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空の独り言

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2007年04月06日
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テーマ:小説日記(233)
 少年は出かけると、白き翼を広げ、力強く羽ばたいた。飛んで行く先は黄色い百合の形の花弁の花咲き誇る園。金髪の子は降り立つ。そして、その空と同じスカイブルーの瞳で目を細めて見渡していた。陽光に煌めき、空に虹が架かる。彼は見上げる。虹を。幼い頃、シャボン玉で遊んでは光に当たって虹色に輝くのを見るのが好きだった。見上げていた時、虹の雫が落ちて来た気がした。いや、気のせいではない。虹の光が降りてきて人形を創った。目を瞠って見続けていた。光は虹色の長い髪をした少女の姿となった。蒼い瞳に虹色の光を織り交ぜた不思議な瞳をした少女を。彼女は、何を喋るでもなく、ただ、黙って花の中に佇んでいた。側に行ってみた。あどけない赤ん坊のように見てきた。彼は、座り込んでいる少女の側にしゃがんだ。
「君は、誰?」首を傾げる少女は、彼より幼いようだった。
「私はリュシファーナ。君の名前は?」頬に手を添えてきた。ドキリとなる。種族の女性と同じく長い髪を結い上げることなく、後ろに簡単に留めているばかりなのだけれど、着ている物の襟ぐりが広くて、幼くとも熟れた女性体であることを示す胸元が覗くことに赤面してしまう。だから、彼は、着ている物を上から羽織らせ前をしっかり閉じさせる。少し年下のその子にとって、その上衣は珍しい物らしく、まだ袖口が長い物を上げてしげしげと眺めている。
「虹の国の姫君?」首を傾げる。弱った顔になった。言葉が通じないらしい。少し話をしようとしゃがみかけた時、少女は何かに気づいたかのように他方を向いた。彼も気になり、その方向を向いたが広がる花園ばかりで何もない。何だろうと問いかけようとして振り向けば、少女の姿は忽然と無く、彼は訳がわからない顔をして立っていた。

傷ついている地球がよくなることを祈って。





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最終更新日  2007年05月06日 22時53分15秒
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