今さらSOCHI
12'srose my Diary 2014.5.16(金)今さら_SOCHI今年2月の冬期オリンピックからおよそ3ヶ月経ったいま、いまだにその時の余韻を残したまま今日に至るでは、いくらなんでもね。思い出に浸ったまま、過去と現実が入り乱れたままではね。_と、いうことでやはりこの人のことを記して、現実に気持を向けなくてはね、と。今年2月20日、浅田真央のメダルに期待がかかるショートプログラム(SP)の始まる前にいつもの氷上に向かう前の気迫を感じる表情とは違い、TV前で観ている私にも緊張感が伝わってきた。「だいじょうぶ、だいじょうぶ、日本から応援してるよ〜」と、TVに声をかけて浅田真央の一挙手一投足に集中し、祈りながら観ていた。そして、ショートプログラムの演技が終わった。 結果は16位。いままでに観たことのない精彩を欠いた演技は、無念だった。浅田真央自身が放心した状況でのインタビューの言葉で”自分でも終わってみて_よくわからないです”と、こたえていた。世界中が注目するオリンピックの晴れの舞台でしかも優勝候補の筆頭に名を連ねている浅田真央のこの順位は驚きを持ってこの結果が報じられた。「翌日のフリースケーティングは、どうなるのか。」そんなことを思いながら眠りにつき、翌朝の家事をしながらも気持はソチへ浅田真央の心境はいかに!家人と夕食を摂りながら、「今夜、真央ちゃんだいじょうぶかなぁ」と、言うと家人は「真央ちゃんはだいじょうぶだよ、だいじょうぶだって!!心配しなくてもだいじょうぶ」の言葉に励まされ浅田真央集大成の演技を見届けようとTV前特別観覧席に座り、祈るように浅田真央の出番を待った。「だいじょうぶ」を3回連呼した家人は、いつものように定刻に寝室へ。いよいよ第二グループの6分間練習が始まった。6人の選手が一斉にリンクインし、浅田真央の動きがいい。前日のショートプログラムの時と違い、表情はきりりと締まり、スケーティングに勢いを感じる。「だいじょうぶ!!」、このとき私も確信した。今夜は、思い描いた集大成の演技を魅せてくれることを。浅田真央の名がコールされ、会場から『真央ちゃん、がんばれーーーーーーー』『真央ちゃんならできるーーー』の声が飛び交う。”がんばれ”の言葉より”リラックス”いままで積み上げてきた練習の成果をこの日の晴れの舞台で魅せて欲しい。と、祈りながら見守る。浅田真央が演技スタートのポジションをし、頭を下に向けひとつ深呼吸をする。セルゲイ・ラフマニノフ 「ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18」 (The Piano Concerto No. 2 in C minor, Op. 18 by Sergei Rachmaninoff) 音楽が鳴り、浅田真央の肢体が氷上を泳ぐように踊るように躍動し、滑走していく。リンクを端から端まで滑り抜け、8つのトリプルジャンプを跳び、圧巻のラストのステップで演技を終えた。浅田真央のラストのポーズから無意識のうちに涙が止まらなくなった。浅田真央も”やりきった”の思いからの涙とほぼ同時だった。眠っていた家人を起こし、録画していた浅田真央の演技を一緒にもう一度観た。ふたりで『浅田真央はやっぱり凄いスケーターだ』と、褒め称え、ワインで乾杯した深夜に飲むワインの味は格別だった。この日の夜は、浅田真央の演技が世界を支配した。前日のショートプログラムの落胆から、翌日のフリースケーティングの急上昇まで飛行機の乱気流かジェットコースターの急降下の恐怖と安堵を味わいつとめて冷静でいようと思いつつも気はそぞろ_この状況を一転させてのこの演技に「感動」の二文字に集約される賛辞しか思い浮かばない。演技が終わった後の世界中から寄せられた浅田真央への称賛のメッセージにまた泣いた。真のスポーツ精神の持つ、「感動」の二文字がこの演技に寄って歴史に刻まれた。1ヶ月後の3月。世界選手権で浅田真央のショートプログラムは、史上最高得点を得た素晴らしい演技を披露してくれた。翌日のフリースケーティングと合わせて世界一の称号が与えられ優勝した。インタビューで”オリンピックで信夫先生にメダルをかけてあげたかったけれどできなかったので今日はよかった”と、話した浅田真央。佐藤信夫コーチも満面の笑顔で浅田真央のメダルを喜んでいるシーンが印象的だった。表彰台に流れる「君が代」に浅田真央が歌う姿が美しい。銀盤の妖精 浅田真央にありがとう