テーマ:本は友達・幸せのために(31)
カテゴリ:健康の話
松本光正先生の本をもう一冊。
「目からうろこが落ちる」などと言うが、もやもやとしたなんとなく通用している常識が、一刀両断スパっと覆されると感動する。 「血圧」というよく解らない症状の、その数字に怯えて、降圧剤で下げてしまうことの愚かさを明らかにしてくれる。 (【お断り】-原本は先生とKさんとの対話で書かれているが、本稿は紙幅の都合で、地の文で書き直しています。)
血圧心配性ですよ!まだ「薬」で血圧を下げているあなたへ 私達の体には血液が流れています。血液はまず、動脈を通って体中の細胞に酸素や栄養分を運びます。そして静脈を通って老廃物などを回収して、また心臓にもどってくる。こうした"流れ"をつくり出してくれているのが、心臓です。 その心臓がポンプのように血圧に圧力をかけて、血管へ送り出しているのです。そして血圧というのは、このときの血液の圧力によって血管壁が押される力のことなのです。 この圧力の強さや弱さというのは、さまざまな要因で決定されます。たとえば、血管の硬さと柔らかさ(血管抵抗)。血管が硬ければ血が流れにくいので、血圧は上がります。 それから心臓から送り出される血液の量(心拍出量)や血液の粘り気、心臓から送り出される血液の流速なども関係します。心臓が弱ってポンプ機能が低下すれば血圧は下がりますし、逆にポンプが激しく働けば血圧は上昇します。 しかも血圧は、体の姿勢や精神状態、気温、時刻、運動などでもすぐ上下します。その上下は瞬間的にも起こるし、ゆっくりと変動することもある。 それから、血圧というのはだいたい「背の高さ」で決まるのです。 私たちは直径1万2千キロメートルもある地球という星の上で暮らしています。そこで生きる物は、それぞれに地球の重力を体に受けています。心臓はその重力に逆らって、頭のてっぺんまで血液を送り込まなければならない。だからその体に見合った圧力をかけて血液を送り出す必要があるのです。 たとえば、背が高いキリンの血圧の平均は、だいたい300ミリエイチジー(Hg)以上です。一方、ネズミは頭と心臓がほぼ平行ですから、重力の影響をほとんど受けずに頭の先まで血液を送ることができます。だからネズミの血圧は10か20程度しかないのです。人間は心臓から頭の先までが50センチくらいですから、キリンの半分以下の血圧ですむというわけです。
私達の体は、生きるために血圧を微妙に、また大胆に調整しています。座っているときは、座っているのにちょうどいい血圧になっているし、夕食後にのんびりとテレビを見たり、好きな本を読んでいるときは、それにちょうどいい血圧になっています。そういうときは普段より血圧は下がっています。 スリラーものを手に汗を握りながら読んでいるなら別です。怖いときは血圧が上がります。それは血圧を上げて怖いものと闘う準備をしているからです。暗闇で犬に吠えられたら、血圧は急激にグーンと上がる。そうでないと、犬に吠えられたという強いストレスと闘えないからです。 これが体の「合目的的反応」なのです。体は目的をもって、そのときの一番いい状態をつくり上げようと努力しているのです。体の反応には、毛一本逆立てるのも、汗一滴流すのも、みんな無駄なものや目的のないものはないのです。 ですから、血圧を薬でむやみやたらに下げてはいけない。体には血圧を上げる必要があったのですから。それも緊急なことが起こって。 たとえばその時、脳の血管に血のかたまりが飛んできて、血液が止まってしまう脳梗塞が起こる寸前なのかもしれない。それで血圧を200近くにぐーんと上げて、そのゴミを押し流そうとしているのかもしれないのです。
年を取って血圧が上がるのは自然なことです。よく、年齢に90を足したものが、その人の血圧だといいます。50歳の人なら140、60歳なら150、70歳なら160。 年を取れば血管も老化します。若いときのように弾力のあるしなやかな血管ではなくなります。そして血液は硬くなった血管の中を流れ、栄養や酸素を送り、また硬くなった血管を通って戻ってきます。そこで体は「血圧を上げる」という作戦を取っているのです。力一杯ポンプで送り出さないと、血液は隅々まで流れないからです。 年を取ったら血圧が上がるのは自然の摂理なのです。それを若い人と同じでないといけないと思うところに間違いがあるのです。
風をひくと熱が出ます。熱というのは、体温を上げてばい菌を焼き殺そうとしている体の反応なのです。 体温を上げると体の中の化学工場はがぜん活発になります。そして風邪と闘う免疫物質をたくさんつくってくれるのです。 この時、熱さましを飲んで体温を下げたら、ばい菌は再び勢いをとりもどし、闘う物質をつくろうと火を入れた工場は操業停止になり、すぐばい菌やウィルスにやられてしまいます。熱もちゃんと体を守るという目的を持っているのです。 でも、まだ多くの病院ではすぐ熱さましを飲ませます。だから日本の子供は、風やインフルエンザで死ぬのです。世界では日本の子供のように死んではいません。医者の不勉強のために、飲まなくてもいい薬をのまされ、命を落とした子がたくさんいるのです。 悪いものを食べると、気持ち悪くなって吐いてしまったり、おなかが痛くなって下痢をしたりします。これは、悪いものを早く体の外に出そうとする合目的的な体の反応です。吐くのは胃の中にある悪い物を体の外に出す行為だし、下痢は胃を通り越して腸まで下りていってしまった悪い物を出す行為です。みんな体を守ろうとしている反応です。 それを、無理に下痢を止めるということは、出してしまわなくてはならない悪い物を体に残すことです。 O157事件以来、下痢は無理に止めてはいけないということがわかってきました。下痢止めを使った子供の治りが悪く、中には死んでしまった例もあるのです。抗生物質を飲ませた子供達も同じでした。 薬に頼らず、静かにしているのがまず一番です。それから無理して食べない。なぜなら、食欲がなくなるのも合目的的だからです。このとき、無理に食べると、体は消化活動もしなくてはいけなくなる。体を治すのに専念したいから食欲をなくしたのです。
