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2007年05月11日 楽天プロフィール Add to Google XML

アルゴリズムの時代04:メディアの存続と表現の自由の相克
[ アルゴリズムの時代 ]    

日本新聞労働組合連合会のイベントが近づいている。
そのサイトから、私のブログに来る人も少なからず存在するはずだ。
その方々にとって、アルゴリズムという言葉に興味を感じないのかもしれぬ。だが、アルゴリズムという概念が、これからのコミュニティーでのコミュニケーションを語るについて、外すことのできない概念であることを確信している…。



東京財団の「それから」研究会は、日本の新聞の未来を探るものだった。
私は、「メディアがある限り言論統制・言論弾圧から免れない」という言論を提出し、2ちゃんねるが存亡の危機を迎えていることを危惧するとともに、既存メディアも同様の危険を孕んでいると指摘した。

私のネット上の知人であるマスコミ者は、自分達に都合の悪いことがあると、同僚たちは、「言論の自由」を持ち出すと嘆いていた。
巷間、メディアが喧伝する「言論の自由」に反する事例の多くが、メディア人たちのルサンチマン(怨念)の現出ではないか。と、私は感じている。
その理由は、メディア人たちが、自らのステークホルダー(自己の利益を守る・損害を避ける)のために、軽々と「言論の自由」の理想の旗を降ろしているからである。

そのことを、インターネットは如実に現してしまう…。



la causetteさんのブログに、「diggにおける反乱」というエントリーがアップされた。

Diggとは、英語圏ではユーザーの多いソーシャルニュースサイトである。
その体裁は、私が理想としている市民参加型ジャーナリズムの形に近い。

まずトップページがあり、次に、個別の記事に飛ぶ。個別の記事は、diggのサイトであり、そこではコメントによるコミュニケーションが図られる。

記事は、外部のサイトとリンクしている。外部サイトでは、diggとアイコンがあり、ニュースサイトとのリンクを明示している。
これは、ブログにおけるトラックバックなどが果してしまう、情報の上流・下流をイメージさせない。とても、フラットなリンク関係を明確に示している。

上流は、沢山の人たちに閲覧されるが、要約されているが薄い内容。下流は、少数の人にしか閲覧されぬが、豊富な情報。二つのエレメントが対称的なパラメーターを成しているため、上流と下流はフラットである。


この精神が、日本のインターネット市民記者メディアには欠落している。

*

仔細は、la causetteさんのエントリーに行っていただければ分かるのだが、私が要約すると次のよう…。

diggに、HD-DVDのコピープロテクトを打ち破る暗号キーの情報が掲載された。
この暗号と何らかのプログラムを使えば、コピイプロテクトがかかった市販HD-DVDソフトをコピイすることができるのだろう。

当然のことながら、HD-DVDの業界から情報の削除依頼が来る。そして、diggの運営者・管理者も即刻削除する。だが、一度、掲載されてしまった暗号キーは、多くのユーザーたちにすでに保管されている。
コピイプロテクトは、著作権者にとっては必要不可欠なものだが、ユーザーにとっては窮屈なものである。
それは、コピイ&ペイストが専らなインターネットの現実とは遊離しており、インターネットの理想とは相容れない。
著作権者の存亡を危うくする大量コピイや大量流通は許されないが、ソニーの盛田氏がカリフォルニアの法廷で戦って勝利したような、「私的な利用においては認められるべき権利」ではないか…。

そのようなユーザーの思いは、diggの運営・管理者が何度も暗号キーを削除しようとも、再度、暗号キーをdigg上にアップするという行為になって、現れた。

diggの管理・運営者は、サービスの停止をするか、巨額の賠償金を負うという2者択一を迫られている。
だが、ユーザーたちは、そのよなコミュニティー存亡の危機とは無縁である。
ユーザーにとって、ニュースサイトは無数にあるし、diggが無くなれば、代替物を探せばいいだけの話である。


この状況こそが、「表現の自由」の名のもとに、メディアが崩壊する事例である。

そして、そのことは、既存のメディアたちがなぜ、存続できてきたかを暗示する。
そもそも、既存のメディアは、「表現の自由」とは無縁なのである。



そのように、メディアが存在することが、著しく「表現の自由」「言論の自由」と乖離さぜるを得ないと悟ったとき、メディア者たちの存在を唯一肯定できるものは何かといえば、それは、ユーザーにとって納得できる「表現の自由」の制限であり、「言論の自由」の制限である。

奇しくも、運営者は、「いままでも、ポルノや暴力・憎悪に関する言論については言論を制限してきた」と明かしている。
それは、そのような制限を肯定してきたユーザーが、こと「表現・言論の自由」に対して、拘泥する論理矛盾の指摘かもしれぬ。



根本的な原因は、diggというサイトが、フラットなアルゴリズムによってユーザーを扱っていることにある。

これにより、ユーザーコミュニティーは集団的合意が成立せず、個の意見が孤立したまま、漂ってしまう。

結果、どんなに管理・運営側が禁忌情報を削除しようとも、匿名の個たちが情報をアップするということが続いてしまうのである。


あるべきは、集団的合意をもとに管理・運営をなすことである。

その合意がないから、メディアは終末を強いられる。

*

ならば、フラットなユーザーコミュニティーのアルゴリズムを変革しなければならない。

ツリー状。または、ヒエラルキルなアルゴリズムの並存によって、ユーザーの集団的合意を形成させなければ、diggは消滅してしまうに違いない。

*

diggのビジネスモデルは、現時点で考えうる理想のニュースサイトの形態である。

だが、それが問題を孕んでいることが、今回明らかになった。

これは、単にニュースサイトの問題ではなく、CGM全般についての問題であることは言うまでもないだろう。

07sponta





Last updated  2007年05月11日 10時38分12秒






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