「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

１２　待つこと。

どん底・・・待つこと。

　電話機が壊れてしまった。
　ネットで探すと受話器と本体をコードで結ぶタイプは２千円前後。
　でも、我が部屋で唯一電話機が設置できる場所では、有線だと立ったまま受話器を握らねばならない。
　職場からの電話など『馬鹿みたいに立たされて叱られてる』然とした様が嫌だ。
　
　コードレス電話機を探す。
　聞いたことのあるメーカーの新品は１万円を軽く超える。
　通常はメーカーなんかには拘らない。
　でも、安い電話機が１年チョッとで壊れて、一切の連絡ができなくなっていた。
　・・・繰り返したくない。

　貧乏人なので予算は５千円。
　某ヤフー・オークションを探す。
　気に入った電話機は・・・
　外国製のメーカー物（１年間使用済み）が送料込みで４千円。
　中国製らしい『面白電話機（新品）』が送料込みで千円しない。

　２日間悩みに悩んで・・・
　２つとも落札してしまった。
　・・・２日間の『悩み』は何だったのか？

　ここで問題が生じた。
　『外国製メーカー物の電話機』には『着信ナンバー表示機能』がない。
　部屋のファクシミリに、着信ナンバーが表示されるので問題ないと思ったのだが・・・
　付属品のコードは、電話機の設置場所からファクシミリまで届かない。

　先ず、ファクシミリに、通話機能しかない『面白電話機』を接続することにした。
　・・・『留守録機能』がない。
　相手が『満足する』まで『呼び出し音』が鳴りっ放しになる。

　次に、電話線のモジュラーからファクシミリを外し、『外国製メーカー物の電話機』を直接接続する。

　私の電話番号は電話帳なんかに公表していない。
　それでも「『商品先物取引』に興味ありますかっ？」
　なんて電話が掛かってくる。
　「興味もないし、金もないっ！」
　って断るのが酷く面倒。
　・・・午前１０時なんて『未だ夜も明けきらぬ』うちに掛けてくるし。

　『外国製メーカー物の電話機』が気に入った最大の理由は、留守録の応対が『英語に設定されている』から。
　勧誘嬢は、「『英語』で留守録を指示されるような番号には二度と掛けてこない」なんて考えたのだ・・・多分。

　でも。
　・・・着信ナンバーが保存されない。

　ゴク稀だが、私は「喰いものを購入するため」に外出しなければ生きていけない。
　『うつ』による『休職』なんて・・・
　『保護観察処分中の様な身の上』なので、「職場から連絡がつかない」ってのは『退職』への一里塚。
　「一体、休職中にも関わらず何をしてるんだっ！」って。
　・・・喰いモンを買いに行ってんだよ！

　職場からの電話の『痕跡』があれば、直ぐに掛け直さねばならない。
　・・・職場の上司が『英語』を理解し『留守録』できるとは思えないし。

　如何しようか？
　酷く悩んでしまった訳である。
　・・・落札する前から判ってたんだが。

　５ｍくらいの『電話コード』を購入しよう！
　・・・３日前に思いついた。
　でも。
　我が部屋には、「細いコードを噛み切ること」を生きがいにしてる部屋猫《かふん》が徘徊する。
　『コード』は床に垂らせず、天井経由となる。
　・・・酷く・・・面倒臭い。

　再び、某ヤフー・オークションを探す。
　すると。
　「『電話コード』と『分配器』をセットで！」ってある。
　・・・『分配器』を買えば良い！

　今日は暴風に原動機付自転車を煽られながら、２０分以上もかけてホームセンターまで買いに行った。
　４７５円もした。
　・・・クレジット・カードを使った。
　「カードでお買い上げですかっ？」ってレジのオバサン。
　・・・ああ、そうだよ！！！

　帰宅後、『分配器』に『外国製メーカー物の電話機』と『ファクシミリ』を接続する。
　非常に上手くいった。

　待って正解だった！？

　３年ほど前から。
　『うつ』からの回復をズッと待っている。

　だから。
　ネットで商品を購入して到着を待つ。
　毎日宅配される『お弁当』を待つ。
　『半額』になる夕方までスーパーマーケットに行くのを待つ。
　腹を空かせながら金が下ろせる休日明けを待つ。
　・・・
　最近、待つことに慣れてしまっている。

　電話機なんて・・・
　近所で買って即座に設置すれば良い。
　腹が減ったらメシなんか直ぐに買いに行きゃ良いじゃないか。

　『即断して、失敗を繰り返す』
　それが私の生き方だった。
　『失敗』なんて如何にでもなるもの。
　『何もしない』で後悔するよりは！
　そんな『後悔』の中をズッと生きてきた。

　少しは利口になったって？

　そして、今。
　『今後の人生で絶対に必要なこと』さえ・・・
　纏まった入金予定日まで、ズッと待っている。

　本当は『時間が最も大事』じゃないのか？