つれづれ日記

盛岡から夕方の郡山ライブまで時間があるので、どうしようかと思っていたのだが、やっぱりここまで来たからには少しは観光しようかなと思ったりして、考えたのが平泉、中尊寺。盛岡市内はそれほど見るべきところもないみたいなので、朝早めに出て行ってみようかなと思う。思いついたときに行かないと、一生行かずに終わってしまいそうな気もするんで。
思い立ったのが既に旅行の３日前という急なことで、仙台から郡山まで２時４０分の新幹線の指定の予約を入れてしまっていたので、その時間までに仙台に辿り着くとなると、東北本線の電車２本分、２時間。中尊寺と毛越寺ぐらいなら、２時間ぐらいで何とか回りきるだろうとたかをくくって、図書館で借りていたガイドブック見ながら計画を立てる。
もともと土日きっぷを買っていたので、仙台の一つ先、古川から先は何の予約も入れてない。行きは新幹線の自由席を使ったが、高速バスにするかそれとも東北本線を３本乗り継いで仙台まで出るかと考えていたので、中間点のそこは格好の観光スポットではあったのだ。
朝、９時６分発の一ノ関行きの２両編成の電車、一瞬まだ準備が出来てなくて扉が開いてないのかと思ったのだが、中に人がいたので、やっぱりドアはボタンを押して手で開けるやつなんだとわかった。２両でも発車時間には結構一杯になる車内、ゴトゴトと聞いたこともない駅名の駅に停まりながら約１時間半で平泉到着、盛岡から乗ってきた人のほとんどがここで下りるのにはちょっと驚いた。みんなここ目当てなんだと思うと、結構凄いことなのではと思った。
駅前で２時間５００円のレンタル自転車を借りて、こう回るといいよと説明の入った地図をもらう。歴史資料館とか郷土資料館とかいろいろ書いてあって、全部回って２時間といわれたけど、たぶん中尊寺が広いのでそこで時間取られるだろうと見越して全部パスして、時間余ったら寄ろうと思う。
まずは高舘義経堂とに行く。途中自転車を押して坂道上がるのがちょっとキツイ。義経最期の地だそうで、小さいお堂が立っている。奥の細道で松尾芭蕉が「夏草や兵どもが夢のあと」と詠んだくだりの高舘というのはここのことらしい。北上川が流れるのが見える見晴らしの良い高台で、下を出来たばかりのきれいな道路が走っている。松尾芭蕉が見たのはどんな風景だったのかと思うが、想像する術もない。
その後、中尊寺へ行くとそこは観光バスてんこ盛りで、旅行会社のバッジのついた年配のツアー客がわんさかいてかなりの賑わいだ。寺の入口からずっとダラダラの上り坂で結構足が辛いが、大きな杉の木が何本も両側にあって、歴史ある古刹という感じ。
菊の時期なので、鉢に３本立てになった菊があちこちに飾られていて、ときたま賞がついている。まだ花が咲ききってないのにどうやって賞を決めるのだろうかと疑問に思いつつも、きれいに並んだ珍しい菊の鉢を興味深く見る。
頭の上にはいろはもみじが紅葉して、緑と黄色と赤の混ざった微妙な色合いがすごいきれい。ふと下を見たらいちょうの黄色い葉が風にハラハラと散って、絨毯のように地面に広がっていて、かなり秋だなーとしみじみする光景。
境内がすごい広いので、歩き回るだけでも時間が足りないくらい。本堂は意外と質素だが、金箔貼りのまばゆいキンキラの金堂とか大きな大日如来や薬師如来の本尊の納められた館を見ているだけでもう１２時近くなり、慌てて毛越寺へ自転車を吹っ飛ばす。
平泉の町は道も整備されてきれいになっていて、毛越寺に入ってここもすごい庭園なのにビックリした。大きな池のあるすごいお庭で、そのまま黙って３０分でも池の辺で佇んでいたいぐらいだが、何せ時間がない。たった１５分で庭を一回りして寺を出て、駅まで自転車をぶっ飛ばす。
自転車を返したのが１２時２０分、そこから仙台まで切符を買って、２６分発の電車に乗るために慌ててホームの階段を駆け上がる。
電車は一ノ関まで１０分、ここが乗換駅で駅弁が買えるのがわかっていたのだが、３、４種あるはずの弁当が売り切れで「ひとめぼれ弁当」というのしかないとのことで、それを買って乗り換えた発車前の発車前の電車の中で堂々と駅弁を食べる。幕の内っぽいおかずだが、さすがにお米がすごくおいしかった。この電車は一人で２席ぐらい占領してもあまるくらいの空き具合、何となくのんびりしてしまう。昼時なのであちこちでおにぎりやらパンを囓る人の姿が見受けられた。地元の人じゃないみたいなのが多数みたい。電車も車掌がいなくて２両をワンマン運転、整理券を取って無人駅では電車の中で運転手にお金を払って降りるシステムみたいで、電車なのにまるでバスのようだ。
ゴトゴト電車に揺られていると、刈り取られた茶色い田んぼとか、紅葉した木々とか、向こうの山にススキがたなびいていたりして、日本の美しい田園風景が広がっている。秋だなーって少ししみじみしてしまう
小牛田（こごた）駅まで約１時間、そこでまた乗り換えて仙台まで約１時間。仙台行きはさすがに４両編成で、かなり乗る人もいて、途中松島の海もチラリと見えて、なかなかお得感有り。何となく町というか都会に近づいてきた感じがする。仙台で新幹線に乗り換えて１時間弱、今までローカル線に乗っていたのが嘘みたいな早さで福島から郡山へ３時半過ぎに到着。
Ｋ様とメールで連絡を取って、ホテルの２階の喫茶室で落ち合い、コーヒータイム。
多少疲れたけど、どこも紅葉がきれいで、田んぼとか平原の続く広い米どころの風景は何となく昔懐かしい感じがして和んだ。プチ旅としては上出来な位の秋の東北でした。