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スガジロウのダイビング

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kkek

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Jul 15, 2008
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カテゴリ:スキンダイビング
 
 孀婦岩は、ウィキペディアによれば、東京の南約 650 キロメートル、鳥島の南約 76 キロメートルに位置する標高 99 メートル、東西 84 メートル、南北 56 メートルの顕著な黒色孤立突岩。火山性の玄武岩であり、頂上付近には水面に対して垂直方向の柱状節理が認められる。面積は 0.01 平方キロメートル。カルデラ式海底火山の外輪山にあたり、孀婦岩の南西 2.6 キロメートル、水深 240 メートルには火口がある。
 その形状のために上陸することは困難であるが、ロッククライミングなどで上陸・登頂した例がわずかに存在する(ただし転落事故も記録されている)。何れの町村に属しているかは未定の状態である。 
 周辺は航海の難所ながら、豊かな漁場として伊豆・小笠原漁民に知られる。また、高い透明度と豊富な魚影からスキューバダイビングの聖地とする人も多い。
 私たちは、NHKの夏休み特別番組「東京無人島紀行」の撮影のため、八丈島を第五稲荷丸で出発し、スミス、ベヨネーズ列岩を撮影して、鳥島まで来たところで、フィリピンに発生した台風のために先に進むことを躊躇して、鳥島の島陰で停滞している。鳥島の先、孀婦岩に向かって進んで、台風が北上して来れば、遭難の確率が20%ぐらいある。
 以下、再び娘への手紙である

