テーマ:海外生活(7772)
カテゴリ:エコライフ
ドイツは昨年末に、卵に制限値以上のダイオキシンが混入していることがわかって、いまもまだ問題になっています。
このダイオキシンがどこから来たかというと・・・ 鶏や豚などの家畜・家禽用飼料には、もろもろのものが含まれているようで、成分の 一つが油脂。 家畜飼料生産者はそのために、飼料用油脂生産者からなるべく安く(当然ですが)油脂を買います。 飼料用油脂生産者も、原価をできるだけ抑えようとします(当然です)。 そこで、ドイツのある生産者Hは、家畜飼料用油脂になんとなんと、工業用の油脂を混ぜたのです。 この工業用油脂がどこからきたのかというと、古食用油をリサイクルしてバイオディーゼルをつくる業者からです。 昔は食物生産からでる油脂、たとえばフライドポテト生産で出る古油などを飼料に混ぜることができたのですが、現在ではヨーロッパでは禁止されています。 そこで、古油をリサイクルしたバイオディーゼルが脚光を浴びたわけ。 で、このバイオディーゼルをつくる会社は副産物として出る油脂も「工業用油脂」として売ります。 H社は「工業用油脂」とはっきり表示されている油脂を飼料用の油脂に混ぜたというわけ。 この飼料用油脂がさらに家畜飼料生産会社に売られ、規制値の70倍以上のダイオキシンを含む脂肪酸入りの飼料が大量に5千近くの農家(多くは大量飼育をしている農家のようです)に売られ、ダイオキシンが卵や鶏肉、豚肉に混入したわけ。 この飼料を食べた鳥から生まれた卵には、規制値(卵中の脂肪1gにつき3ピコグラム)の何倍ものダイオキシンが発見されたそうです。 農家は生産を止められ、豚や鶏を殺さなければならなかったり、卵を廃棄しなければならなかったりで、大変な被害を受けました。 ダイオキシン規制値オーバーかどうかには関わりなく、スーパーなどの卵の売れ行きは落ち、代わりに小さな農家やエコショップの有機農業卵の売れ行きが倍増したそうです。私はこれまでも、たいていはエコ卵や青空市のおじさんから買っていたので、これまでとあまり変わりありません。 いちおう、鶏肉や豚肉はいまは買ってません。エコショップのは高いしね。 でも、これまでも鶏肉や豚肉はあまり食べないようにしていた(大量飼育を報じるニュースを見ると、さすがに食べる気が失せて)ので、個人的には被害は受けませんでした。 おかしいのは、ダイオキシンが飼料用油に混じっているのを発見したのが国(州)の監督機関ではなくて、このH社の委託を受けているラボだということ。 国の検査がどんなにいい加減なのかが、この事件でまたしても発覚したのです。 これまでも、古い肉を大量にケバブ用に流していた会社が見つかったり、狂牛病のときにも、家畜飼料に汚泥とか動物の屍骸とかが混ざっているのが発覚して、問題になっています。 それでも、検査が厳しくなっていないことがわかってしまったわけです。 「今回の事件などは、氷山の一角」だと指摘する団体もいます。 ダイオキシンはごく少量を摂取しただけでは、すぐに死んだりするわけではありませんが、分解されるのに何年もかかり、体の中(脂肪)にたまるのが怖いといわれています。蓄積したダイオキシンは、免疫を低下させたり、癌を促進したり、ホルモンをかく乱したりします。 一度に大量に摂取すれば、ベトナム戦争のときに見られたように、奇形児出産といった被害もありますし、ダイオキシンで毒殺された人もいます。 ダイオキシンはゴミ焼却とか森林火事とか製鋼業など焼却過程で発生します。 それが空気中から海や土に降ってたまるので、生活空間のどこにも存在するわけです。 現在のドイツは、焼却技術が高くなったおかげで、空気中の濃度は90年代よりも減っていますが、それでも土や水にはたまる一方です。 ダイオキシンは脂肪にたまる傾向があるので、野菜よりも魚や肉の方がたくさん含んでいます。 今回、調べてみたら、魚での制限値は1g当たり4ピコグラム。 脂肪分が高いウナギとか鮭には、かなりのダイオキシンが含まれているようです。 EUの規定では、人間が一日に摂取してよいダイオキシンの量は体重1g当たり1ピコグラムだそうです。ムムムム、ということは・・・。 ほんとはね、ダイオキシンだけの問題じゃないんですよね。 農薬のほかの成分だって、どれだけ残留してることか。 検査には金も手間もかかるから、国や自治体がすべての食物の監視をしているわけではないし、自主規制が言われていますが、それを抜ける業者もいることが、今回もわかったし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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