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龍5777

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Mar 24, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
         (軍師二人)

  十名の深編み笠をかむった武士が、下野街道を足早に歩んでいた。

いずれも手練者としれる男たちである。

  中央の武士の腰をおとして歩む姿が印象的であった、かなりの遣い手とみえ

る。渋柿色の野袴を着用し羽織を風になびかせていた。

「そろそろ会津に入るの」  「あと、二里くらいにございましょう」

「遠路、苦労をかけたの」  戦場焼けした声に男の色気が感じられる。

「拙者、先駆けをいたします」  若々しい声の武士が足早に道を急いでいった。

「あの茶店で休息いたそう」  新緑の若葉を茂らせた樹木の側に茶店がある。

  それぞれが腰をおろし街道を警戒している。羽織姿の武士が編み笠を脱ぎ

茶を啜っている。戦場焼けした古武士風の風貌と知的な眸が印象的である。

「天下の島左近さまが会津を訪れるとは、直江さまも驚かれるでしょうな」

「なんの、驚かれる訳がないわ」  褐色の顔色をした武士が明るい声を発した。

  この武士が、上杉家の直江山城守と天下を二分する、島左近の偉丈夫な姿

であった。  「騎馬が参ります」  警護の男たちに緊張が奔りぬけた。

「流石に手まわしが良い」  島左近が眼を細め街道をみつめた。

  五頭の騎馬に空馬が一頭、猛烈な勢いで茶店に駆け寄ってきた。

  先頭の武士が、名乗りをあげた。  「拙者、上泉泰綱にござる」

「ご貴殿が新陰流の上泉殿か?」  「島左近さまにござるな」

  精悍な顔立ちの上泉泰綱が、左近に声をかけた。  「左様」

「殿と山城守さまがお待ち申しておられます、これ、馬をお渡し申せ」

「はっ、遠路ご苦労に存じます、この騎馬をお使い下され」

  武骨な顔をした武士が、空馬の手綱を左近に渡した。

「かたじけない」  左近が物慣れた様子で鞍上(あんじょう)に飛び乗った。

「わしは一足さきに往く、あとからゆるりと参れ」

  左近が馬腹を蹴った、六頭の騎馬が砂埃をあげて疾走してゆく。

「おうー、見事なお城じゃ」  「会津若松城にござる」

  上泉泰綱が騎馬のまま城内に案内してくれた。大阪城や伏見城にはひけを

とるが、流石に会津百二十万石に相応しい豪壮な城塞である。

  武骨一点ばりの城内を、左近が物珍しげに眺め廻している。

「宿舎にご案内いたす、そこで汗を流し着替えて下され」

(行き届いた手配りじゃ)左近は宿舎で汗を流し、うら若い腰元たちの手によって

用意された裃(かみしも)に着替えた。

「さっぱりいたした」  宿舎の座敷には酒の用意がしたあった、左近が無類の

酒好きと知った山城守の配慮であろう。

「ご免ー」  声と同時に直江山城守の白皙の長身が現れた。

「これは、これは山城守殿、お久しぶりにござる」

「左近殿も、お変わりなく結構。まずは一献まいられよ」

「頂戴いたす」  注がれた酒を飲み下し、左近が嬉しそうに破顔した。

「江戸の狸が、蠢きだしましたな」  山城守が端正な顔つきで訊ねた。

「左様、いよいよ面白くなって参った」  左近が戦場焼けした声で応じた。

「お話は今宵、殿とお伺いいたす。ご家来衆もおいおいと着かれましょう、

長旅の疲れを癒して下され。・・・ところで治部少輔殿はお元気にごぞるか」

「張り切っておられます」  「左様か、では後刻」


  会津盆地に夜の帳(とばり)がおとずれた、左近は泰綱の案内で景勝の

待つ、大広間にむかった。部屋のなかは灯火で煌々と真昼のようである。

  正面に青味をおびた顔つきの景勝が無言で座している。傍らには山城守が

控え、それぞれの前に酒肴の膳がならんでいる、それは山海珍味の豪華なもの

であった。  「左近殿、殿の前にお座り下され」

  山城守の言葉に従い左近が静かに腰を据えた。傍らに上泉泰綱と前田慶次

の二人も加わっていた。

「お屋形、石田治部少輔殿のご家老の島左近殿にござる」  山城守が如才なく

紹介した。  「お初にお目にかかります。拙者が石田家の島左近にございます」

「わしか中納言景勝じゃ。遠路ご苦労であった」 と、短く答えた。

  山城守が前田慶次利大を紹介した。  「前田利家さまは叔父にござったな」

「左様、いささか風狂に過ぎましてお屋形さまに拾って頂いた」

  雑談に花がさき、一同は膳部に箸をつけ酒を楽しんでいる。

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Last updated  Mar 24, 2007 09:21:52 AM
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