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カテゴリ:夢華録 全40話
![]() 梦华录 A Dream of Splendor 第38話「背後に潜む者」 母・孫三娘(ソンサンニャン)と師範・杜長風(トチョウフウ)が恋仲だと知った傅子方(フシホウ)は猛反発。 女子は三従四徳を守り、父に夫に子に従うべきだと言い放った。 「俺の同意なしに一緒にはさせない!」 しかしこの言葉を聞いた三娘は息子に深く失望し、自分の婚姻に口出しできる者などいないという。 「私が甘やかし過ぎたせいね…母の慈愛に子が応えるとは限らない、あなたは父親そっくりだわ」 すると三娘は息子を置き去りにして帰ってしまう。 子方は屋敷へ戻ると母に謝罪した。 着替えを持って待っていた三娘は、改めて自分は母である前に女であり人だと言い聞かせる。 しかし礼服を着る夢を叶えたくて息子に学問を強要したのも事実だった。 「これからは私の夢のために生きなくていい、礼服を着る夢は自分で叶えるから…」 三娘はもう怒っていないと安心させた。 ![]() 永安(エイアン)楼を任された宋引章(ソウインショウ)は立派に勤めを果たし、趙盼児(チョウパンアール)へ報告に来た。 引章の楽しそうな様子に安堵するパンR、そこへちょうど顧千帆(コチェンファン)が帰って来る。 実は都を発った欧陽旭(オウヨウキョク)が海賊に襲われ、命を落としていた。 しかし今朝の朝議で顧千帆も突然、言官に弾劾されたという。 商人と通婚を図り、許嫁に買い占めをさせて民と利を争っているというのだ。 その時、屋敷に侍衛司が踏み込んだ。 都虞候(トグコウ)・張允(チョウイン)は勅命により顧千帆を連行するという。 顧千帆はすぐ戻るとパンRを安心させたが、結局、夜になっても帰ってこなかった。 ![]() 顧千帆は張允がかつて殿前司(デンゼンシ)・崔(サイ)指揮の配下だったと知っていた。 「敵討ちのつもりか?」 恐らく張允はその復讐心を利用され、清流派と皇后派の争いに巻き込まれたのだろう。 しかし皇帝は拷問を禁じているはず、その証拠に身体に目立った傷が残らないよう水責めしかしなかった。 顧千帆は政争に関わらないよう警告したが、張允は次に鐘刑を命じてしまう。 パンRは陳廉(チンレン)から事情を聞いた。 実は蕭(ショウ)家の印が入った宝玉が顧宅から見つかり、欧陽旭を襲った賊の骸にも蕭家の紋があったという。 蕭欽言(ショウキンゲン)は現在、病を理由に謹慎中だった。 すると蕭宰相の前妻が顧千帆の″叔母″らしいと噂が広まり、蕭欽言が息子も同然の顧千帆を出世させたと憶測が流れる。 言官は蕭欽言が顧千帆の婚姻に不満で、顧千帆が一緒だと知らずにパンRを襲ったと上奏した。 驚いた皇帝は今回ばかりは皇后と蕭宰相のやり過ぎだと激怒したが、皇后が潔白を主張したため顧千帆の尋問を命じたという。 「つまり陛下は顧千帆を皇后派と見なし、夜宴図の件で私に嘘をつかせたと思ったんだわ 皇后の罪を隠したことが拘束した本当の理由なのね」 パンRはひとまず静観することにしたが、自分の命を狙ったのが蕭欽言でも斉牧(サイボク)でもないと感じていた。 顧千帆の消息が全く分からないまま丸1日が経った。 皇城司もパンRも身動きが取れず不安が募る中、杜長風は自分が偵察に行くと申し出る。 「これでも官吏だ、何があっても切り抜けられる、男なら家族の困難に立ち向かわなくては…」 孫三娘(ソンサンニャン)は杜長風の力強い言葉に感激し、パンRも拝礼して感謝した。 杜長風は医者に成りすまし、顧千帆の診察を命じられたと嘘をついて牢獄に潜入した。 