なぜ本マグロに、1億9,000万円の値がついたのか?
豊洲の初競り(はつせり)で、本マグロの最高値に1億9,000万円の値がついた。競り落としたのは、すしざんまいの木村社長。昨年の過去最高値(3億3,000万円)でも、見事に競り落としている。しかし不思議なのは、その価格。いかに素晴らしいマグロであっても、寿司にして売って回収するには無理がある。寿司の売り上げだけで利益を出すなら、一貫あたりの平均は18,000円以上になる。つまり、この仕入れは「絶対に」赤字になるのだ。では、なぜ木村社長は、1億9,000万円もの赤字となる金額で競り落としたのか?投資家の視点から、その理由を分析してみる。理由1:宣伝のためこれが、最も大きい理由だろう。1億9,000万円で競り落とされたマグロは、絶対にニュースになる。テレビでは、CMの何倍もの時間WEBニュースや、YouTubeでも流れる。そこで木村社長が、満面の笑みでコメントする「お客さんに、一番良いマグロを届けたい」最後に、1億9,000万円のマグロの前で、すしざんまいのポーズ。実際に広告費として2億円使っても、ここまでイメージの強い宣伝はできないのではないだろうか?さすがである。理由2:業者との関係一匹のマグロに、1億9,000万円もの値がつく。これは、多くのマグロ漁をする人たちに、夢を与えるはずだ。マグロ業者のモチベーションは上がるし、木村社長の評判も上がる。今年1年、質の良いマグロたちは「すしざんまい」に集まることになるだろう。木村社長は、「先に与える」ことで、利益が集まることを熟知されている。さすがである。理由3:セルフイメージこれは、意外と大きい理由だと思う。日本で最も高額なマグロを、新年の初競りで手に入れる。これはマグロを扱う経営者として、木村社長のセルフイメージを最大限まで引き上げる。「日本一のマグロを買える自分は、日本一の寿司チェーン経営者だ」一年の始まりに「日本一」のセルフイメージができあがる。そして金額が高ければ高いほど、イメージは強く脳に刻み込まれる。これは経営者が、初詣に行く時の感覚に近い。過去の記事でも書いたけど、初詣のお賽銭も高額なほどセルフイメージが上がる。この出来事だけで、木村社長の凄さが解る。1億9,000万円の投資は、すぐにそれ以上の利益として還ってくるはずだ。さすが大経営者は、お金の使い方が上手でカッコいい。ボクも、こういう投資家になりたい。不動産投資ランキング金持ち父さん貧乏父さん改訂版[ ロバート・T.キヨサキ ]