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SOUTAPARK【そうたぱーく】細井草太の家

SOUTAPARK【そうたぱーく】細井草太の家

ゲームリプレイ

XBOX360「バトルフィールド2モダンコンバット」戦闘記録

■第一話

きっと徴兵制のある国では、自分達よりずっと身近に戦争があり
次世代ゲーム機によって生み出された美麗グラフィックで再現された仮想空間で、本物の武器を模した武器を持ち、音声チャットで軍隊のように会話した時、
彼らは本当の戦士となるのであろう。
拠点制圧のスピード。 単独で行動しない統率力。 そして何よりその場への浸透力。

ヌルイ戦争をテーマにした美形ばかり出るアニメで育った自分が
あまりにも無知で弱い事に気付かされた。
戦争のセオリーを知らない自分。
スナイパーの標的。爾来の餌食。手榴弾の受け皿。
どの比喩表現も悲しいほど当て嵌る…。

「ああ、こんな時、基地にガンダムが残されていれば…」
そんな事を考えてしまうダメな自分は中国軍基地に居た。
侵攻して来たアメリカ軍と中華街で対峙している。

「バラバラバラ…」
戦闘ヘリが今正に飛び発とうとしていた。名も知らぬ異国の外人さんが操縦する輸送戦闘ヘリだ。一度に4人は搭乗出来るのだが一人で飛び発ってしまった。
が、自分に気がつき高度を下げてくれた。
それに乗り込み銃座につく。
所々爆撃を受けた基地が見る見る遠ざかって行きビルを超え、高速道路上を疾走するヘリ。横向きに座った僕の視点からは、綺麗な海と小島。港の貨物倉庫と列車が見えていた。
「ピピー」
突然の警告音。これは敵にロックされた時に発せられる通称「死の宣告」だ。

「ドン!」
突然ビルの屋上からヘリに向けて地対空ミサイルが放たれこちらに飛んでくる。
「Avoid!」叫ぶヘリの操縦者。

ビルの陰に急降下。しかし、追尾して来るミサイル。
「ビービ-ビービー」激しく警告音が響く。
自分はミサイルが飛んで来た方向に機関銃で応戦。
「ガガガガガ!」
しかし手応えは無くヘリにミサイルが白煙を上げて見る見る近づいてくる!
「だめだ!」「nooooo!」
逃げようとするヘリの操縦者の旋回方向と横の窓から備え付けの機銃で攻撃範囲の狭い自分の攻撃が合わない。

「もうだめだ脱出する MOVE!Low!」と片言で高度を下げてくれと頼み川にパラシュートで降下。
次の瞬間ヘリは大爆発と共に残骸が港の倉庫の上に落ちる。
付近を見渡しつつ敵の戦車が橋を渡って行くのを壁際でやり過ごし、
少し遠くにある決壊した鉄橋付近から敵基地のすぐ裏の廃工場に辿り着く。
次の瞬間猛烈なスピードで軍用ジープが3人乗りで派手に機銃を乱射しながら敵基地に向かって突進して行った。
自分も小走りに後を追う。
ジープが角を曲がった瞬間
「ドドーン!」
ジープの爆発と共に敵の戦車が姿を現した。3人は即死。ジープの残骸を引きずりながら、こちらに砲塔を向けた。
一瞬、もうダメだと思った…。
しかし、戦車は次弾装填に時間がかかる。しかもジープの残骸がキャタピラーに引っかかり思うように動けない様子だ。
「ガガ…ギキギキ…」
自分は、サッと突撃銃から手榴弾に持ち替え敵戦車に放った。
「ドン!」
しかし、それは小さな爆発だけで敵を破壊出来ない!
戦車から再び砲撃。
「ズドン!」
後ろの壁に命中しよろける自分。
そして次弾装填を待たず敵戦車の上から人が影を覗かせた。
「ガシャ…コン」
120ミリ砲の装填音。もう一度敵が戦車中に戻れば主砲で一撃で遣られてしまう。
激しく機銃を乱射、何発か食らいながらも物陰に隠れ手榴弾を手にした瞬間だった。
「パン!」
狙撃された。
ビルの屋上からスナイパーによって狙われていたのだ。

そんな戦いが24人が入り乱れて一区画の街の中
アメリカ軍と中国軍に分かれて戦う。

軍事訓練など受けていない日本人が戦場で生き残る術は、あまり無いのかもしれないとバーチャルな世界で体験した。
ゲームだけで勘弁して欲しいと思いながら、共に戦った仲間達の為に
また僕は敵に銃を向ける。

