知らせに行かせたと嘘をつくと約束した。 パンRは夜明けまでに何とか手付金600貫をかき集め、招娣と屋敷に戻った。 すると招娣は陳廉が持って来た200貫は大きな箱に入っていたが、質屋の箱がやけに小さいと訝しむ。 パンRは陳廉の箱には2文や5文相当の銭で200貫入っていたが、今回は1枚が10文の価値がある祥符元宝(ショウフゲンポウ)だからだと教えた。 「そう言えば仲が良かったわよね?」 「皇城司の都頭と茶坊の下働き、仲が良いなんて恐れ多いよ みんなが顧司使みたいな人に出会えるわけじゃない」 「確かに私は幸運だった…幸せは自分でつかむもの、他人任せではいけないわ」 欧陽旭(オウヨウキョク)はついに抱一(ホウイツ)仙師との面会を果たした。 しかし隠遁した身だと授爵を断られ、これでは都に戻れない。 欧陽旭は恩師にも見放され自暴自棄になった。 すると書童の子明(シメイ)から御史中丞(ギョシチュウジョウ)・斉牧(セイボク)が故郷の西京(セイケイ)で療養していると聞く。 柯政と同じ清流派の斉中丞が自分を相手にするとは思えなかったが、子明は贈り物でも献上してはどうかと提案した。 「柯老相公が返してくれた箱の中に何かあるかも…見て来ます!」 実はその箱の中にはかつて叔徳(シュクトク)が勝手に柯政に贈った夜宴図(ヤエンズ)があった。 夜宴図は見事な絵だった。 すると子明が絵の中に小さな字が書かれていると気づく。 欧陽旭は注意深く美女の絵姿を確認すると、確かに札のように名が入っていた。 「張師師(チョウシシ)…陳娟(チンケン)…王雲児(オウウンジ)…劉婉(リュウエン)…?!ふっ、都へ帰れるぞ」 ″劉淵″とは皇后の名だった。 三娘はパンRが勝手に引章が置いて行った銭まで使ったことを心配した。 しかし実は昨日、パンRは招娣を沈(シン)家に使いに出し、引章からの許可をもらったという。 証文にはパンR、三娘、招娣だけでなく引章の名も入っていた。 三娘は沈家に行ったことを黙っていた招娣を問い詰めた。 焦った招娣はパンRに口止めされたという。 「何で?!…で、どんな態度だった?」 「パンR姐の文を破り捨て、即答しろとはゆすりも同然だって でも今は必要ないから、華亭(カテイ)での謝礼金だと思うことにすると… それからパンR姐の婚儀には具合が悪いので行かないと言ってた」 「引章ったら!頭に来る!」 しかし引章が大切にされていると知り、三娘は今度は本当に幸せなのだと分かって安堵した。 すると招娣は引章が出て行ったのは失恋ではなく、妬みではないかと指摘する。 思えば欧陽旭が進士になった時は周舎(シュウシャ)と駆け落ち、今回もパンRが誥命(コウメイ)夫人になると知った途端、沈如琢(シンジョタク)に身を寄せた。 「パンR姐は引章姐の嫉妬心を見抜いている、だから昨日のことも口止めしたんだ」 こうしてパンRたちは杜長風(トチョウフウ)を仲介人として正式に契約を結んだ。 つづく ( ゚ェ゚)ん___これでいいの?w お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.05.28 13:44:44
コメント(0) | コメントを書く
[夢華録 全40話] カテゴリの最新記事
|