松竹座 七月大歌舞伎 昼の部
松竹座に行く。【播州皿屋敷】孝太郎さんのお菊がかわいい。箱から9枚目のお皿を取り出すときの「アレ?」っていう顔とか、井戸の釣瓶にぶら下げられながらも、家老の言いよりに「ツンッ」ってする顔とか。芸が造作を凌駕していく。愛之助丈の珍しい「トコトン」悪者。高速回転で拍手喝采。そこか。亀蔵さんの悪家臣、いいなあ。大きな顔に隈取りが映えてほんま江戸時代の浮世絵みたい。世が世なら写楽が絵に描いたであろうよ。【素襖落】若手×ベテランの舞踊対決。三津五郎さんのコメディアンっぷりに大笑い。しかし狂言を見るといつも思うが、この時代の「頼うだお方」と「太郎冠者」の関係ってどうなのよ。いくらなんでも大らかすぎないかー日本人。【江戸唄情節】仁左衛門祭り♪時蔵さんと美男美女のオトナなカップル。「お前に何かあったら俺も生きちゃあいねえぜえ」だあああああああ。ニザさまに抱きしめられてそんな台詞を吐かれたら、誰彼なくイチコロでございましょう。情理をわきまえた芝居茶屋の女将(秀太郎さん)、任侠一徹の大親分(弥十郎さん)、芸が大事人が大事の千両役者(三津五郎さん)、優しい心根のお嬢さん(梅枝くん)、親切な隣のオバさん(吉弥さん)、スター役者の若旦那(愛之助さん)、ちょっとおしゃべりな番頭(竹三郎さん)、それぞれが全部適材適所な配役で、みんな大好き♪ になってしまう。実に見応えがあって面白かった。梅枝くん、ここでもよかった。チョイ役でも上手にやればこれだけ人物の立体感が出るものかと思う。いかにもきちんと育った大店のお嬢さんで、優しい心を持った10代の女の子。「素襖落」の姫御寮も気品があってよかったし、夜の部「伊勢音頭」の芸者も若々しい色気と恋情があってよかったなあ。怪談+コント+人情話と、バラエティに富んだ昼の部。ニザさまの三味線にハラドキするだけでもお値打ち♪ お買い得でーす