みなさん「高血圧=脳卒中」だと思っていますが、じつはそうではありません。脳卒中と一言で言っても、おおまかに分けて3つあります。 ひとつは、脳の血管が破れる「脳出血」。それから、脳の血管が詰まる「脳梗塞」。そして、脳のクモ膜という膜にある血管が破れる「クモ膜下出血」です。 この中で、高血圧に関係しているのは脳出血だけ。脳出血は血管の圧力が高すぎて血管が破れた状態ですから、高血圧が大いに関係します。しかし脳梗塞やクモ膜下出血は、直接的には高血圧に関係ないのです。 最近の統計だと、脳卒中は死因の3番目で、だいたい15%を占めています。しかし、この死亡統計の〔脳卒中の内訳〕を見ると、 脳梗塞 84% 脳出血 13% クモ膜下出血 3% ほとんどが高血圧に関係ない脳梗塞で、高血圧に関係して倒れる脳出血は、全体のわずか13%です。 全死因の16%が脳卒中で、そのうち13%が脳出血ですから、全死因に占める割合はわずか2%です。100のうち2しかない死因の疾患に対して「血圧を下げろ!」とマスコミ総出で日本中が大騒ぎしているのです。 ガンや交通事故や肺炎で死ぬほうが遙かに多いのです。高血圧では滅多に人は死なないのです。むしろ血圧が低いときに起こる脳梗塞のほうが、遙かに多いのです。 それなのにみんな競うように血圧を下げ、そのあげくに脳梗塞で倒れているのです。 治そうと思って飲み続けた薬が逆に命取りだったわけです。
2006年12月31日の日経新聞、東海大学医学部教授・大櫛陽一先生の記事。 「 ―降圧治療で脳梗塞の発症率が2倍になる― 福島県郡山市の健診データと、全国の脳梗塞を起こした人のデータを比較した。 脳梗塞経験者で降圧治療を受けている割合は45%、未治療は13%。 一般住民で高血圧と診断されている人で治療中は27%、未治療は16%だった。 降圧治療で脳梗塞の発症率が二倍になる可能性がある」 大阪の浜六郎という学者さんも、血圧の薬は必要ない、飲まないほうがよいと言っている。『高血圧は薬で下げるな!』という本の中では、「血圧の薬でガンの発生が高まる」「上が180、下が100程度までは降圧剤の必要なし。安易に薬を使うとむしろ副作用の危険が高まる」とまで書いています。 いつの時代でも、新しいことを言う人は過激だと思われる。「地球は回っている」と言って迫害されたガリレオもしかりです。当時のキリスト教にとっては、地球が太陽の周りを回っていては都合が悪かったのです。それでも地球は回っている。血圧もそうなると思います。
血圧を心配するのはほどほどにしてください。マイナス思考は病気をつくる大きな原因になります。 「プラス思考」に考えさせることが本当の医療なのに、逆に血圧心配性の人間、つまり「マイナス思考」の人間を作ってしまっている。 そもそも医師の役目というのは、病人を治療することではなくて、病人を作らないようにすることなのです。病人がいれば診ることもありますが、病人がいなければ病気を治療する必要がありません。 世の中から病気がなくなって、医師がみんな失業する世の中になったら、こんなに素晴らしいことはないと思います。
私の尊敬する方に中村天風という人がいます。この方は、日本に初めてヨガとプラス思考を広めた人で、「人生というものは、言葉で哲学化され、科学化されている。言葉は人生を左右する力がある」(運命を拓く)とまでおっしゃっていました。 もし今より幸せになりたいのなら、物事をよい方によい方に考えて、実際に言葉に出してみることです。そうするとその言葉に引っ張られて、自然と思い描いたことが現実になるのです。 アメリカでも、カール・サイモントン博士が開発した「イメージ療法」という治療法が成果を上げていて、プラス思考の持つ力が認識されつつあります。 人間の持つイメージ力というのはものすごい威力なのです。それがネガティブに作用すれば、病気を引き起こすエネルギーにもなるし、ポジティブに作用すれば病気も治る。 「できない」「上手くいかない」の代わりに、「きっと大丈夫」「こうすればできる」と言うようにしてみてください。寒い日も、暑い日も「暑さ寒さも自然の恵みだ」と言ってみてください。嫌いな人の悪口を言うのではなく、その人の良さを見つけることを楽しんでください。 マイナスの言葉をぐっと飲み込んで、できるだけプラスの言葉に変えるのです。
「歓喜の世界に悲哀はなく、感謝の世界に不満はない」 「すべてのことを喜び、すべてのことに感謝していく。感謝に値するものがないのではない。感謝に値するものに気づかないでいるのだ」 (中村天風の言葉) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年06月12日 05時00分26秒
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