■第二話
そこはアラブ系亡国
砂混じりの大地にモスク風の建物、風化した街並み

我々はこの大地を守る為アメリカ軍と対峙していた。
戦略上重要拠点は5つ。
中間地点には円形の屋根が印象的な寺院があり
その前には川が流れ、橋がかかっていた。
当然、車両などはここしか敵陣地に攻め入る方法は無い。
その川沿いに道が伸び敵陣地に向かう事が出来るが当然戦車などの応戦が予測できる。
実はこの道には横に溝が彫ってあり溝板が敷き詰められていた。その溝の一つは敵軍の本拠地へ向かうが途中から二股になっており丘に向かうルートがある。
この丘にはヘリを撃退するロケット砲が2門と対空攻撃用の戦車が常駐している。ヘリ2機を要する我が軍にとっては非常に危険な拠点である。

自分は装甲車を操り橋の手前のポイント制圧に向かう。
友軍は戦闘ヘリ2機で空爆。寺院への集中砲火を行っていた。
友軍と共に拠点を制圧するもヘリはすべて丘の上からの対空迎撃で沈黙。
パラシュート降下で寺院の屋根にへばり付いた者も道なりにやって来た戦車に120ミリを撃ち込まれ動けなくなっていた。
自分達も目の前にかかる橋を渡れば餌食になるだろう事は誰の目にも明らかだった。
相棒は行く気満々だったので自分は装甲車を降りた。
装甲車といえども120ミリ砲を食らえば一撃で吹き飛ぶ。それは目の前で確認できた。

さてどうしたものか。
思案していると一台の小汚い車が目に入った。
何の変哲も無い普通車が砂混じりになって放置されていた。
「コレ乗れるんだ…」
戦闘力もなく装甲も手持ちのライフルですら致命傷を与えられてしまう。アルミの棺桶にしか見えないが徒歩よりはと考えアクセルを吹かした。
お。これは思ったよりもスピードが出る。しかし橋を渡るのは
あまりにも危険。仕方なく川の辺を敵方面に走らせた。
対岸に渡る場所は見つからない。
ボーっと車に乗り砂漠を走っていると戦場を忘れる一瞬がある。
照りつける日差しに霞む建物。南国の木々は砂漠のオアシスを思い起こさせる。

ちょっとした段差を乗り越えるとバウンドしてダメージを受けた。
次の瞬間、
戦車の砲撃と共に一気に戦場に引き戻された。
対岸から戦車が激しく砲撃をして来たのだ。この薄汚いセダン標的だ。
弾はかすめただけだが車にはダメージが入った。
幸いスピードが速いので当て難い様子だが、先ほどのバウンドダメージと合わせるとこのままでは確実にやられる殺られる。
相手より遠くに逃げるほど戦車の攻撃回数は増し命中率も上がって行く。だだっ広い砂漠では隠れる所も無い。

正に絶体絶命。

その時、戦車の砲撃が急に止んだ。
「バラバラバラ…」味方ヘリが空爆を再度開始し始めたのだ。
後退する戦車。それを見てちょっとした事に気が付いた。
川の対岸にも凹凸がありこちら側が高くあちら側が低い所が存在したのだ。
助走をつけてアクセルをベタ踏みし、
意を決して車で川を飛び越えた。

見事に成功した。敵軍の基地に向かいたい所だが先ほどの戦車が道を塞ぎヘリと戦っていた。
道路脇に車を寄せ茂みに隠した。道の脇にある溝に身を降ろし敵基地に向かいたいが先に味方ヘリを落とされないように二股の溝の丘方面を選択。

後方でヘリが戦車を爆撃し仕留めたが丘の上からの応戦で空中で大爆発。

到着し対空兵器の破壊に成功するも4人に激しく応戦され後退を余儀なくされた。
仕方なく敵陣に向かうが出口は敵本拠地の目の前。
ひょっこり顔を出せばプレイリードッグのようなアホ兵士が見えてしまう事だろう。
そこで思い出した。現在対戦は16人で行っている。敵は寺院に2人、戦車に1人、丘の上に4人、味方の拠点が敵に占拠されようとしている事はマップで確認できるのでそこに1人。計8人。
味方も8人。合計16人。
この計算が間違いなければ敵基地には誰も居ない事になる。
行けると思いプレイリードッグは顔を覗かせた。

