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フライブルク日記

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2009/07/15
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テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:エコライフ
東京生まれ、フライブルク育ちのビワ
東京生まれ、フライブルク育ちのビワ posted by (C)solar08


一年前に出したの一章に、「東京生まれのビワ」のことを書きました。

かいつまんで話せば、こうなります。

果物好きの祖母が、ビワを食べて、ほき出した種が、たまたま家の前のドブ(といっても、敷地の中)に落ちました。

落ちた種は水に流されもせずに、鎮座ましまし、やがて芽を出し、何センチかに伸びたところを、祖母に発見されました(これが不思議、ドブに興味なんかない、家事嫌いの祖母がどうして、ここをのぞいたのか。もしかして、ノラネコに水をぶっかけようとして、たまたま目がいったとか)。

喜んだ祖母はこれを母と私のところにもって来て、庭に植えるように命じました。

母だか父だかはへいのきわにこれを植えました。

東京のど真ん中で四方を隣家に囲まれ、日当たりが悪いのもものともせず、ビワはすくすく、ヒョロヒョロと伸び、やがて実をつけました。

実は小さかったのですが、香や味は、売っているビワよりもずっと上品でおいしかったのをよく覚えています。肥料も何もやらなかったおかげでしょう。

やがて祖母は「爺さんよりも長生きしたい」が夢だったのに、あえなく他界し、祖父はその後もかなり生きて、長寿を全うし、父は短命で終り、実家には母一人が暮らすことに。その間に、わたしはドイツで暮らすようになっていました。

その間もビワはいつも変わることなく実をつけていました。
あるとき、実家に滞在したときに、久しぶりに庭のビワを食べてみました。
ドイツではビワは自生しません。気候が寒すぎるのでしょう。だからビワという果物を知っている人も少ないです。
「なつかしい」とたくさん食べたあと、出た種を母がていねいに洗ってくれました。

これをドイツに持ち帰り、植木鉢に植えて、室内に置いておいたら、芽が出て、伸びてきました。

でもね、わが家の観葉植物にはカイガラムシがはびこって、ついにビワの小さな苗にもうつってしまいました。

「もう、いや、捨てる」と下の階(いや、上の階も)の持ち主に言うと、彼は「これを庭に植えよう」と言いました。イタリアで過ごした彼は、ビワのことをよく知っていたのです。「どうせ、冬に死んでしまうわよ」、という私の予言は的中しませんでした。

確かに地球温暖化の「おかげで」、冬の寒さの厳しさは、昔よりもずっと緩和され、春も早く訪れるようになっていました。
それと、植木鉢のビワがかなり成長していて、根が深くなっていたこともよかったのでしょう。

ちなみに、庭のかなりの部分は、この男性が「特別使用権」をもっています。私が三階フロアーを購入するずっと前から、そういう登録をしているのです(三階の前の所有者はどうでもよかったらしい、くやしい!)。
で、lここに彼はビワを植えたのです。
ビワはその後もすくすくと成長し、東京の庭でとちがって、四方八方に大きな枝を広げ、それは立派なビワの木になりました。

でも、十年以上たっても、うんともすんとも言いません。つまり花を咲かせる様子はなかったのです。
それが、二年ぐらい前でしょうか。あるとき、ふと見ると、花が咲いていたのです。

ビワの花って、あまり目立ちません。きれいでもないです。
でもドイツでビワが咲いたということに大感激しました。

この感激を伝えたかった母は、とっくに他界していました。

聞いた話では、南ドイツのある市では、街路樹のビワが実ったそうで、ドイツ人はこれが食べられるとは知らないので、収穫もせず、食べもせず、ビワのことを知っているトルコ人が食べたということ。

「もっと地球温暖化が進んで、東京生まれのビワが食べられるようになるかな」というところで、わたしの作文は終わっています。

それがそれが、なんとなんと、数週間ぐらい前に、バラとラベンダー(下の階の人が特別利用権をもっている庭の部分に、植えさせてもらったり、勝手に植えて事後承諾にした)をチェックして、ふとわきを見ると、ビワがついになったのです。
上の写真は、そのときのもの。まだ熟していません。

十数年もかかってやっとなったビワ。

下の階の人に教えたら、彼も気がついていたようです。

「でも、これは東京産だから、食べられないんじゃない?」などとおっしゃいます。
イタリア産のと見た目もちょっとちがったからでしょうか。

「そんなことないわよ、おいしいよ」と言っておきましたが、意地悪をして「食べられない」と言っておいて、一人占めすればよかったかな?

これはこの男性がわたしの手から救い上げ、彼の庭部分に植えて育てたのですから、彼に食べる権利があると思って、私は遠慮して、今日まで手を出しませんでした。

でもね。今日、出掛けに見ると、ビワは熟しきり、虫に食べられた跡ができたり、腐ったりしているではありませんか。

ああ、もったいない。
もう我慢ができない。
茶色い傷んだ部分があるビアをもいで、その場で食べてみました。

中から汁が零れ落ちるくらいジューシーで甘いビワでした。

帰宅してからもう一度、ビワの木を見ると、もうどんどん傷んでいます。

今度は三つか四つ採って、家に入り、ゆっくりといただきました。

甘さが薄いものもありましたが、たいていはおいしかったです。

まだまだたくさんあるビワの実。

彼が採らないで腐らしてしまうなら、もったいない。
そういえば庭のリンゴも、ぶどう棚のブドウも、全然採らないので、毎年、無駄にしてしまうのです。
今年はわたしが採って、食べちゃおうかな。

いずれにしろ、ドイツでも(といってもたぶん南ドイツだけでしょうが、それでも)、ビワが実るほど、気候は暖かくなっているんです。

本に書いたのと同じように、結びの言葉は、これを喜ぶべきか、悲しむべきかとなりますが、つい喜んじゃったりして。

地球全体、海岸沿いの国の人、将来の世代のことを考えれば、悲しむだけじゃなく、断固として、それに抗して、何かを実行しなければいけないのに、ビワを食べて喜んでいる私です。

意識だけじゃ足りないのよね。


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Last updated  2009/07/16 02:28:20 AM
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