|
カテゴリ:トリックテイキング
このお話は、とあるじゃがいも王国でのできごとです。
天気のいい日曜日。 たいようが照らすみちでおどっている、それはそれはかわいらしい、じゃがいもの女の子がおりました。 「るんるんるん♪今日はすごく天気がいいわ! おどっていると、なにかいいことがありそうな気がするわ」 みどりいろの服をきたその女の子は、おどりのスピードをゆるめません。 そこへ、じゃがいものおじさんが通りました。 「これはこれは、巷で噂の、ポテトガールではないですか!」 おじさんは青い服をきていて、なんだか滝廉太郎に似ています。 「あら、こんにち・・・ちょっと!ポテトガールってことはあたしは『じゃがいも娘』ってこと?!それってちょっと失礼じゃないかしら?」 女の子はおどりながら答えました。 「そのとおりだと思うんだけど・・・。失礼しました、でも今日はほんとうに天気が良いですね!まさにいも掘りにはうってつけだ!」 おじさんは、つまらないポテト・ギャグをとばして、なんだかじまんげです。 「おうい、今日はあついなあ」 なんだか某女性プロレスラーに似ている、きいろい服をきたちからのありそうなじゃがいものおとこの人がやってきました。 「やきいも、食べたいなあ」 「あんた、また食べるの?朝も食べてたじゃない!」 女の子は少しおどりのスピードを速めました。 「おいもはうまいよ、おいしいよ」 きいろい兄ちゃんはにっこりわらってそう言いました。 「おいおい、じゃがいもがこんなに3つもあつまって、まるでいもを洗うようだな!」 滝廉太郎のポテト・ギャグにはもうだれも耳をかそうとしません。 するとそこへ、 「わっはっは!わたしのなまえはポテトキラー!! その名のとおり、おまえたちじゃがいもを食べちまうのさ! さあ一列にならびな!スイカの早食いの要領で食ってやる!」 なんだかとんでもない、あくまのようなやつがあらわれました。 さあ、3つのじゃがいもさんたちはたいへん。みんなおおさわぎです。 「ちょっとまってくれ、ポテトチップスくん!きみだってじゃがいもじゃないか!仮にも、この兄ちゃんだって『やきいも食べたい』って言ってたし、そしたら君の異常性とか凶暴性とか薄れちゃうんじゃないかと思うんだけど・・・!だから命だけは助けてくれ!」 滝くんがなんか言っています。 「おまえ、わけわかんないこと言うな!いちおう絵本チックなかんじでお送りしてるんだ、くうきをよめ。あと、わたしのなまえはポテトキラーだ!」 そのあいだにも、女の子はおどりのスピードをゆるめるどころか、はやすぎてもう止まっているようにみえます。 「だれか・・・だれかたすけてえええ!!!」 そのときッッ!光の速さで飛んできたヒーローめいた何かが通り過ぎるのを肌で実感したッッッ!!! \ポテトマーン/ そう、彼の名前はポテトマン。じゃがいも王国をすくう、正義のヒーロー! せつめいするのがおろかなほどのつよさでポテトキラーを倒しました。 「ありがとう、ポテトマン!」 「ありがとお」 「助かったよ、マッシュポテトくん。君がいなかったら、いまごろ私はでんぷんになっていたところだよ!はっはっは!」 あいかわらずつまらないポテト・ギャグです。 しかし、ふと、小さな男の子が、かげからひょこっと出てきました。 「よ、よくもお父さんをいじめたな!ぼくのなまえはポテトキラーJr.! お父さんはぼくらのために、男手ひとつで育ててくれて・・・。でももう、うちにはじゃがいもを買えるお金がなかった。仕方なかったんだ・・・! かたきをうってやる!!お父さああん!!」 ファンタジーとはいえ、めがしらが熱くなるようです。ヒールにはヒールなりの、生活と家庭があるのです。 「ポ・・・ポテトマン!悪は悪よ!倒して!」 「マッキントッシュくん、頼む!いずれそのマリオみたいな子はまたポテトキラーのようになってしまうぞ! 「やきいも、食べたいな」 ポテトマンは、おもむろに、皆に言い聞かせるように言いました。 「君たちは、なんでも人に頼るのかい? 確かに正義は大事だ、悪が蔓延るような社会ならそこに住み良い世界はないだろう。 でも、僕にも生活がある。妻と2人のじゃがいもがいる。 僕が飛んできて、誰が給料を払ってくれるんだ? 家族を養う費用を、誰が賄ってくれるんだい? それに、ポテトキラーJr.はまだ子どもだ。 親がそうだから子もそうだ、なんて、偏見の塊でしかない、本当の悪はどっちなんだ! さあポテトキラーJr.、このじゃがいもをお食べ。このじゃがいもが、いつかの君の希望になりますように!」 こうして、ポテトキラーJr.は10年後、立派なポテトマンになったとさ。 めでたし、めでたし! (BoardGameGeekより転載) ジャケがいかす! ポテトマンは、こんなトリックテイクです(どんなだ)。 でも、本当にこんなかんじ。ただ、かなり変則的です。 スートは4つ。 赤が14枚(5~18) 青が13枚(4~16) 緑が12枚(3~14) 黄が13枚(1~13)です。 そのうち、赤の16~18がポテトキラー、黄色の1~3がポテトマンです。 プレイ人数によって手札の数が違いますが、必ずカードが余るようになっています。 さあトリックテイク!といきたいところですが、ここに妙があります。 それは、前の人が出したスートは出せないというルールです。 このお話に出てくる登場人物をすべて舞台にあげろ、ということですね。 ただし、5人プレイの場合だけは、1スートだけは2枚出しても構いません。 そうして皆が出した後、最高値のカードを出しているプレイヤーがトリックを取ります。 同数なら後に出したプレイヤーが取ります。 あともうひとつのルール! ポテトマンは、ポテトキラーに勝つことができます。 赤のスートは高い数値が集まっているのでトリックに勝つ可能性は高いですが、16~18のポテトキラーに対してはポテトマンは容赦しません。 ただし、5~15のJr.たちに対してはもちろん弱いです。 この辺は紙芝居にお付き合い頂いた方なら大丈夫ですね! このあたりが牽制になっていてすごく面白いです。 トリックを取ったプレイヤーは、自分の出したカードと同色のじゃがいも袋カードを受け取ります。 ここに描かれている袋の数が、そのまま勝利点になります。 つまり、比較的数字の高いスートで勝つと勝利点は低く、比較的数字の低いスートで勝つと勝利点は多くもらえることになります。 ちなみに、1色のじゃがいも袋カードが切れて受け取れない場合は、金のカード(なんとじゃがいも袋5つ!)を受け取ります。 あとはトリックを取ったプレイヤーがリードをして時計回りにプレイします。 ラウンド終了トリガーは、誰かが出せなくなったとき。つまり、登場人物が揃わなかったときにただちにラウンドが終わります。 つまり、手札によってはそのラウンドが早くおわってしまうこともあるのです。 このあたりも、プレイに緊張感があっていいですね。 これを人数分ラウンドプレイし、より多くのじゃがいも袋を手にしたプレイヤーの勝ちです。 5人プレイでは、誰かがスートの2枚目を出すととたんに苦しくなるあたりも◎。 3人プレイは1色を抜くヴァリアントがオススメです。 紙芝居の方が長くなってしまいましたね! じゃがいもの季節!! ポテトマンは熊本で経営されているゲームフィールドさんからもお買い求め頂けます! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年10月23日 13時59分42秒
コメント(0) | コメントを書く
[トリックテイキング] カテゴリの最新記事
|