「ドー--------ン!!!!!!!!!!」

宙に舞う自分の体。目に入ったのは敵の戦車。
何故だ…計算では…。

実はこのゲーム、敵にやられるとそれでゲームオーバーにはならない。自軍の基地から再スタートとなるのだ。
つまり先ほどから激しく自分に攻撃したりヘリと戦って爆発した戦車の乗員が再び戦車に乗ってやって来たのである。

リアルなゲームという言葉自体、非常に矛盾したモノだが
それがピッタリと当てはまった瞬間だった。
どんなに画像がリアルになったとしても、内容はゲームである事の喜びと深入りしすぎない配慮と戦略性を重視したゲームバランスに製作者の思いを感じ取った一戦でした。

■第三話
XBOX360はいつオンラインしても必ず誰かがいる。
それは海外の人達に絶大な人気があるからである。

プレイしているユーザーはみなゲーマーカードと言う名刺のような簡単なプロフィールを参照できる。
お気に入りのキャラクターを表示させたりどのくらいゲームを遊んでいるかなどを表示可能。

気軽にゲームを楽しみたければ [レクリエーション]
真剣にゲームをプレイ [プロ]
ルール無視、何でもあり[アンダーグラウンド]
そして子供も安心して遊べるようにするなら[ファミリー]

という項目をプレイスタイルによって選べる。

今回いつものようにボタンを2回ほど押しオートで適当なサーバーに繋がる戦場で遊んでいると突然
「イアンからゲームに招待されました」
とのメッセージ。

イアンとは前回戦場で共に戦いクランと呼ばれるプライベートチームに誘われていたので何気なくそこに登録していたのだ。
英語圏の彼とのコミニュケーションは難解を極めほぼ意志の疎通は出来ない。
しかしせっかく誘われたので彼のプライベートな戦場へ赴く事にした。
XBOXLIVEの通信が終えるとそこは雪国。
大きな鉄橋があり高い山脈に覆われた小さな街が舞台である
中央には山よりも高くとまでは言わないがかなりの威圧感のあるダムのような巨大な基地が聳え立っていた。

2対1で3人でプレイしていたので私を含めて4人になった。
当然2対2を望んでいるものと思い1人の方に入る。と、
突然自軍のプレイヤーがパーティーを抜けて相手側についたのだ。

そこでゲーマーカードを参照しプロフィールをみると全員すべて
[アンダーグラウンド]
と表記されていた。

そこで自分は決断した。
「やってやるよ。3対1で、鬼畜米英!←古」
そうは言ったものの多勢に無勢。相当な策が必要と少し考えるも敵軍のヘリの音が近づいてくる。
とりあえず制圧拠点に地雷を埋めに行く作戦を取る事にした。
その途中にある巨大な基地で武器を調達し敵軍をけん制する。
路面も凍結しているので戦車の最高時速が大体80から100として
到達までの時間とその速度で突っ込む時のすべりと海外の道路事情から車線を割り出し数箇所に設置。
纏って配置してしまうと融爆するのでなるべくはなして配置するように心がける。

十字路と制圧拠点に数個仕掛け終わった所で上空に
ヘリが到着してしまった。

急いで高台に非難するも激しく応戦される。
その時、目に飛び込んで来たのが
「緑色のセカンドバッグ」
それが真っ白な雪の上に転がっていた。

実はこのゲームは敵を倒すなり倒されるなりすると自分の装備を落としてしまう。それがこのバッグ。
鉄橋の下にあると言う事はおそらくパラシュート降下に失敗したのかもしれない。

早速近寄って装備してみると重歩兵からスナイパーとなったのだった。
RPG的に言えばジョブチェンジと言った所か。

スナイパーはロックオンする事で敵に誘導ミサイルを打ち込む
レーザー目標指示システムを持っておりコレでヘリを追尾すると、
轟音を立ててヘリは山の裏側に回り込んだが、
敵を感知するレーダーも持っているので山の向こうに消えたヘリをそれで索敵。それと同時にスモーク弾で煙幕を張り山伝いに移動する。

そこには小さなトーチカがあり機銃が備え付けられていた。
自分を倒そうとヘリが旋回し高度を下ろした時ヘリに向けて機銃照射。
ヘリは大爆発した。
「1つ」
自分はガンダム世代なのでつい心で思った。
さらに山を越えると結構な装備がある基地に辿り着いた。
ここが自軍の拠点であった。
戦車、装甲車、弾薬の補充と至れり尽せり