すると顧千帆は拷問で耳から血を流し、音が良く聞こえないという。 「皆、むやみに動くなと伝えてくれ…陛下のお望みは私の審問でパンRと永安楼には手を出さない つまり陛下は何かを疑っているが確かな証拠はない 当初、雷敬(ライケイ)が私に夜宴図を探させた、恐らく奴は今頃、必死で陛下を説得しているだろう 私が死ぬことはない、くれぐれもパンRを心配させないでくれ…」 しかし嘘がつけない杜長風は鋭いパンRにあっさり見抜かれてしまう。 顧千帆は拷問されて耳を痛め、高熱を出していた。 心配したパンRは陳廉に見張りをまいて欲しいと頼み、顧千帆を唯一、救える蕭欽言に会いに行く。 しかし蕭欽言はすでに手を回してあると教え、5日以内には解放されると教えた。 「その間、そなたは東京を離れた方がいい」 蕭欽言は家職を呼び、馬車に厳重な守りをつけてパンRを送るよう命じた。 「千帆はいい子だ、そなたもな…全て悪いのは私だ」 パンRは馬車に乗って蕭府をあとにした。 すると突然、蕭謂(ショウイ)が車に乗り込んでくる。 「助けに来た」 蕭謂は父が顧千帆を見限ると教えた。 実は皇后が蕭欽言と顧千帆の噂を耳にし、疑心暗鬼になったという。 「父が絵の存在を隠し、異心を抱いていると… そこで父は今日、劉(リュウ)国舅(コッキュウ)と接触し、断言した 当時、顧氏とは憎み合って別れ、顧千帆とは帽妖事件以外で一切、関わりがないとな …残酷だと思うだろうが昔からだ、だから今の地位がある 父にとって父子の情など取るに足らぬもの、最も重要なのは権勢だ」 蕭謂はパンRが何も知らずに父を頼ったと思ったが、パンRはすでに父が自分の父親の敵だと知っていた。 「私を狙ったのは蕭宰相ではない、でも顧千帆が捕まって私を消す気になったのね 私が斉牧一派に殺されたように見せかければ宰相と顧千帆の疑いは晴れるから… でも顧千帆さえ助かるなら宰相を恨まないわ、この命を差し出してもいい」 「なるほど、血を流しても君を娶りたがるわけだ」 「どうして助けてくれたの?顧千帆を嫌っていたのに…」 「それでも私の大哥だ、帽妖事件の時は命を救われた、妬んでいても死んで欲しくはない」 蕭謂は兄の大事な人も守りたいと訴え、しばらくは永安楼にいるよう勧めた。 「人が多い場所なら手は出せまい…大嫂、気をつけて」 ![]() 雷敬は顧千帆が予想した通り、皇帝を必死に説得していた。 夜宴図の件は何度も調べたが絵空事であり、任務以前の顧千帆は何も知らず、ましてや趙氏との結託などあり得ないという。 蕭欽言も前妻の″甥″である顧千帆を引き立てたことはなく、もしそれが事実なら自分が顧千帆に厄介な任務を任せられるはずがないと訴えた。 そもそも顧家は清流派、前妻とも憎しみあって別れたのだろう。 一方、パンRは蕭謂の助言に従い永安楼にいた。 すると陳廉から思わぬ知らせを聞く。 実は死んだと聞いていた欧陽旭が救出され、大理寺が都に護送していた。 「使用人2人と桂花を満載した商船の船員、計8名が死にましたが、 欧陽旭は川に飛び込み、板を抱えて助かったとか…」 陳廉は欧陽旭を説得し、全て清流派の仕業だと皇帝に証言させてはどうかと提案した。 しかし斉牧は蕭欽言と顧千帆が父子だと知っている。 パンRは逆に父子の結託と経歴改ざんで死に追いやられると考え、反対した。 つまり黒幕は蕭欽言と顧千帆が親しい関係だとしか知らないのだろう。 「…欧陽旭に会うわ」 パンRは大理寺の見張りを催眠香で眠らせ、欧陽宅に潜入した。 中庭では陳廉が物陰に潜んで警戒している。 