COX-2選択的阻害剤の用途COX-2選択的阻害剤には、Wikiの非ステロイド性抗炎症薬に『前述のようにCOX-1/2をともに阻害すると消化管の障害が出現するため、COX-2選択性の高い薬剤が開発された。しかし、血小板凝集抑制作用のあるプロスタサイクリンがCOX-2阻害により減り、相対的にトロンボキサンA2の働きが強まり、血栓傾向が高まり心血管事故が増える事が知られrofecoxib(Vioxx®)は自主的回収になった。』 とありますように、心血管事故の副作用の可能性が常に付き纏います。 このため、当初の目的の関節炎の様に、長期間投薬が必要な疾患にはややもすると不都合な場合がありますけれど、この副作用が有利に働く疾患も存在します。 googleでキーワードを単純に『COX-2選択的阻害剤』として検索すると、この様な結果になります。 半数近くが、がん関連です。 多くのサイトで解説されていますけれど、分かり易かった京都府立医科大学呼吸器外科のNSAIDによるCOX阻害について から抜粋します。 『シクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2)により産生されるプロスタグランジンは、がん細胞に栄養を供給する腫瘍血管の新生を誘導することによって、がん組織の成長促進に関与していることが指摘されている。 ヒトの大腸がん、乳がん、前立腺がん、肺がんの生検組織の中にあるがん細胞のみならず、新生した腫瘍血管の細胞においてCOX-2は発現していることが報告されている。 一方、COX-1はがん組織のみならず、正常な組織にも広く存在していて生理機能に重要な役割を果たしているので、その阻害は多くの副作用を引き起こす。 したがって、COX-2を選択的に阻害することは正常組織への副作用がなく、がん細胞の増殖を抑えることが期待できる。』 『Celecoxibは強い血管新生阻害作用を持っており、ラットの血管新生の実験モデルにおいて、角膜の血管新生はCOX-1阻害剤では抑えられないが、COX-2阻害剤のCelecoxibでは抑制されたと報告されている。』(Antiangiogenic and antitumor activities of cyclooxygenase-2 inhibitors. ) 先程のgoogleの検索結果にも多数見受けられましたけれど、国内での研究も盛んに行われているようです。 (新しい肺がん治療法の開発に向けて (愛知県がんセンター) がん化学予防の最前線 (国立がんセンター研究所がん予防研究部)) 最近よく知られるようになったと思いますけれど、一般に抗癌剤は癌細胞を攻撃すると同時に、正常細胞をも攻撃する等、大きな副作用(免疫系へのダメージ等)があります。 そのため、イレッサ やリツキサン(リツキシマブ) の様な分子標的治療薬の開発も行われています。(分子標的治療薬について (PDFです)) 犬は比較的よく抗癌剤に耐えうると言われているようですけれど、それも限度というものがありますので、副作用の無い制癌剤があればそれに越したことはありません。 Celecoxib(セレブレックス/セレコキシブ)はヒトの癌に対しての効果が幅広く検証されている最中で、抗癌剤や他の薬剤・療法との併用や対象となる癌の種類の特定などで、犬や他の実験動物に対する効果が必然的に検証されて行きます。 例えば、犬ではありませんけれどThe Cyclooxygenase-2 Inhibitor Celecoxib Is a Potent Preventive Agent in the Min Mouse Model of Adenomatous Polyposis (PDFです)は、 腺腫性結腸ポリープ症に対するCelecoxibと非選択的非ステロイド性抗炎症薬のpiroxicamの効果や副作用を比較研究したものです。 Celecoxibは早期段階(腺腫発現前)でも後期段階でも劇的な効果を示した、ということです。 COX-2 expression in canine and feline invasive mammary carcinomas: correlation with clinicopathological features and prognostic fmolecular markers は、Celecoxibの効果ということではありませんけれど、犬と猫の浸潤性乳癌におけるCOX-2と血管新生の相関関係を検証したものです。 一方、犬用のCOX-2選択的阻害剤であるderacoxibに付いては、あまりレポートと成果が目に付きません。 今のところ、抗炎症剤としての効果を検証したものが非常に目に付きます。 Investigation of the effects of deracoxib and piroxicam on the in vitro viability of osteosarcoma cells from dogs の様に、骨肉種に対しての効果を検証したものが多少ありますけれど、成績の方も目立ったものは見られない様です。 まずは人間の癌に対してのCelecoxib(セレブレックス/セレコキシブ)の適用範囲や方法(併用等)の整理が付いて一般に受け入れられるようになってから、ということでしょうか。 (piroxicamに付いては、日本臨床獣医学フォーラムの腫瘍性疾患関連でも紹介されているように、かなりレポートは出ています。 ある程度の効果は上がっているようです。 『28.腫瘍に罹患した62頭の犬におけるピロキシカムの第1相試験 Phase I trial of piroxicam in 62 dogs bearing naturally occurring tumors』 『29.膀胱移行上皮癌の犬34症例に対するピロキシカム療法』 Piroxicam Therapy in 34 Dogs With Transitional Cell Carcinoma of the Urinary ) ジャンル別一覧
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