狂人ブログ　～旅立ち～

　いつもながらリュック・ベッソンとは、非常に「分かりやすい」映画人だと思う。
　監督にせい原案にせい、基本的にやってる事は同じながら、間違えた物が出てくる事がほとんどなく、常にこちらの期待値か、それ以上の作品を提供。多少好みが分かれる事を考慮しても、言うならば松屋か吉野家のように、常連客に嬉しい定番メニューで楽しませてくれる。
　浮き沈みの激しい映画業界において、実に稀有な御仁である。邦画界で強いて挙げるなら、三池崇史氏辺りが近いといえば近い気もするが、当たりハズレが大きいという点では、あちらは大阪府内の餃子の王将の方が近いかもしれない（笑）。


　ムダ話はさておき。
　そんな「トランスポーター」「ＴＡＸｉ」「９６時間」のリュック・ベッソン（原案）×ピエール・モレル（監督）コンビがまたまたぶっ放すのは、これまた分かりやすいバイオレンス＆アナーキー＆エスプリ満載アクション・バディムービー。
　ジョン・トラボルタ演じる破天荒スキンヘッド捜査官と、ジョナサン・リース・マイヤーズ演じる頭脳明晰ながら小心者で普通人のＣＩＡ見習いが、パリの街を舞台に、悪党に中指を突き立て、罵倒し、銃を乱射と大暴れ（主にトラボルタが）。飲む・打つ・買うは当たり前、必要とあらばコークをキめ、一般市民を巻き込み、お約束のカーチェイスで街中しっちゃかめっちゃか（主にトラボルタが）、オマケにロケットランチャーまで発射と、ファンも納得・安心、老舗の味（笑）。
　また、トラボルタとジョナサンの掛け合いも面白く、ちょっとした小ネタや、様々な映画のオマージュに思わずニヤリ。「００７ロシアより愛をこめて」のパロディのようなタイトルながら、実は本編の格たる部分を表している点もまったくニクい。
　もちろん、アクションだけでストーリーはスッカスカ、なんて事もなく、多少強引な点がないわけではないものの、サスペンスとしてもなかなかの完成度。

　あえて苦言を呈するなら、チェスの達人というＣＩＡ見習いの設定を、もう少しうまく使ってほしかった気もする。「コードギアス」よろしく、他の捜査官を駒に見立ててモニターを見ながら指示を出せ、とは言わないが、そういう役割もトラボルタが一手に引き受けてしまったのは惜しい。

　とはいえ、やはりリュック・ベッソン映画は「何も考えず、頭を空っぽにして観る」のが作法であるので、多少のムチャは目に瞑るのが妥当かと思われる。
　ぶっちゃけ言うと、本作についてこれ以上語る事はなんにもない。繰り返すが、内容の複雑化、難解化が正義となって久しい昨今、これだけやりたい放題暴れまくって、尚且つエンターティメントとして成立させられるリュック・ベッソンは、本当に貴重な映画人である。
　とにかく、無条件にスカッとしたい人、ジャンジャンバリバリのドンパチが観たい人、何も考えずに劇場に飛び込んでいただきたい。満足は保証する。


　そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

　☆☆☆★★＋＋＋

　星３つプラス３つ！！


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