7月15日
 昨日撮影した赤間さんの30メートル素潜りがなかなか格好良かったので、私もやってみる気になりました。どうせ、島影で、台風の行方を天気予報で見守って停滞しているのでやることはあまりないのです。
 気絶するといけないので、アシスタントをやっている鶴町君に下で見ていてもらうことにしました。彼はスクーバを付けて潜ります。
 私は赤間さんのようなスキンダイビングのエキスパートではありませんから、スキンダイビングで20mを越したことがありません。学生の頃で、20mくらいでしょうか。
 いまここで鼓膜を痛めてしまったら後の撮影の仕事が出来なくなります。本当は、こんな馬鹿なトライアルをしてはいけないのです。仕事中なのですから。
 それでもやってしまうのが、ダイバーというものでしょう。それとも単純な馬鹿でしょうか。
 身体にはウエイトは着けずに、手に6キロのウエイトベルトを持ちます。一番深くまで潜った時に手放してしまえば、楽に浮いて来られるはずです。捨てたウエイトは鶴町が拾ってきてくれる手はずです。
 目標を26メートルとして、26メートルの位置に鶴町が待っています。赤間さんも一緒にスキンダイビングで潜ってくれます。
 水面に浮いて下を見おろします。水は澄みきっていて、切り立った海底の崖の50メートルの底までが見通せます。崖の頂上は水深10メートルぐらい。崖の中間ぐらいに鶴町が私を見上げています。
 肺にできるだけ沢山の息を吸い込みます。潜るときは、浮力をつけないために、肺に八分目ほどの息で潜るなどという人がいますが、とんでもないまちがいです。深く潜って行くにつれて水圧が増加して肺が圧縮されます。
 肺がつぶれてスクイーズ状態になる深さが、特に肺活量の大きい人で50メートルが限度だといわれていました。ところが、フランス人のジャック・マイヨールは50メートルの壁をどんどん越えて、1970年には伊豆海洋公園にまでやってきて、76メートルの素潜り潜水に成功しました。潜って行き肺が縮むとそれにともなって横隔膜がせりあがって来て、肺が入っている胸腔が小さくなるのですが、彼は横隔膜の弾力性が大きいらしく、縮む率が大きくなっても耐えられるのでしょう。そして、身体中の血液が胸の大動脈の部分に集まって、大動脈は太く膨れ上がり、胸腔の隙間をちいさくするように働きます。これをブラッドシフトと言います。隙間がなければスクィーズにはならないので深く潜れるのです。
 私は水面で、15回、強い深呼吸を繰り返します。肺の中の炭酸ガスを出来るだけ追い出してから潜降を始めると長く潜れるのです。強い深呼吸で肺の中の炭酸ガスを洗い流してしまう呼吸をハイパーベンチレーション(超換気)といいますが、このハイパーベンチレーションをやりすぎると、長く潜りすぎて失神してしまう危険があり、効果もあるが毒もあるという薬のようなもので、使いすぎることはできません。とにかく、肺一杯に吸い込んだ肺の中の酸素を出来るだけ長持ちさせて、水面に戻ってこなければいけないのです。深く潜るスキンダイバーは、多かれ少なかれ、このハイパーベンチレーションという毒薬を使います。酸素の消費を少なくするためには、身体の動き、筋肉の動きを最小限度にします。潜り込むときに水面をフィンでばちゃばちゃさせるなどという潜り方は酸素の無駄遣いです。水面に残る波紋もほんのちょっとだけ、なめらかに潜降を始めます。スキンダイビングでもスクーバダイビングでも、身体を出来るだけ動かさないようにすることが大事です。フィンを、もちろん手も、ほとんど動かさないで潜ったり浮いたり、進んだりできるのが理想です。スクーバダイビングで上手な人ほど空気の消費が少ないのは、筋肉を少ししか動かさないので、酸素の消費が少ないからなのです。もちろんスキンダイビングでも酸素の消費が少なければ長く潜っていられます。
 耳管を開いて、耳抜きをしながら潜って行きます。耳の調子は良いようです。耳に少しでも負担がかかったら、潜降を停止しなければなりません。まだ、仕事の途中ですから、耳を痛めたら大変です。
 自分の耳に神経を集中させているので、周囲の光景には目が行きません。もっともスクーバで赤間さんのスキンダイビングを撮影した場所ですから、別にその時と変わったこともないのですが、とにかく鶴町の居る、26mに到着します。このまま楽に30mに行ける。全然苦しさは感じません。もっと行けるかもしれない。ある深さを通り越してしまうと、生と死の限界まで苦しくなく潜れるらしいのです。そのかわり、水面でブラックアウトを起こしてしまいます。とにかく仕事中です。何かが起こったら大変です。潜り込んでいた26メートルで手に持っているウエイトを鶴町に手渡して、浮上します。そんなに長く潜っているわけではないので、心配はないのですが、一応失神に備えて意識が正常であることを確かめるように脳の内側をサーチします。このように、自分の身体の部分に意識を集中して確認することを、私は自分で「サーチする」と呼んでいます。スクーバで潜るときは、心臓の鼓動や手足の筋肉などもときどきサーチします。意識はなんともないようです。ウエイトベルトをつけて息こらえダイビングをしているときは、浮上する時はベルトに手をかけていて、意識がうすれそうになったら、ウエイトベルトを外して、海底に落とします。そうすれば、意識が無くなっても沈むことはなく、 水面に戻れば意識を取り戻すことができます。これは自分でやった経験ではなくて、鶴耀一郎が教えてくれた方法なのですが。
 ウエイトベルトを26m地点で手渡して来たので、浮上速度も速く、ウエイトベルトに手をそえる必要もありません。水面に近くなったら、浮上速度をゆるめるようにします。速度をゆるめた方が、圧力変化が緩やかになり、意識を失う可能性が小さくなると言われています。ところでは問題ないのですが、ダイビングポイントなどで走ってくる船の多いところでは船に衝突しないように、浮き上がる時に船の接近を確認することも大事です。
 ウエイトベルトをつけていない浮上では、速度をゆるめることが難しいのですが、一応努力はします。手足を広げて大の字になって、抵抗を増やして速度をゆるめます。見上げる水面がきれいだと思う暇もなく、水面を割って、顔を出しました。
 赤間さんが泳ぎ寄ってきてほめてくれます。「いやー、素潜りもできるのですねえ。びっくりしました。」最大の賛辞と受け止めて、とても気持ちが良かったです。

 結局のところ、この手紙は、娘に渡したが、娘からは返事は来なかった。





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Last updated  Jul 15, 2008 05:50:12 PM
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