欧陽旭はパンRが自分を殺しに来たと思ったが、パンRは否定し、証言を頼みたいと切り出した。 「あなたの部屋は鵝梨帳中香(ガリチョウチュウコウ)の香りがする…巷では少ないけれど宮中では珍しくない 皇后の使者に会っていたのね?そうでしょう? 賊に襲われたというのは嘘、黒幕は斉牧ではなく皇后だわ、あなたはとうに皇后に寝返っていた 皇后は夜宴図の件で斉牧を恨んでいる、都から追い出しても今後のために潰したかったはずよ? そこで連環計を謀った、まずは蕭欽言を疑うよう仕向け、証拠に不備を残す 斉牧は都におらず陛下に釈明できない 陛下は皇后はを疑い、それ以上に清流派を疑う、と同時に皇后は勢いづく蕭欽言を牽制できる」 「なぜ分かった?」 パンRは欧陽旭が桂花の過敏症だと知っていた。 そんな欧陽旭が都を出るために桂花を積んだ船に乗るはずがない。 パンRは最初から最後まで誰かが手配した計略だと気づき、背後にいるのが皇后だと分かった。 しかし欧陽旭は全て自分が計画したと否定する。 実は欧陽旭は恥を忍んで皇后の兄を頼っていた。 完全に斉牧と敵対したため、今後は皇后に尽くすと誓ったという。 「私が命懸けで仕組んでこそ皇后は斉牧を排除できる だから皇后は私を信じて東京に残れるよう機会をくださった…」 「そのために8人の命を奪い、私を殺そうとしたのね?」 欧陽旭は他に道がなかったと訴えながら、急に膝から崩れ落ちた。 苦しそうに項垂れる欧陽旭、驚いたパンRは恐る恐る顔をのぞき込んだが、その時、欧陽旭がパンRの首をつかんで押し倒した。 「君が憎い、私を変えたのは君だ!なぜ私を拒み、顧千帆を選んだのだ?!」 欧陽旭は恨みつらみを爆発させたが、気がつくと抵抗していたパンRの手がだらりと床に落ちた。 ![]() 激情に駆られた欧陽旭は愛するパンRを手にかけ、思わず腰が抜けた。 しかしもう選択肢はない。 欧陽旭は次に顧千帆を殺すと息巻いたが、その時、死んだふりをしていたパンRが欧陽旭の頭を蹴り飛ばして逃げようとした。 「誰か!」 パンRの悲鳴に気づいた陳廉は急いで部屋に乗り込み、欧陽旭を殴ってパンRを救出する。 そこへ目を覚ました護衛たちが駆けつけたが、欧陽旭は追うなと命じた。 …慌てるな、パンRに知られたところで証拠はない、どうせ顧千帆は牢だ、明日、皇后に報告すればいい… 一方、雷敬はまだ皇帝を説得していた。 欧陽旭が刺客に襲われたというのもおかしな話、もし蕭欽言の指示ならしくじるはずがないという。 すると突然、賢(ケン)妃の姪である高慧(コウケイ)が心の友であるパンRの陳情にやって来た。 パンRが顧千帆の権勢で商売敵を抑えたなど事実無根であり、そもそも他の酒楼の嫌がらせが原因で香料を買い占めただけだという。 「都で頼る者もいない女子が酒楼を開くことは大変なことです! 無辜の民を政争に巻き込まないでください!」 すると崔内侍は食い下がる高慧を止め、強引に連れて下がった。 皇帝は気位の高い高慧がなぜパンRと友人になったのか首を傾げた。 すると雷敬はこの機を利用し、皇后も潔白だからこそ侍衛司に顧千帆を調べさせ、蕭宰相を謹慎させたのだと畳み掛ける。 「これも陛下を信頼してのこと もしこの件が誣告だった場合、陛下が蕭宰相の復帰を遅らせれば皇后が傷つくのでは?」 一方、陳廉はパンRを無事に桂花巷(ケイカコウ)へ送り届けていた。 つづく ( ゚ェ゚)え?使用人2人って…ザワザワ… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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