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Mar 16, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
「佐吉、お主の心意気はかう、じゃが内府に匹敵する大軍が集められるか。
 
合戦とは拮抗(きつこう)する戦力がなくては勝てぬ、その戦略があると申すか」

  大谷刑部が盲目の視線を三成にむけ訊ねた。

「ある」  童顔を朱色に染めた三成が決然として云いきった。

「まことに、あると申すか?」

「それがしも五奉行の筆頭、すでに大老の毛利輝元殿と宇喜多秀家殿の内諾は

頂いておる」  「承諾なされたか?」  三成が頬をくずした。

「四国の長曾我部殿も、参陣を決意なされた。さらに西国大名の大半も調略いた

し、信濃の真田昌幸殿も我等の味方じゃ。・・・・そこでじゃ」

  三成が言葉を切り、直江山城守をみつめた。

「申されるな、我が上杉の決起が必要にござるな」

「左様、会津百二十万石の景勝さまがお味方に、加わって頂けるなら必ず勝てま

す」  三成が兼続の眸を覗きこむようにして言葉を添えた。

  直江山城守と大谷刑部が言葉を失っている、まさか、三成がここまで調略を

進めておるとは思い及ばぬことであった。

「合戦の予定地は何処とお考えか、それにより上杉の方針も変わります」

「美濃の関ヶ原を予定いたしてござる」  三成が打てば響くように断言した。

「あの地なら良い。早速、我が主人に言上いたしましょう」

  兼続と大谷刑部は、三成の戦略眼の正しさと壮大な計画に瞠目した。

  徳川勢の直営軍団は二つに分かれる筈、一軍団は家康みずから率い、江戸

からの軍団は、秀忠を総大将として信濃をぬけ関ヶ原にむかう、そうなれば信濃

の真田昌幸の出番が来る。

「佐吉、当面の荒武者対策はいかがいたす」

「紀之助、五奉行を辞め佐和山城に逼塞(ひっそく)いたす」

  石田三成が、思いきったことを口にした。

「佐吉、出来るか」 「逃げおうせなんだら豊臣家は滅亡いたす」

「うむ、・・・・分った、わしの命を預けよう」  「紀之助っ」

  病み衰えた大谷刑部の答えに、三成の双眸から涙が光った。

「石田殿、伏見は何時に出立なされる」  兼続が低い声で問うた。

「今のところは分りませぬ、荒武者どもの出方次第」

「そこもとは加藤、福島らと事を構える積もりにござるか?」

「おめおめと伏見を去っては、石田三成の武がすたり申す」

  三成の言葉に大谷刑部が反応した。

「奴等の襲撃を待って合戦に及ぶつもりか?」

「殿下の喪中に騒ぎは起こしたくない、併し、仕かけられた喧嘩は買わずばな」

  珍しく三成が好戦的な言葉を吐いた。  「佐吉、それは無謀にすぎる」

「心配いたすな、佐竹義宣殿の屋敷に隠れ、宇喜多家に匿われるつもりじゃ」

「隠れおおせられるか」  「駄目なら、敵の情けにすがるまでじゃ」

「なにっー」  「おおさ、徳川内府の懐にもぐりこむ魂胆じゃ」

  三成が平然と驚嘆すべき事柄を口にした。二人が声を飲み込んだ。

  矢張り傑物(けつぶつ)じゃ、山城守は目の覚める思いで童顔の三成を眺め

た。 「佐吉、そこまで覚悟を固めたか。ならば何も云うまい」

  大谷刑部が、しわがれた声で応じた。

「石田殿、徳川家には曲者がおることをお忘れあるな」

「謀臣の本多正信(まさのぶ)にござろう。山城守殿の忠告、心しておきます」

  三人は、あらためて酒肴を重ね、家康討伐の秘策を語りあい、夕暮れを

迎え、それぞれが屋敷をあとにした。

  兼続は上杉邸にもどり、景勝に今日の会談の様子を報告した。

  景勝は例のとおり青味をおびた顔つきで、無言で聞いている。

「石田三成殿、稀有(けう)の武将じゃの」  景勝がぼそっと呟いた。

「徳川内府を関ヶ原に、誘(おび)きよせるには餌が必要となります」

  兼続が景勝の反応を窺がった。

「わしは政務が済みしだい会津に戻る。天下をむこうに廻した大戦の支度を整え

ねばな、そちは暫く伏見にとどまり、ことの一件を見届け帰国いたせ」

「お任せくだされ、徳川の狸爺の命を頂戴する謀なぞ考えてみましょう」

「山城、上杉家の頭脳は、とうにそちに任せてある」

「お屋形、神指原城(こうざしはらじょう)の築城を急がねばなりませんな」

「あの城が完成いたせば、ずいぶんと面白い合戦が出来るな」

  景勝は家康を誘きよせる餌になろうと決意したようだ。

小説上杉景勝(64)





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Last updated  Mar 16, 2007 09:46:36 AM
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