早速得意とする戦車に乗るもNATO軍戦車はどうも軽い印象。
中国製の戦車は撃たれ弱いが適度に重く扱いやすかったのだが…。
(市街地で戦車1対で20人を相手に勝った経験がある。生身よりも自信があるのだが。)
キャタピラの回転が思うように行かないのは雪道の為なのかもしれない。すべりまくりそのまま凍結した川に滑り込んだ。硬く普通の溝となっていた川なので安心したが、それと同時に制圧地点が赤く点滅し始めた。
敵だ。
川を山添から上がりそのポイントに120mmを叩き込んだ。先ほど仕掛けた地雷と融爆し数秒で敵戦車を撃破。
「2つ!」
地雷に引っかからなかったのは予定外だったがそのままダムのような基地に向かう。
到着するとそこには迎撃指令コンピューターが配置されていた。
しかしマップ上にそのマークはあるものの見当たらない。
ん。大きなシャッターが半開きになった奥に階段を発見ビル3階にも匹敵するような無骨な鉄の階段だった。
そこを登ると迎撃用コンピューターを発見。全体マップと衛星写真のような感じで敵の動きもすべて見える。
どうやら最後の一人と復活したもの達が戦車2台に分乗しこちらに迫っていた。そこにゆっくりと大きな十字の枠を合わせ
「ポチッとな。」←タイムボカン世代なので。
赤いボタンに手をかけた。
「3つ!」
「4つ!!」
その後も彼らとの戦闘は数分続いたが
自分の地雷に次々と爆破。
先ほどの基地で得た対空戦車でヘリをなぎ倒し
スナイパーで鉄橋に常駐した相手も…

外国人3人を相手に圧勝した自分は本当の鬼畜は自分だったのではないだろうか?
戦争とはなんと無益な事なのかと改めて痛感しつつもアンダーグラウンドを自称する海外のプレイヤーからクランの誘いは未だに続き呼ばれればそこに出向いてしまう自分がリアルからゲームに変わっても戦いに魅せられるのは、いつの世も男なのだなと感じた戦いでした。

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■第4話「伝説の男レジェンディ」

今日は相棒とプライベートチャット(お互いの音声のみ通信)をしながら戦場へ。
戦いの場所は、ホームグラウンドと呼んで良いほど手馴れた中東ステージ。
賢明なるそうたはぅす読者の皆さんならもうお気付きの事と思われるが
車で川を飛び越え道路脇の溝から敵基地に向かいプレイリードックのように頭を
出した途端に狙撃されたりするステージである。

このゲームの特徴として1度戦ったステージでは前回戦った爪あとが残る。
砲撃や銃弾などが至る所にあり激戦のポイントは一目でわかる仕組みになっている。
それを利用して地雷を巻くと弾痕か地雷かの判別は難しくなり戦闘工兵を得意とする
自分には正に絶好の狩場となる。

相棒との交信。
相棒「そうたさん今日はどうします?ヘリ出します。乗りますか?」
そうた「乗るよ~まって」
相棒「OK。自分は川の前のビルで降りますよ。」
そうた「了解~搭乗完了~発進OKです!」
ヘリは独特の動きでゆったりと浮上し敵軍の方角へ移動を始めた。
感性が働いて操縦は複雑で敵に撃ち落される前に電線に引っ掛り墜落してしまう事もある。
目を下にやると爆音を立てて味方のジープが各拠点の制圧に向かっている。
道成に車を走らせる者、ワイルドに山を越える者、そしてヘリで移動する者。思い思いに戦略拠点を目指す。

主にプレイヤーは秋葉原で良く見かける身長2メートルくらいの外国人プレイヤーだと推測。
遠く離れた地で同じゲームで共に戦う仲間と言うのはなんとも風情があって良い。
それが例え敵で対峙したとしてもである。

「シュン!」

敵の砲撃が霞めた。

一気に気持ちが高揚する。戦車が川向こうから鋭い威嚇射撃。
その弾速でヘリは傾く。ビルの上空に到着した瞬間相棒は叫んだ
「降ります。」
スナイパーがパラシュート降下を始めた。
自分は後部座席に座っていた。搭乗者は2人。そのうちの一人が飛び降りたのだ…
ヘリのローターは回転が止まり急激に高度が落ちて行く。
「チョッ」
あわてて操縦席に移動し体制を立て直すべくエンジン全開。ローターは再び回転を始めプロペラ音が唸る
「ギュィィィィィィィィン」
しかし、傾いたヘリの軌道そのままにビルに直行!
「ダメだ」
と判断した瞬間、脱出を試みる。パラシュート降下出来る高さでもなくなっていたが、開いて脱出。
不運な事にパラシュートがヘリのローターに絡みつき…
「ドーーーーーン!」
ビルに激突し大爆発。残骸と共に路上へ投げ出された。

