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カテゴリ:北朝鮮の話し
北朝鮮で金日成、金正日の肖像画が掛かっていない部屋は、ほとんどない。北朝鮮で指導者の肖像画は、掛けて置くと表現するのではなく、仕えると表現しなければならない。学校の教室にも肖像画が正面に掛けてあり、北朝鮮の子供たちは小さい時から肖像画と共に育つのである。 ところで、教室や部屋に掛けられた肖像画は、単に掛けられているだけではない。埃が溜まらないように、毎日磨かなければならない。これを北朝鮮では、「毎日、忠誠心に小さな埃も溜まらないように、反省しながら磨かなければならない」と宣伝する。肖像画を磨くことを「真心事業」と言う。毎朝、掃除当番が肖像画を磨くが、何時も掃除の前に、必ず肖像画から磨かなければならない。 肖像画を磨く最高級(?)の雑巾を入れて置く箱が、教室毎に必ずあるが、この箱を「真心箱」と言う。労働党に入党するために、忠誠心があるということを証明する一番手軽な方法も、毎朝職場に出かけたら、肖像画からまず先に磨くことである。 学校や職場ではない一般の家庭に掛けられた肖像画は、見る人もいないし、家族しかいないので、毎日熱心に磨く人は精神病の患者に他ならないだろう。しかし、節日になると、労働党の幹部たちが家庭を回りながら、肖像画の埃を検閲をする。肖像画の上に小さな埃が発見されたら、その家族は忠誠心が不足だという理由で、処罰される。 幸いにも、党幹部たちは自分の部下の家に埃が沢山溜まったら自分も処罰されるので、検閲は厳しくない。このような検閲があるときは、密かに職員を先に送って、家ごとに通知することになっている。肖像画を掃除する時間を与えるのである。しかし、その時家に誰もいなくて連絡が受けられなかったら、取り締まりされて、処罰される。 火災が起こったら、肖像画を取り出そうとして(北朝鮮では肖像画は「取り出す」と言わないで、「救出する」と表現する)、中に入った人が皆死んでしまう場合が多いが、決定的な理由は他にある。肖像画は単に壁の釘に掛けられているのではない。「真心事業」をする過程で、間違って、或いは地震などで落ちたりしないように、裏を紐で釘にしっかりと縛り付けられているのである。 ところで火災が起こったら、家の中に煙が充満してしまい、目が見えなくなり、焦ってしまい、肖像画の裏の紐を解くの難しくなる。だから、大抵、大急ぎで引っぱって紐を切るが、その紐がすぐに切れなくて、窒息死してしまう確率が高い。このような理由から、北朝鮮では火災が発生したら、肖像画を取り出そうとして、死ぬ人がよく発生するのである。 かといって、紐で縛って置かない訳にはいかない。子供がいる家庭は、子供たちがいたずらをしたり、または他の理由で肖像画が落ちることもあるからである。金日成、金正日の肖像画を壊したという理由で捕まり、管理不届きという理由で捕まり、火事の時にこれを救出しようとして死に…北朝鮮という所は、肖像画のために多くの人が死に、怪我をする。火災が起こって肖像画を救出することが出来なかったら、政治犯収容所に送られることもあり得るので、そのまま逃げ出すこともできない。 肖像画を磨く時も、必ず「真心箱」に保管されている派手で清潔な雑巾で磨かなければならない。もし、ただの雑巾で肖像画を磨いて取り締まりされたら、運が悪ければ、すぐに政治犯収容所に送られることもあり得る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年11月13日 09時18分38秒
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