相棒「あーあ。やっちゃった…」
草太「ちょっと遅かったわ。わはは」

再び発進する自分。今回はジープで直接相手の基地を目指す。
相棒はビルの上から1人1人を狙撃。確実にポイントを稼いでいた。
フルスロットルで唯一の通路となる車両2台が通れる大きな橋に差し掛かった時、
向かいのビルの壁からエンジン音をけたたましく鳴らしながら何かが近づいてくる…
「ブロロロロ…」…

橋向いのT字路の真ん中にある行き止まり、一見壁にしか見えない1階建てのビルの天上部から
爆音と共に猛スピードでジープが飛び降りてきたのだ。
「ブォン!!」
橋からまっすぐT字路に進行した自分の車の天上部を霞め、飛び越す形で味方基地の方に突っ込んで行った。

奴が現れたのである…

そう、ヤツの名は「レジェンディ」…伝説を自称する男…

今、自分が車を降り戦闘工兵のバズーカでジープを攻撃すれば一撃で倒せたが
あちら側には味方が多数いる。相棒も狙撃兵なのでと思い最重要拠点の占拠に向かう事にした。

そうた「5番に向かう。そっちにジープ行った!」
相棒「了解。狙撃する」

まるで公園で楽しくプレイしている自分達には、この判断が今までに
味わった事の無い悪夢の始まりだと言う事は知るよしもない。



■第5話「伝説の男レジェンディ (中」

もしもこの世界で伝説となる男がいるとしたら
それは並外れた経験と知恵と判断力の持ち主ではあろうが、
自らを伝説と称する者はどうなのだろうか?
過信こそ伝説になる為に絶対超えなければならぬモノではないのか?

中東の空気と荒廃した建物が点在する路地裏に
機関銃を載せた砂漠色の戦闘用ジープで身を潜めた自分は
先ほどすれ違ったレジェンディと言う名のプレイヤーの事を考えていた。
ビルの上から飛び出してくる鮮烈な登場とその異質な名前。
その一つは程なく解決した。裏側はまるで滑り台のように傾斜していたのだ。

伝説にはカラクリがあったのだ。

あとは異質な名前だが、そんなモノは過去に何人も見て来た。
神、最強、無敵…それらは、皆、上手くはあるが、それほどの力があるとは思えなかった。
完全に名前負けと言った印象。無論それをオモシロと狙った者も居る。
そんな事を考えながらジープを走らせていた時、相棒から通信が入った。
相棒「レジェンディを狙撃中……ピシュン…ガチャン…外した…もうちょっと…」
このゲームは車の窓などを撃つと直接人間にダメージを与える事が可能で
スナイパーライフルならば一撃で仕留める事も出来るが、当然走行中は難易度が高い。
相棒「くそっ…ピキュゥン…」
相棒の狙撃音が止んだ…ムキになった相棒はレーザー目標指示装置で車にミサイルを投下させるよだ。
どんな装甲の硬い戦車だろうが動きの速いヘリだろうがコレに捕まっては呼び寄せた誘導ミサイルでイチコロである。
相棒「ピッ!」「捕らえた!!」
上空からミサイルが落下。次の瞬間レジェンディの乗っていたジープは爆発した。
そうた「おおっ」
しかし、相棒にポイントが入る事は無かった。
瞬時に脱出したようだ。
「ピシュン…ガチャン…ピシュン…ガチャン…」
それにすぐさま反応した相棒は無言で走るレジェンディを撃ちまくっていた。
無言だった相棒が弾奏交換中に一言呟いた。

相棒「あいつ、俺らのヘリに乗る気や…」

レジェンディの目的が解かった瞬間だった。
そう彼は我が軍の本拠地にあるヘリポートへ向かっていたのだ。
このステージでは敵軍にヘリは存在しない。その代わりに戦車や対空兵器などが支給されている。
自軍には戦車は無くヘリが最強の兵器となっているのである。
味方が応戦するもレジェンディを阻止できずレーダーから味方の反応が次々と消えて行く。

相棒「だめだ味方やられた…へり…取られる…」
「キュイィィィン…バラバラバラ… 」
ヘリが上空へと舞い上がった瞬間である。
-伝説の開始を知らせる音でもあった-

「シュンシュンシュン… 」
上昇しつつミサイルをばら撒きながら高速で何処かへ向かっている。その進行方向は…

相棒「ヤバッこっち来た!!」

先ほどからしつこく攻撃をしていた相棒に向けてヘリのミサイルが大量に叩き込まれた。
「シュンシュンシュン…ドガーン!! 」
地上からは無敵と言ってよいほどの2階建てビルもヘリから見下げれば動かぬ目印付きの標的に過ぎない。

相棒「やられましたわ~」
相棒は仕方ないと言う感じで基地に送還し再び発進の準備に入った。

自分はその隙に岡上にある拠点制圧を実行。フラッグ下で数十秒居る事で敵から無属性へそして自軍の占拠となる。
その間マップ上では、マーカーが点滅し敵軍が占拠を実行している事は解かってしまう。
注意を払い辺りを見渡す。

そうた「5番取った。もうすぐココから発進可能になるよ。援軍として5番からよろしく」
占拠完了。ここから友軍が発進可能となったのだ。

相棒「あっもう基地の方に出ましたw…あっちなみに、そっちレジェン行きましたよ!」
そうた「うっそ!」
目線を味方基地方向にやるとヘリの姿は無い…
幸いここ5番拠点には多数の対空兵器が設置されている。
対空砲に座りレジェンディを探すが見つからない…と思った瞬間だった

「バラバラバラ…」
微かなヘリのローター音…辺りを見渡し後ろを振り返った瞬間。

「バラバラバラ…」
そこには超低空を砂を巻き上げながら接近するヘリ。しかも対空砲の有効射程高度ギリギリで飛行している。

こちらは攻撃できない。

しかし、相手もあの低空ではミサイルを発射した所でバリケードや木々に当たってしまうはず。

「シュンシュン…ドガーンドガーン… 」
激しくミサイル攻撃が開始された。

大丈夫だ!もう少しひきつければ高度を上げざるをえない!
自分の真上に来た時ミサイルロックを開始した。
「ピッピッ…ピィーーーーーーーーー 」
そうた「ロック完了」

「ズドーン! 」

自分の操縦席のすぐ脇からミサイルが射出された。
スナイパー兵の持つレーザー目標指示装置よりも命中精度も良く追尾能力も高いそのミサイルは
ヘリ目掛けて飛んでいった。が、レジェンディは急に速度を落とし旋回を始めた。
するとどうだろうミサイルは当たらずヘリの周りを回転し始めたのだ。
2発、3発と発射するもまるで大道芸人がジャグリングをしているような感じでミサイルは命中せず
レジェンディが再び高度を下げると全弾地表へと自滅の道を辿ったのである。まるでレミングのように。

「BLOOOOOOOOOOOOOOOOOM!」
そうた「えっ!」
レジェンディに気を取られ椅子に座ったままだった自分は後方から来た戦車に葬られた。
そうた「くそっ!」
奴を倒すまでは終われない…せめて奴のヘリだけでも…。再び出撃を試みる自分は熱気に満ちていた 。

つづく


■第6話「伝説の男レジェンディ (最終回」

このまま奴のレジェンディ伝説を伝説として終わらせる訳には行かない。
しかし伝説は圧倒的な強さで私達に襲い掛かって来るのであった。

先ほど占拠した5番は、いとも簡単に取り戻され自軍の基地で復帰を余儀なくされた。
復帰まではゲームの性質上10秒を要した。
その間ランキングに目をやるとレジェンディの得点がみるみる上昇して行く30、32、35…

10秒経過し本拠地から発進した自分の瞳に映し出された光景は正に地獄であった。
破壊された装甲車とヘリの残骸、倒れている兵士と大量に打ち込まれるミサイルで足止めを食らう味方。

「生きてますか?」

相棒からの通信は正にこの場の状況に適した一言だった。

そうた「生きてるよ。今ヘリポートの裏に周ってホフク前進」 
相棒「レーザーターゲットロックオン…これでレジェンディも終わりや」
「ピッピッピィーーーーー」
-再びミサイル誘導を試みる相棒-

そうた「だめ。無理。レジェンディ避けるよミサイル」
相棒「いやいや!もう落ちます…ほい来た!!…ってアレ!あたらへん!!!!!!!」
先ほどの5番での戦いと同じくミサイルは、いとも簡単に避けられてしまった。

そうた「そうなんよ。あいつ避けるよ。ムチャクチャ、ヘリ上手い…」
相棒「マジデェ…ありえへんわぁ…」

今回、自分は一つ策を思いつき、使い慣れた戦闘工兵ではなく、特殊部隊の兵となり出撃していた。
移動速度がもっとも速く…なにより閃光弾を使用可能な点に注目したのだ。
これは攻撃力は無いが投げると太陽よりも眩しく発光する。
それが視界に入った者は一時的に視界が真っ白になるのである。

遊園地のアトラクションのように一定の速度で上空を旋回しつつ攻撃を繰り返している戦闘ヘリ。
そうた「レジェン!」「ふんぬ!!」
その軌道上に思い切り閃光弾を投げつけた。

「パキン!!」

閃光弾はヘリのコックピット手前で爆発。これで相手の目は潰れたはず。
しかし、レジェンディは建物への激突を防ぐ為、少し上空に位置を変えレーダーを頼りに攻撃を繰り返した。

作戦は失敗した。

過信していたのは自分であった。通路裏の傾斜、敵への最短ルート、ヘリの操縦技術。
それらは自分の想像を越えた強さだったのである。ただそれだけである。
そう、伝説にはカラクリがある。しかしそれは知り得た者のみが使える仕掛け。
自分の無知を実感しつつ、もうダメだと思ったその時だった。

ヘリの様子が明らかに変わった。攻撃は続けてはいるが…何かがおかしい。明らかに味方の居ない方向を撃っている。
効果はあったようだ。放置してあった車にあっさり乗り込んだのだが、見えていない様子で攻撃は、なおも一定方向に注がれていた。

「ブロロロ…」
一心不乱に車を猛スピードで走らせ荒れた丘を駆け下りた。

近場の拠点だけでも奪還しなければと思った瞬間だった。
「ズドーーーーーーーーーン!!」
上空でヘリが大爆発した。

味方がヘリをなんとか撃ち落とした。
相棒「やった!…レジェン遣ったよ!」「whaoooo」味方兵士も歓喜の叫び。
そうた「おおお!」

低空を飛行していたのには訳があり、実はヘリポート上空で回復が可能なのである。
しかし高度を上げ目が見えない状態になった所を四方から攻撃されて撃墜されたのだ。


一気に戦場の空気が穏やかになるがまだ戦争は終わっていない。
相棒は再びヘリで発進。途中でヘリを乗り捨て所定の場所へ。

相棒「またさっきのビル上に到着。今度はヘリ来ないやろ…」
そうた「ワクワクするなぁ強い人とやると。今、一番近い拠点制圧中。」
相棒「そうかなぁもういややけどなぁ…メッチヤ尊敬してるヤン自分。。。」
そうた「そうだね。すべての人とは思わないけど少なくとも自分の伝説にはなったね」
そうた「次にあった時は…」
ビルの上と車で交信していた時…相棒が叫んだ。
相棒「レジェーン!レジェン来た」
そうた「どこ!」

「ブロロロロロロロロロロロ!!…ゴン!!!!!」

相棒「あれ?…様子変やで……めっちゃ自分から壁にぶつかっとるで…」
そうた「…ん?…どうしたんだろうね…」
壁にぶつかった車は思うように操縦出来ない様子だった

「パシュン」
スナイパーライフルから銃弾が放たれた。

相棒「まぁ倒した」

レジェンディはあっさりと相棒の銃弾に倒れた。それは今までの彼とは別人だった。

その戦いはレジェンディが他のプレイヤーの倍以上のポイントを取得して我々は敗北した。
後日、自分が閃光弾を受けて解かった事だが再出撃しても時に目が元に戻らない事があるようである。
バグなのか仕様なのかは解からないが何度かそのような状況になった。

その後レジェンディの姿は数回見かけたがレジェンディを超える者達が大量に現れ、その存在感は薄れて行った。
しかし、そのすべてに言える事は上手くなるには必ずカラクリがあると言う事。
勝利の法則を創り出せた者は名前はどうあれ、誰しも伝説と成り得る可能性があるのである。

新たなる伝説の男、それはこれを読んでいるあなたが呼ばれる通称なのかもしれない。


レジェンディ伝説 完


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